【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

40.

「真の意味……」
　彼女の真意を測りかね、五郎八は首をかしげる。
　いいなはぴらりと『４３★１』の紙を示す。
「４、３と来て、一つ飛ばして１。これは誰が見ても等差数列。★に入るのは２。
　つまり、★は１ではない。『スターは一人ではない、誰もがスターだ』という意味なのじゃよ！」

　無理矢理すぎィィィ！！！!

「そう、聞いたことがある……」
　もっともらしく頷く五郎八。
「天に無数の星ある如く、地にもまた、さんざめくあまたの星あり！
　――輝くもの、必ずしも金ならず！　しかし、輝こうとする者、みんなスターだ！」

　おおおおおおおお……！！！

　熱い感動に、場内がどよめいた。

（まさか……）
（まさか、そんな意味があったとは……）
（お前まさか『よさんほしい』だったとか、思ってないよな）
（まさか！　俺は最初から★が２だって、分かっていたぜ）

　やれやれと、すばるは肩をすくめた。

（ひどいこじつけも、あったもんだな）

　算盤が恋を語るの故事もあるが……。
　それにしたって、もう少しやりようがあったのではないか。
　かのホームズ氏にしても、こんなやり口は認められないだろう。
　
『犯罪者は独創的な天才だが、探偵はその解釈者にすぎない……』

「小萩のメッセージが、小萩の考えていた以上に広がってしまいました！」
　ネコネコ動画を見ながら、小萩はガッツポーズをしてみせる。
「これは天才にしかできない技！　やっぱり小萩は天才なのです！」

　――思わぬことの成り行きに、唖然とするジャッジ。
「ジャッジマスター……」
　誰かの発した問いかけに、静かに答えるエヴァ。
「違反者は死刑。慈悲はない。
　――だが、ガチガチの審判でもない」
　
　ふわり。
　緩やかな風が渦を巻いて、闇の中に光の塵が震える。
　エヴァを中心に、コメディエアーが、対流を生み出す。

　エヴァのろっこん『タービュランス』は、本来ベクトル制御の技で、風向き偏向の技とは違う。
　だが、その時、ジャッジマスターの力か、彼女本来のやさしさか、刀達三人に、再びコメディエアーの息吹が吹き込まれたのだ。

　雅人の円月殺法と、なぜかいい人だと思われる流れが、コメディ的に良かったのかもしれない。

　コメディエアーは、人を支配するのではない。
　コメディエアーは、人を励まし、力を与えるもの。

　ジャッジ一同も当然心得て、黙ってうなずいている。
　陽太の粘土細工が、てくてくと歩み寄り『○』のカードを差し出した。

　コメディエアーの流れが、変わり始めた。

「それじゃ、俺たちは……」
「でも、違反は違反だから」
　
　スパァン！
　右手の一閃で、円の風船が割られた。

　熱い高揚が、校舎を包んでいた。

　コメディエアーの、間違った感じの解釈が、全員に行き渡っていた。

　その有様を見て、笑顔を浮かべる男が一人。

（本当かどうか知らないが……マ、イーカ！）

　これだけは本当に、混じりけなく裏表なく、他人のことだけを考え続けた男――志波武道は、誰に語るでもなく、そっと微笑むだけである。