【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

39.

　下を向いたままの雅人。トレードマークのアホ毛はだらりと力なく垂れさがっている。
　時折体を震わせるそのさまは。嗚咽に似ていた。

　友を武器として使ったのだ。
　その心が、傷つかないわけはない。

　コメディエアーの只中で、悲しみに震える少年……。

　彼がこらえていたのは眠気で、時折居眠りしては目を覚ましているので震えているように見えた、という真実に気づいたものは、少数であった。

　――スクリーンに映し出されるのは、望月に踏み台にされる拓郎。
　後輩を助けるため、わが身を犠牲にする悲しみの戦士。
　うっかり踏んづけられたわけでは決してないというその証拠に、聞け！　実況の少女の声は、昂る感情に震えているではないか。

　――生物部では、仲間たちを身を挺して庇い続ける男がいた。
　彼の皮膚は既に裂け、骨や臓腑が露であるが、彼は一言も漏らすではなく、淡々と仲間を庇い続ける。
　彼が人形であるとか、そのようなことは些細なことなのだ……。

　――演劇部の部室で、真摯な目をしていた桃川圭花。
　あの真摯な眼差し。
　何がそこまで、彼女を駆り立てたのか。
　余人に理解できない、わっるい考えにほくそ笑んでいた、などとはなかなか想像できない。
　だがそれが、仲間のためというのなら、納得がいく……。

　なんという、熱い信頼関係。

　どのようなコメディエアーの作用か、その時、後木真央と、椿美咲紀の特ダネフォルダが火を噴いた！

　目くるめく速度で展開される秘蔵フォト。
　あとで二人でにやにやしようと企んで、ひそかに集めていた、それは男子たちの熱きバトル、そして友情のグラフィティ。

　カメラの前にさらされたのは、真実。
　だが、真実は見た人の数だけ存在する。

（なんという……）
（なんという、友情……）

　邪な目的があってもなくても、それは男子たちの熱い絆のメモリーだった。

　ＢＬは、世界を救う。
　後木真央、椿美咲紀、炎のジャーナリスト。写真一枚で世界を変える。
「ＢＬで、命を救ったジャーナリスト」として、彼女の名は後世に語り継がれることになる。
　
　本人はバトルの最中で、そんな成り行きは全く知らない。

　中庭、放送席でも、あまりのことの推移に誰一人声が出せない。
　……。
　しんとした放送席で、いいなが先ほどの『４３★１』の紙を取り出す。

「五郎八殿……この暗号の、真の意味を伝える時がきたようじゃな……」