【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

37．

　入れ替わりざまに、竹刀で一撃する刀。
　これは効き目なし、と見るや、刀はあっさりそれを抛り投げる。
「何で当たんないんだよ！」毒を吐きつつ、これはコメディエアー。仕方がない。予想の範囲内。
　竹刀が雅人の頭にヒットしたのは、ちょっと予想外。
　それでも彼の眠気が覚めないのは、これも予想できたことだ。

　全身にバンテージを巻き付け、突撃する蛇那伊。
　あらゆる体術に秀でた彼、こちらの手の内を読み、仕掛けてくる。
　――ならばこちらは、後の先。

　蛇那伊の動きのパターンから、彼の次の動きを察する。
　戦いに定石あり。あらゆる武術に通じた彼さえ、そのくびきから自由でない。
　自分を縛るモノに、常に抗い続けてきた刀だからこそ、不自由が見える。
　彼の『速度』により、彼は『今』を追い越す。

（速さで俺に、かなう者はいない！）

　刀は小手を外し、ぶかぶかになったそれを、相手に向け射出。
「マッハパーンチ！」
　ミサイルのような推進を得て、飛翔する小手は、見事にクリーンヒットする。
「こっちの方が、効果ある……」
　俺、剣道部なのに。そっとつぶやく。

「勿体ないわねぇ」早坂恩がエヴァにつぶやく。
　確かに、彼らの動きは一級品。
　コメディの反射的な動きも素晴らしい。ジャッジに注意されるような、卑怯なところなどない。
　ほぼ無尽蔵の力を与えられている裁定者相手に、ここまで善戦できるとは……。

　正規な形で、部費争奪戦に参戦していたら、かなり良いところまでいったのでは……。

　首を振るエヴァ。
　慈悲は不要。