【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

36.

　逃れ逃れて、円、刀、雅人の三人がたどり着いたのは、寝子高放送室。
　巨大なスクリーンに、エヴァの顔が映し出される。
　もはや退路はなし。

　絶対不利の状況で、ジャッジを相手にしなければならない。
　なんだかわからない『処分』とやらを、受ける訳にはいかない。

　彼らの姿は、逐一ネコネコ動画で放送されている。
　ある者は、刀たちの身を案じて。
　ある者は、愚か者たちを笑うために。
　ある者は、嗜虐のショーを楽しみに。
　それぞれ違う思いで、動画に見入っていた。

　円、刀ともに、ここに来て腹が決まった。
　どのみち、ジャッジとの対決は避けられないのだ。
　ならば、できるだけのことをするしかない。

　拳を固め、ボクシングスタイルをとる円。
　こんな強敵と、こんなに不利な状況で戦えるなんて、考えてみればめったにないチャンス。
　ピンチをチャンスに変えるチャンスだ。
「行くぞ！」竹刀を構える刀。
「参加することに意義が！」吼える円。

　丁度ヨーヨーを構える如く、両手にバンテージを握る円。
　突進する蛇那伊にむけ、ストレート。
　同時にバンテージを射出。
　純白の螺旋が絡みついた。
　さらに拳に巻いたバンテージが、敵の動きを拘束する。

　広がるバンテージの、白銀の銀河。
　足を踏み入れたなら、バンテージにからめとられる。

　円の左手が唸ると、やわらかな布が鋭い音を立て、刃物と化す。
　ヒュッ！
　蛇那伊の上着が引き裂かれ、肉体美が露になる。
　風船であったなら、ひとたまりもなかっただろう。
　
　構わず突進する蛇那伊を、細やかなフットワークで躱す。
　――左右に動き、絞らせないように。
　中国拳法を極めた蛇那伊、全身がそれぞれ駆動系を持ち、独立した動きをする。
　読み切れぬ動きが、円の背後から襲う！

　それを狙っていた！
　円の闘争本能が、振るわれた拳にカウンターを繰り出す！
　同時に放ったフェイントが、風船への直撃をかわす。

　楓はライフルを構えつつ、舌を巻く。
　円は蛇那伊を相手にしつつ、此方のスナイプにも警戒をしている。
　不意を突くフェイントを組み合わせ、油断をしない。