【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

30．

　まさに、巨人の一撃！
　雷神の、怒りの槌が突き立てられたかのごとく！

　校庭にいたクラブは、一斉にそちらに目を奪われる。
　誰もが予想していなかった事態。

　ゴォウッ！！
　風の刃が校舎に激突し、窓ガラスを弾き飛ばす！
　盛大なガラスの破片が降り注ぐ！

　弾き飛ばされていく生徒たち。
「しっかりして！　傷は浅いわよ！」手近な生徒を抱きかかえるエヴァ。
　かなりの出血だが、あっさりと断言する。

　咄嗟に動いたのは十文字若菜。
　侑の肩に、素早く乗る。
　事前に決めてあった。それは万が一のろっこん発動の合図。

　侑は一瞬、若菜の真意を測りかねる。
　だが――。
　部長への信頼が、疑念を吹き飛ばす！

「デッドオアアライブだにー！」

　トモエが二人に気づき、派手なバトンを構え跳躍。
　周囲の気を、そちらにそらさせる。

　つま先で地面を叩き、侑はろっこん発動。
　まるで春彦の技さながら、地面に階段ができたように、彼女は大きく跳躍する。
　さらに二段階砲で天高く発射。

　若菜は、腕をガラスの砕片に向け突き出す。
　右手が血を流すのも構わず、ろっこんを発動。

　頭の上の風船が、ガラスの銃弾を受けて炸裂するが、そんなものに構っている余裕はない。ｓ

　――十文字若菜のろっこん『Bei　sema』。モード・コメディエアー。
　鏡を割ることで発動。
　割れた鏡の範囲で、防御結界を発生させる！

　拡大解釈されたろっこんの力で、降り注ぐガラスが、全て小規模な防御結界と変ずる。
　バラ色の光を放ち、ゆっくり降り注ぐ結界化したガラス。
　窯変したそれらは、微細に鉱物の光沢を放ち、周囲の人間に少しの傷を負わせることなく、降り注いでいく。

　だが、無防備となった三人に、竜巻が唸りを上げて襲い掛かる！
　そのさなか、大の字になって仁王立ちする水泳部三人。
　その目は、一同に降伏を促しているように見えた。

　できれば、危険な真似はしたくない……。
　降伏すれば、この竜巻をぶつけることはしない……。

　だが。
「陸上部の部長として……皆のために、頑張るぞっ！」
　ここにきて折れぬ。
「道具も買いたい……遠征費用の足しにもしたい……。
　何より、勝負事だし……これは、勝ちたいよね」

　恐怖の対象に、二度と心を折らないと決めたのだ。
　さっきも守れた。だから――今度だって！
　侑、トモエも、果敢に竜巻に身をさらす。
　熱い風が、三人の髪を吹き散らす。

　水泳部の三人、もはや祈るような目を向ける。
　――お願いです、降伏、してくだい！
　――持たないわよ……このままじゃ……。

　上昇気流に全身を軋みあがらせ、三人の体が、宙に吊り上げられる……。

　その瞬間！
「どっせーい！」
　
　陸上部三人が、がっしりスクラムを組んで、防風の壁をくみ上げる。
　壮絶な笑みを浮かべる拓郎、春彦、そして望月。
　風に巻かれ、天空に引き上げられながらも、三人は笑みを絶やすことはない。
　
　風船が一つ弾けた。状況に変化なし。

　陸上部は、陸上の王者！
　陸の王が、なぜ空中を征せぬ道理がある！

　まるで空気の波にのるサーファーのように、三人はくるくると巻き上がり、天高く舞い上がる。
　
　見下ろす先には――崩壊した校舎！