【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

29．

　プールの水面に、波紋が揺らめき立つ。
　まるで熱く滾るように、うねり、砕ける。

　三人は、恐るべき高速で水中を移動している。
　端から端へ。
　勘助はろっこんも起動し、弾丸のような速度で水中潜行。
　紫も優雅な泳法で、水流をコントロール。
　泳ぎつつも荒太郎は微細に上下動。濃やかなうねりを、撚り合わせ、大きな流れにする。

　僅かな渦はやがて大きく広がり、プール全体を巻き込む大渦となる。
　洗濯機の中の汚れ物さながら、グルグルと巻かれていく。
　まさに、メールシュトローム！

（これが、水泳部の狙い……）

「まだだっ！」
　
　巻き上がる水流の一端が、水柱となり、つき立つ。
　それはほつれが絡まるように、爆発的に巨大化する。

　本来、水が天に昇ることはあり得ない。
　物理法則が、それを許さない。

　だが、繊維を水に浸すと、水は重力に逆らって、上方へと這い上っていく。
　いまだ知られぬ性質の多い、身近な液体、水。

　濃密なコメディエアーは、まるで蜘蛛の巣のように、複雑なレイヤーを空気中に形成していた。
　わずかでも、それが繊維の役割を果たせばよかった。
　あとは、熱く熱せられた空気が、水を遥か上方まで弾き飛ばす！

　轟ッ――！！

　おお――！
　見よ――！！

　瞬く間に完成した、校舎大ほどもある、巨大な竜巻！
　破壊のメールシュトローム。略奪のミールストーム。
　あちこちで鎌鼬が巻き起こり、風船が粉砕されていく。
　衝撃波が押し寄せ、木の葉が舞い上がる。

　水流は咬みあい、逆巻く大瀑布と化した！
　