【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

28．

　エヴァの渾身のレクチャーに、思わず放送席の五郎八といいなも頷く。

　再び中庭情報局。
「校庭でも、激しいバトルが繰り広げられております！」
「儂の情報によると、陸上部は、顧問の先生の合こん費の捻出のため、実に二チームの参加をしておるそうじゃ」
「気合の入り方が違っていますね」
「それから、水泳部は、会長が出場できない代わりに男子部員が『神速脱衣』を会得して参加したそうじゃ」
「いろいろな情報をお持ちなんですね」
「生物部はちくわのぬいぐるみの洗濯する費用のために参加するそうな」
「北海道に合宿に行くため』って、かいてありますけど……」
「軽音楽部が今回う”ぃじゅあるばんどとやらに、転向するためだそうな……」

　カッ！
　なぜか急に暗くなった校庭に、スポットライトが当てられる。
　浮かび上がる、三人の人影。

「私たち、軽音楽部！」

　白塗りに黒の化粧、原色に染めた髪を逆立てた三人が、歪んだギターの爆音をとどろかせる。
　口から血のりを滴らせ、カメラを睥睨するような目線で、瑠奈が歪んだ声を張り上げる。

「いっくよー！　『サンプンカン』　ゴスロリリミックス！」

　いつでも私たち　地獄の蝋人形
　貴方の視線　儚く　瞬いて

　凍えそうな薔薇　サンプンカン
　爛れた悪夢　サンプンカン
　鮮血色に　貴方　笑って
　一分一秒　貴方　輝いて……

　こんな演奏も可能なのか、嵐のようなギターソロを披露する優。
　画面が一瞬暗くなり、再び照らし出された時は、スタンダードなステージ。

　――第二幕、いっくよー！

　パッと服を脱いで、抛り投げる。
　タンクトップにパンツルックという、この時期ちょっと寒そうな格好の瑠奈。
　少しも疲れを見せず、縦横無尽にパフォーマンス。
　軽やかなステップ、ダンス、バク転を駆使し、攻撃を回避する。

「今は１１月？　ライブにそんなの、関係ないよねっ？」
　瑠奈の呼びかけに、観客席が答える。
　分厚い音の壁で攻撃は減殺されている。
　ギターとスタンドマイクで参戦するのは雨寺凛。
「さぁ、盛り上がっていきましょー！」
　わああああああ！！！
「皆、ライブに見とれちゃえば、攻撃できないでしょ？」
　わああああああ！！！

　イントロを省略して『サンプンカン』スタート。
　楽しい演奏と、全力のシャウトが大気を揺らし、魅了された観客の風船を割っていく。
　風船を割られつつ、興奮した観客は忘我の表情で退却していく。
　負けて悔いなし。
　近づいてくる相手には、凛のスタンドマイクと、優のピック。

　気合の入ったパフォーマンスに声援が巻き起こる。
　ヴィジュアル系の色物から、スタンダードなスタイルまで幅広くこなす。
　観客を飽きさせることのない、充実のパフォーマンスだ。
「面白楽しく、仕上げてきたねぃ」軽音楽部の後輩たちに、呉井陽太も先輩としてご満悦である。

　寮で瑠奈と同質の侑。
　必死の彼女たちの姿を見て、鼓舞される。
　自分たちも、頑張らないと。
「にー！」叫んで、さらに一段高くジャンプ。

　校庭も、校舎内に劣らずカオスの状態が顕現してきた。
　そのさまを、じっと見守るのは雨崎荒太郎。

　もうすぐ。
　もうすぐ……嵐が来る……。

　プールは飽和状態に達していた。
　殺到する大群。
　それを片端から放りこむ。
　水泳プールの周辺は、人だかりで埋め尽くされていた。

（今だ！）さっとビート板を翳し、荒太郎は合図をかわす。

（切り札を使うよ）

　勘助と、紫の視線が交わされる。
　この瞬間！
　この瞬間を待ち望んでいたのだ！

　三人は突如、プールの中に身を躍らせる。

「ああーっ！　これは水泳部の……なんだ！　この技は」
　思わず、彰尋が絶句する。