【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

20．

　さあ次の曲、とマイクを握った瑠奈が、急に叫び声をあげる。
　――もう少しで三分間たっちゃう！

　三分間同じところにとどまってはいけない。
　それがコメディエアーのルール。
　何時の間にか到着していたジャッジ軍団、己の本分に立ち返る。
　そのまま機材や楽器を回収し、どぴゅーと散っていく三人。
　走って走って、また出会えたところでゲリラライブのスタートである

　とりあえず、新曲だけは披露しておきたい。
　リズムを取って、明るいアイドルポップが流れ出す。
　瑠奈の十八番だ。
「新曲、聴いてください！　この日のために用意したんだよ！　『サンプンカン』！」

　いつでも私達　輝いてる♪
　キミの視線ココに　固定するよ☆

　はるかなステージ　目指したって
　不思議なステージ　ここにあって
　キミと私が　出会ったからには
　ここが盛り上げ　最高潮！

　ちょっと一息　サンプンカン
　キミのココロの　サンプンカン
　ワタシタチが　サンブンカツして
　イップンイチビョウ　シアワセ☆

「サンプンカーン！」と、ノリノリの一同が合いの手を入れる。
　ちょうどギターが最後の和音を奏でた時、三分間の合図が鳴った。

「まったねー！」凛が手を振る。
「新曲のリミックスもあるから、聞きに来てね！」瑠奈がアピールする。
「ああ、面倒くせえ……」呟きつつ、律儀にコードを回収する優。

　問答無用の最強の固定砲台。軽音楽部のとった戦法。

　はっと我に返るジャッジ軍団。
　――混合チームは？

　いち早くその場を脱出した刀、円、雅人。
　いくら逃げても、いずれコメディエアーの供給は途絶える。
　どこかのチームとバトルしなければ、いずれジャッジに追い詰められ、袋の鼠だ。

　考える。
　
　対戦相手が多く、時間が稼ぎやすいのは……。
　――校舎より、校庭。　

　刀はとっさの判断で、雅人と自分の足を紐で結わえ付ける。
　いざとなったら小柄な雅人、自分で運ぶことができる。
　敵陣の只中で、寝られてしまっては、元も子もない。

　冷静な判断と言えよう。
　だが、一見冷静な判断が、状況をどんどん悪くしてしまうことがある。
　最善手が、悲劇の引き金になることもある。
　思えばこの度の、円と雅人の共闘もそうだった。
　そういう、星のめぐりなのだろうか。

　刀のこの判断、のちに彼に悲劇をもたらすことになる。