モズのはやにえ？　ガラクタツリーの怪！｜リアクション

モズのはやにえ？　ガラクタツリーの怪！

【カラスの襲撃】

　それは突然だった。
　
「ああ……。午前中はのんびり乙女ゲームやって、部活に向けてテンション上げようと思ってたのに……きゃあ！」

　誰にも聞こえないようにぼやきながら、それでも一生懸命片付けに没頭していた羽生は、次の瞬間、危うく脚立から落ちそうになった。
　黒い影が目の前をかすめたのだ。

「カラス！」
「なんだよ、急に！」

　今の今まで遠巻きに飛び交っていただけのカラスが騒ぎはじめた。
　一羽、また一羽と飛び込んでくる。もしかすると光り物がどんどん回収されていく様子を見て焦ったのかもしれない。
　木の上に登っていた風雲児や日暮は手が塞がっていることもあり、上手く対応できなかった。唯一、後木だけが濡れタオルを振り回して応戦している。

「やべ！」

　急いで降りようとした風雲児めがけて、一羽急降下してきた。
　一番高いところで貴重品を丁寧に回収していたため、風雲児はカラスを追い払うようなものを手にしていない。
　誰もが目を覆いそうになった時。

「がおー、行くのだー！」

　ピンチを救ったのは、まるまる太った三毛猫だった。
　さすがは猫。その身から想像もできない俊敏な行動でカラスの行動を遮る。
　枝に着地する時、ちょっとだけ足を踏み外しそうになって焦ったのはご愛嬌。

「これ、効くかな？」

　がおーの反撃にひるんだカラス達に向かって、日暮は携帯の防犯ブザーのタグを引き抜いた。
　甲高い電子音が大きく鳴り響く。カラス達は一斉に木から離れた。

「今のうち、いったん撤収ー！」
「おう、二人ともサンキュー！　助かったぜ！」

　急ぎ降りる木の上組。さすが日頃鍛えている面々、素早く危なげなく降りきった。