モズのはやにえ？　ガラクタツリーの怪！｜リアクション

モズのはやにえ？　ガラクタツリーの怪！

【片付け開始！】

　ガラクタツリーの周りでは、既に回収作業が始まっていた。
　大きな道具を運んできた羽生碧南と風雲児轟は、木の下で光り物を取り外している恵御納夏朝に声をかける。

「恵御納さん、脚立借りてきたよ。小さいのしかなかったけど」
「はしごもゲットしたぜ！」
「……ありがとう、ございます。すいません、頼んで、しまって」

　無表情ながら丁寧に頭を下げる恵御納に、風雲児は爽やかな笑顔を向けた

「いいって。じゃ俺は上の方をやるわ。とりあえず持ち主ありそうなもの優先でいいよな」
「私は脚立で届くところまで頑張ってみるね」
「はい……。お願い、します」

　体育科の二人は素早く動き始めた。
　作業に戻ろうとした恵御納のもとに、小さな女の子が駆け寄る。
　椎名あさひは銀色をしたちぎれた鎖のようなものを差し出してみせた。

「ハルくんのおねえさん。これはゴミかなぁ」
「え、っと。ゴミ、かな」
「わかった！」
「あの、ね。椎名さん。朝早くから、お父さんお母さん心配してない？」
「大丈夫だよ。ちゃんと『行ってきます』したもん」
「そう……。なら、いいの。怪我しないように、気をつけて」
「うん！　ありがとう、おねえさん」

　にこにこ笑いながら、ガラクタの分類整理している串田美弥子の側へ戻っていく椎名を見送って、恵御納はまた作業を再開した。
　
　少し焦りがある。クローネがくる前に片付けてしまいたい。
　あの敵性カラスがこの場を見れば、絶対に何かするに決まっている。

　恵御納は忙しげに手を動かし続ける。
　そこへ突然塀の上に顔が出てきた。女の子とまんまる三毛猫。

「あ、おーい、夏朝ちゃん！　手伝いにきたのだ〜！」
「……後木さん？」

　続けてもう一つ、塀を乗り越える影。
　たまたまはしごを登り始めていた風雲児の側に現れた。

「よ、風雲児くん、手伝うよ」
「うおっ！　どっから出てくるんだよ、日暮！」
「う〜ん。なんとなく後木さんにつられた」
「つられた、って。まぁ、助かるけどな」

　串田たちの方からも声が聞こえる。

「美弥子さん、なにかあったんですか？」
「あ、時子ちゃん！　お願い、手伝って〜！」
「え、あ、はいっ」

　飛びつく串田に、御巫時子が柔らかな雰囲気そのまま驚いていた。
　
　どんどん人が集まってくる。野次馬ではない、頼りになる友人達が。

　この八ヶ月いろいろなことがあって、自分でも思っている以上に多くの人にあってきた。
　恵御納は小さく呟く。誰に向けてでもなく。

「……あり、がとう」

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