INFINITE†NIGHTMARE｜リアクション

INFINITE†NIGHTMARE

　寝子高校の休み時間。一年生の教室に面した廊下へ、紅緒とクラスメイトたちが出ていたところへ、昨晩の夢仲間が通りがかっていた。
「ルシフェル様、昨夜はお疲れ様でした。やはり、闇というものは恐ろしいものですね」
「……姫神子、か。貴様とこうして相対することになろうとは、な」
　実際の内容は単純な挨拶なのだが、独特な言い回しを聞いて、彼らの夢の外でも変わらぬ調子に皆顔を見合わせる。誰ともなく微笑みが溢れたところで、紅緒が勢い良く頭を下げた。
「昨日の事は本当にゴメンなさいっ！」
　謝罪したまま未だ頭を上げない紅緒へ、梢は笑って両手を振った。
「いえ、私は楽しかったですよー？　割とノリノリだったんですー、全米が涙する、感動短編で滅茶苦茶出来ましたし！」
「早起きは無理でしたけど、お弁当は作れましたから」
　と、時子。
「素敵なＢＬシーンが観れたから、ちょっとくらい遅刻してもいいくらいだったよ。でも紅緒ちゃん、ＢＬ属性じゃないのが残念だなあ」
　タルトがしみじみ言うと、皆が揃ってクスクスと笑いだしてしまう。
「大道寺さんがあんなお仕事をしているのは、びっくりしましたー……」
「紅緒さんがどのような小説を書かれるのか楽しみですね」
　梢と時子にそう言われた紅緒が頬を染めるのを、陽毬が微笑んで見ていた。
「どうかしたのか？」
　小声で話しかけてきた刀へ、陽毬は皆の陰に紛れてこっそり話し出した。
「紅緒ちゃん、今まで自分のお仕事のこと、皆に話したがらなかったから、昔の事気にしてるのかなって心配だったの。
　でも紅緒ちゃんにとってお仕事ってとっても大事な事で……。大事な事分かってもらえないと、ちょっと距離が出来ちゃうって言うか……仲良くなりきれない、みたいなところあるでしょ？
　だからこれが良いきっかけになったらいいなって、ちょっと思っちゃったの」
　刀がふんふんと頷いて相槌をうっていると、そこで一年生の廊下へ出張してきていた武道が、時計を確認して手を挙げた
「そろそろ行くわ。書き上がったらどんな話になったか聞かせてくれよなっ」
　義一ら他のクラスの生徒たちも、引き上げ始めた。
「今度おまえの新作出たら読んでみるわ」
「その時はサイン本を差し上げますわ」
　皆を送り出して、陽毬の「そろそろ戻ろっか？」と言う声に、１組の面々も教室へ戻っていく。
　それにしても昨晩は妙な体験をしたものだと、刀は思い出している。
（皆の……、特に大道寺の想像力は凄いが、それに付き合う友人がいるというのも驚きだ。
　わざわざ言葉を言い直してまで付き合うところが凄い）
　考えに自分で頷いて、刀は着席する前に紅緒の背を叩いた。
「いい友達だな、大事にしろよ」
　それは陽毬を指したつもりの言葉だったが、紅緒は一瞬目を丸くし、胸に手を当てた。
　夢の世界の記憶は曖昧だった、それでも皆の頑張る姿を見て、胸のうちに芽生えた温かさはしっかり覚えている。だから彼女は笑顔でこう答えた。

「ええ、あなたも含めて！」

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あとがき

担当マスター：東安曇
ファンレターはマスターページから！

　シナリオにご参加頂き、有難うございました。東安曇です。
　今回は複数のPＬの方々の物語同士が混ざり合う特殊なシナリオの為、アクションや希望シーンが部分的に採用出来なかったり、変化したものがございました。
　判定として厳しいと思われるところもあるかもしれませんが、そういった面も含めて楽しんで頂ければ幸いです。

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