初心者歓迎ゴブリン退治！　オイ待てそういう話だったかこれっ？｜リアクション

初心者歓迎ゴブリン退治！　オイ待てそういう話だったかこれっ？

　はっ、と佐藤英二は目を覚ました。
　手がシートの肘掛けを握っている。肘掛けのドリンクホルダーには、コーラの入ったカップが置かれていた。カップに触れるとまだ冷たく、雫が指を伝わった。
　客電の落ちた映画館内だ。
　眠っていたのだろうか。　
　夢を、見ていたのだろうか。
　そっと手で覆って腕時計のライトを灯すと、まだ『クイーン・オブ・デストロイヤー３』の上映時間前だと気がつく。
　夢にしては、ひどく長かったように思う。
　いや、長かった。英二は冒険者として武器屋に行き、洞窟探検に赴いて、そして……。
　ふと、前の席から尾鎌蛇那伊が顔を出した。彼は英二を見つけると、「あら」と二三度まばたきした。どうも、「君も？」と言っているかのようである。
　ブザーが鳴る。
　特別上映だから予告編はなし。ファンファーレとともに、今はもうとっくに潰れてしまった映画製作会社のロゴがスクリーンに大写しになった。
　まあ、今は映画を観ようじゃないか。
　終わってからだ。尾鎌君と話をするのは。

　このときそっと劇場から、去って行く姿があったのだが英二は気がつかなかった。
　その人物は両手を白衣に突っ込んだまま、どこへともなく姿を消した。

　『初心者歓迎ゴブリン退治！　オイ待てそういう話だったかこれっ？』終

　次回『涙のブロック崩し（仮題）』に続く。（オイ）

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました！　桂木京介です。

　本作はちょっとアクションがかけづらい内容だったかもしれません……すみません。
　けれども、そんな状況ながら、皆様から集まったアクションは、楽しかったり青春だったり、はたまたノスタルジーを感じさせるものだったりして、読みながらワクワクさせていただきました。
　ろくずっぽ展開を決めていなかったこともあり、今回は話として成立させるため、かなりアドリブを入れてしまったことをここに白状します。楽しんでいただければ良いのですが……。

　ご意見ご感想次回（あるの？）へのご要望など、いただければ嬉しく思います。
　また次のシナリオでお会いしましょう。
　桂木京介でした。

↑ページトップに戻る