寝子島高校救出戦｜リアクション

寝子島高校救出戦

●●●決戦！ピエロ対もれいび●●●

「まだやるのか？」
「フフフ、まだダヨォ…！　おもちゃを手に入れるんダァ…！」
「仲間に裏切られた滑稽なお前がおもちゃだ。要らないから俺がここで解体して捨ててやるよ」

　勇は初めてピエロと対面しているが、状況からすでに勝敗はついていると言ってもよかった。
　さきほどの傀儡師のように離脱するものだと思っていたが、そうではないらしい。
　若干の狂気じみた笑顔を見せながら安定せずに立っているピエロ。
　刀はしっかりと刃を構え、ピエロの首筋に刃を入れられる最短のルートを想像する。
　前回のように逃がさないように。

　ピエロの姿が揺らいだかと思うと、ヨハンに向かって走り出した。
　ヨハンは逃げるのではなく、前へ足を踏み出す。
　攻撃を受けて人柱となって戦闘を終わらせようと言う覚悟有る前進だ。

「プレストン！」
「さっきの攻撃か？」

　刀と勇もピエロに向かうが、ヨハンとピエロの衝突の方が早かった。
　ヨハンの腹に深々とピエロの手が突き刺さり、ピエロは勝利を確信した笑顔に変わる。
　が、ヨハンは片手でピエロの腕を掴み、逃がさない様にピエロの顔面を複数回殴る。

「あガァ！？」
「…………まだやるのか？」

　普段口を開く事が少ないヨハンが口を開き、ピエロに遠回しの投降を申し出る。
　ピエロは答えないものの、やる気はまだあるようだ。
　その証拠に、殴られた衝撃で見やった方向に空いている手で衝撃波を生み出していた。
　だが、ピエロは運が悪かったのだろう、衝撃波の先に居たのは勇だった。
　勇は衝撃波をすべてと言っていいほど受けたはずなのに、服が破けただけだ。

「神様に貰った程度の摩訶不思議な能力でふんぞり返るほど出来上がってないんでな！」

　衝撃波を受けた勇はヨハンに続き、硬化していない手でピエロを殴り、空いているピエロの片腕を捕まえる。
　軽い悲鳴を上げてるが、ヨハンがまだピエロの手を離さない。
　ヨハンは生命力を吸い取られているはずだが、その素振りも様子も見せない。

「強力な助っ人を呼んで自信満々…けどその助っ人にも裏切られて、ほんと、道化ですね」

　蝶化を解除した梢はサディスティックな笑みを浮かべ、ピエロの背後に近寄って行く。
　一本では仕留めきれないと思ったのか、手には数本のカッターが用意されていた。

「命が溢れかえっているのなら。命が単なる数というなら。ここで引き算しても、構わないですよね？」
「ア、ハハ。イイネ、イイヨ…！　その殺気…！」

　ピエロの言葉はお構いなしに心臓を狙って一本、一本。
　丁寧とも言える動作でカッターをピエロの体にうずめていく梢。
　背中からであったため、仕留められているかは分からないため、カッターを一気に引き抜いた。

　ピエロの悲鳴と共に梢の体が返り血にまみれていく。
　同時に、生命力の吸収に耐え切れなくなったヨハンが倒れてしまう。
　ピエロの片腕を抑えていた勇は、抑えていたはずの片腕がなくなっている事に気が付いた。
　いつの間にかすり抜けたピエロが恐らく逃げるつもりなのだろう、教室の窓の所に居た。

「アッハハ！　彼、良い生命力を持っていたヨォ！　これでボクのやりたい事は…」
「これで終わりだ！」

　刀にはすり抜けた動作も、その後どこに行ったのかも見えていた。
　そして、性格的に何かを言い残すならその場所だろうという事も見当が付いていた。
　先回りではなく、発生後からの神速特攻。
　刀のろっこん【加速】でピエロの首を落とすように刃を振るった。

　次の瞬間、刀の宣言した通りになったのか、空間がフツウの教室に戻っていた。
　だが、ヨハンの息が浅い事や梢の返り血がそのままな事など、その爪痕は確実に存在していた。
　刀の刃から滴る一筋の赤い雫も。

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あとがき

担当マスター：御宮久
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――――――――――――――――――業務委託契約書――――――――――――――――――――――――
ピエロ（151代目）（以下「甲」という）と傀儡師協会（以下「乙」という）は、
業務委託契約（以下「本契約」という）を次のとおり締結する。

第１条（委託業務）
甲は乙に対し、以下の業務（以下「本業務」という）を委託し、乙はこれを受託する。
（１）地球上での戦域作成
（２）地球上での戦闘サポート
（３）地球上での戦利品の分析

第２条（委託料）
１　甲は乙に対し、本業務の対価として、金38MGを支払う。
２　甲は、前項に定める委託料を本契約締結時に支払う。

第３条（契約期間・契約更新）
１　契約期間は、第168,430回地球遠征までとする。
２　契約期間満了日までに、甲乙いずれからも何ら申し出のないときは、本契約を自動的に解除する。

第４条（再委託の制限）
乙は、本業務を第三者に再委託してはならない。但し、甲が承諾したときは、その限りでない。

第５条（秘密保持）
乙は、本契約期間中または期間満了後を問わず、本業務に関して知り得た秘密を第三者に漏洩してはならず、
また本業務の遂行以外の目的に使用してはならない。

第６条（解除）
甲または乙が次の各号のいずれかに該当したときは、その相手方は解除手続を要することなく、
直ちに本契約を解除することができる。
（１）コロシアム運営部企画実行課またはそれに属する者から異議の申し立てがあったとき。
（２）傀儡師協会またはそれに属する者から異議の申し立てがあったとき。
（３）異世界協定取締保安委員会より営業の取消、停止等の処分を受けたとき。
（４）解散、減資、営業の全部または重要な一部の譲渡等の決議をしたとき。
（５）引き受けた手形、小切手が不渡り処分になる等、支払いが不能な状態になったとき。
（６）相手方が本契約の各条項に違反したとき。
（７）乙の派遣人員が生命の危険に陥ったとき。
（８）その他本契約を継続しがたい重大な事由が発生したとき。

第７条（契約終了後の処理）
本契約終了後、乙は、甲の指示に基づき、直ちに本業務に関する物品を返還または破棄するものとする。

第８条（判定管轄）
本契約に関する一切の争訟は、異世界協定取締保安委員会地方出張所を第一審の専属管轄判定所とする。

第９条（協議）
本契約に定めのない事項、または本契約の解釈等に疑義が生じたときは、甲乙は誠意を持って協議し、
円満に解決を図るものとする。

本契約締結の証として、本書を入れ込んだ宝珠を甲乙それぞれ各一つを保管する。

第168,428回地球遠征より有効とする

甲　住所　コロシアム運営部第231寮　578号室
　　協会　コロシアム運営部企画実行課
　　　チームリーダー（暫定）　　ピエロ（151代目）　　　　印

乙　住所　傀儡師協会　グレーン支部
　　　協会　傀儡師協会　　　　　　　　　　　　　　　　　印
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