寝子祭前日談　～準備はどうだい？～｜リアクション

寝子祭前日談　～準備はどうだい？～

　実行委員会アジトを後にした修は、射撃部と新聞部が泊まる事になっていた新聞部の部室へ向かう。実をいうと、仕事の量は半端無かったがどうにかこうにか大半は終らせる事が出来ていたのだ。まぁ、それは仲間たちのお陰でもあるので、それは心から感謝していた。
「あ、修ちゃんなのだ」
「おっかえりー！」
　後木真央と椿美咲紀が修を出迎える。部屋の奥では日々野結衣香と維都月茉菜もまた、先に夕食を食べつつ頭を下げる。因みに、机の上には美咲紀お手製おにぎりや真央が作った試食品のほか、コンビニで買ったパンなどが並んでいた。
「美味そうだな」
「コーヒー入れたよ～。手、洗ってきた？」
　修がそれらを見てにこっ、と笑うと茉菜がコーヒー入りのカップをテーブルに置く。修が質問に答えれば皆がそろい、夕食の時間。
（皆で食べるっていいなぁ）
　おしゃべりしつつご飯を食べればいつもより美味しく感じて、結衣香は顔を綻ばせる。と、口元にごはんつぶがついていたりして美咲紀にとってもらったり、みんなでおかずの交換をしたり、と実ににぎやかだった。
　食事の後、休憩を挟んで準備に勤しみ……午後１０時近くなったところで休む事に。だが、彼らはまだ眠らない。
「枕投げするのだ！」
　真央が声も高らかにどこからとも無く枕を取り出し、身構える。それに修は最初きょとん、としたものの直ぐに笑顔になった。
「あぁ、受けてたとう」
「じゃあ、いきますよーっ！」
　早速美咲紀が修めがけ枕を投げる。それをどうにか捌く修だったが……？
「や、やっぱり女の子になげるのはできないよぉ～」
「えーい！」
　悩んだ挙句に投げる茉菜と、のりのりで投げる結衣香。それらを捌ききれず、顔にくらってしまう修。おもわず「あうっ？！」と声を上げたその瞬間に、美咲紀が顔を赤くした。
（その顔ですぅ～♪　色々掛け算的妄想捗りますぅ～♪）
　一体そこで何を妄想しているかはさておき、美咲紀もまた修へと枕を投げる！　だが修だって負けてはいない。
「俺だってやられっぱなしじゃないからな」
　苦笑して（でも手加減しつつ）枕を投げ返す修。真央や結衣香が楽しそうにキャッチしたり、顔面で受けてしまったりして楽しそうだった。茉菜がはしゃいで枕を投げたら事故的に美咲紀へとぶつかってしまったり、となんだかんだでわいわいすごす事になった。
　宿屋におく予定のクッキーの試食も行ったが、これはなかなか好評で、あっという間になくなってしまった事を付け加えておく。

　その頃。寝子祭実行委員会の宿泊組は最終調整などを行った後、就寝準備も行っていた。
「先生、委員長、ありがとうございます」
　響也が付き添いになってくれた美和と書類を提出してくれた由貴奈に礼を述べる。
「頑張っている姿みてたら、応援したくなっちゃうもの。だからかな？」
「順調に進んでいるけど、気は抜きたくないからね」
　と美和と由貴奈が言えば、響也は益々がんばろう、という気持ちになる。彼は既にジャージに着替え、男女別に休めるようパーティションを準備していた。
　よく見れば男子側では、警備のために見回る予定になっていた零が仮眠を取っていた。その寝顔は安らかで、一見愛らしい女の子が眠っているように見える。その横顔をぱしゃり、と由貴奈が撮っており翌日見せてもらった零が赤面するという事態になるも、このときは誰も解らなかった。
「しかし、夜の学校ってやっぱり怖いわぁ……」
　トイレから戻ってきたマリベルがぽつり、と呟けば、響也は苦笑して相槌を打つ。

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