みかんを駆逐せよ｜リアクション

みかんを駆逐せよ

　９　妄想タイム

「あ、そこ付いちゃってるよ」
　此方の頬についたアイスに、未沙は顔を近付ける。
「じっとしてて、取ってあげる」

　ぺろん、とアイスを舐め取り、「うん、美味しい」とにこっと笑って。
「ほら、取れたよ」
　――なんてことをしたかったのだけど、此方はほっぺにアイスをつけなかったし、席が離れていたので残念ながら出来なかった。

　今、未沙はスイーツを食べながら窓から見えるみかん詰め放題の様子を眺めていた。皆、ビニール袋の限界に挑戦している。とても平和な光景だ。でも、目は自然と可愛い女の子を追っている。
（胸にみかんを詰め込む子がいたら、みかんごと胸を揉みしだくんだけどな）
　みかんを詰める可愛い子の控えめな胸を見ながら、想像する。
『あたしの目は誤魔化せないんだから』
　そう言って、背後から女の子の胸をしっかりつかむ。
『こんなところに』
　驚く彼女に構わずに服の下にあるみかんを強く揉む。すると、みかんが潰れて果汁が出た。
『あっ』
『大丈夫、あたしが綺麗に舐め取ってア・ゲ・ル☆』
　そして――なんて。
　それとも。と、食べかけの生クリームたっぷりのパフェを見る。
“あら、そんな処にまで垂らしちゃって、イケナイ子ね”
“そんなにあたしに食べて欲しいの？”
“仕方ないなぁ、ほら服がシミになっちゃうから脱ぎなさい”
“じっとして、あたしに身を委ねて”
　……………………
“これで綺麗になったでしょ”
“あら？　まだ汚れているところがあるじゃない”
“そっちも綺麗にしてあげるから……”
　なんて。
　生クリームの味に妄想の味を付け加えて、未沙はパフェを食べ続けた。

このページにイラストを設定する