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【ふたり】
別に、付き合っているというわけでは無いのです。触れ合う距離は縮まったとしても、改まってそういった話をしたことはありません。
けれど気付けばいつの間にか、
橘 千歳
にとっては、彼が隣にいることが、ごく当たり前のことになっていました。
だからでしょうか? きゅうきゅうに混み合う車内で、シートには座れず立ちっぱなし、それもあと20分ほど電車は動かない……なんてアナウンスが聞こえてきても、千歳がそれを苦痛に思うことはありません。退屈だなぁ、などとも思いません。
ぼんやりと窓の外を眺めていたら、ふと自分を見ている彼と、
御剣 刀
と目が合って。オレンジ色の光に染まった顔にどきりとして、それを誤魔化すように、
「なに? 私が夕焼けに見惚れてたら、おかしい?」
「いや……そんなことはないよ」
何だか照れたようにそっぽを向いた彼に、千歳はくすりと笑みを浮かべます。
学校帰りの、いつもの光景。いつもと同じで、彼と一緒。
けれど。
けれど……少しばかりの間、こうして電車が止まってしまったことだけが、この日に違っていたわけではありませんでした。
「刀君、どうかしたの?」
先ほどから何か、彼が言いたいような……そして言いづらいような、そんな顔をしているのには、千歳も気付いてはいました。何となく、そんなところに気付けるくらいには、距離が縮まったのかな、なんて。あ、分かった、またテストで赤点取っちゃったとか? もう、しょうがないんだから、刀君は……。
自分の思考がどうにも能天気であったことを、口を開いた刀の言葉で、千歳は思い知りました。
「……なあ。千歳。えっと……もうさ、朝の練習とか、こうやって一緒に帰るのとか。止めようと思うんだ」
さああ、と。全身から一斉に血の気が引いていくような、冷たくなっていくような。
そんな気の遠くなるような衝撃が、千歳を襲いました。
「………………え……な、ん……」
「ちょっと、ひとりでやらなきゃいけないことがあって。もう……千歳と一緒には、いられないんだ」
なんで? 何が、どうして? 言葉は上手く音になってくれず、喉のあたりがからからに乾いていくような。冷たい嫌な汗が噴き出すような。
別に、付き合っているというわけでは無いのです。
それなのに。
「色々と、あってさ。このままだと、俺は……千歳を傷付けてしまいそうで。そんなのは、俺は、絶対に嫌で。耐えられないんだ。だから……」
彼の声が、何だか遠くから聞こえてくるような気がします。にわかに遠ざかった距離感が、あたかも彼と自分との、本当の心の距離を表しているような。そんな気すらしてきます。
(……私……もう、いらない、って……そういう、こと? 私は、もう……刀君にとって、不要だってこと……?)
ふと。思い出します。脈絡も無く幼い頃の記憶を、なぜか、今。
双子の姉。いつも一緒だった大切な姉と、一時引き離されて、ひとり、親戚の家へと預けられた時のこと。あの時に感じた不安。胸を締め付けるような、切なさ。
あの時ですら……これほどに、ぎゅうと締め上げられるような苦しさ、切なさを覚えはしなかったのに。
彼と、離れる? 朝の稽古も、一緒の帰り道で他愛の無いおしゃべりをするあの時間も、もう、二度と……?
「だから……もう、止めようと思う。でも、千歳なら大丈夫だろ? 俺なんかがいなくてもさ」
彼の口から、そんな言葉を聞いた、その瞬間。
千歳は胸の内から湧き上がる、もうひとつの感情の存在に気付きました。
(……何? それ?)
ふつふつと、徐々に煮えたぎってくるような。
それは、怒りでした。
刀にだって、もちろんのこと。大いに葛藤がありました。こうして話を切り出すのには、随分と苦労をしたものです。
何せ彼女には、世話になりっぱなしです。その彼女への恩義を返すこともなく、全て放り投げるように、一方的な言葉を告げていることには、もちろんのこと、刀の胸中とて穏やかでは無いのです。
けれど、それでも。
「ほら……いつも勉強教えてくれてるよな、でも俺、全然結果出せてないし。それに……それに。自分の傍にいる人くらいは守りたい、なんて偉そうなこと言って、俺は、結局……守れてない。俺は……」
例えば、
あの時
のように。フツウであったはずの自分の日常へ入り込む、血生臭い事件。奇妙な現象。途方も無い危険。
不安なのは、それらに対して、自分がこっぴどく痛めつけられることでは無いのです。むしろ傍らの、この大切な人が巻き込まれ、傷付けられてしまうこと。手を伸ばしても届かず、失ってしまうこと。
それこそが、刀の恐れることなのです。そんなのは到底、耐えられそうにないのです。
千歳は、大人しく話を聞いてくれているように見えました。刀はそこに安心しつつも、一抹の寂しさをも感じます。当然のこと、彼女のもとから自ら、身を引こうというのですから。
「だから……こんな、駄目な俺なんかよりも、さ。この島にはずっとずっと、良い奴がいて……それで千歳のこと、放っておかないって。な! 千歳は美人だし、勉強もできて、料理もできて。時々厳しいけど……優しくて……」
良い女だよ。千歳はさ。だから、さ。
渦巻く感情を振り払うように、そう、言葉を搾り出した……直後でした。
「……どうして……」
「ん?」
「どうしてっ、いつもいつも、いつも!! そうやって、そんなに、身勝手なの!? 刀君は……!!」
烈火のごとく、とでも形容できそうなほどに、千歳が怒声を張り上げたのは。
「ち、千歳?」
「ええそうね、確かにこの島には良い人がたくさんいるでしょうね、で? それが何? 何だっていうの?」
眉を吊り上げてまくし立てる千歳の勢いに、何事かと注目した周りの乗客たちの目もあって、刀は空気と一緒に言葉を呑み込みます。
「私の気持ちは……どうなるのよ!?」
そして刀は、またしても自分が、独りよがりに突っ走ってしまっていたことを知りました。
「いや……だから、俺は……千歳が、その、大切だから。それで……」
「大体、ひとりで何をやるって? どうせまた、危ないことに首を突っ込むつもりなんでしょう!? 確かにいつも小言とか言うし、私のことウザイって思われても仕方ないかもしれないけど、でもね? それって刀君がいつもいつもそうやって、ひとりで無茶をするからじゃない……!」
ふたりとも、今でなければ、冷静な頭で互いの言葉を聞いたなら、気づいたかもしれません。あるいは後ほどに、沸騰しそうな頭にぐるぐると、互いの言葉を思い返しながらに、気づくのかもしれません。
互いが互いへと抱く、この感情の正体に。
「私を遠ざければ、それは刀君には都合が良いんでしょうね、うるさい私がいなくなればいくらだって、ひとりでのめりこんで行けるでしょうから。危ないことにね! 私がそれを、どうでも良いことだと……そう、思ってるとでも? 私を……私を馬鹿にするのも、いい加減にしてよ!!」
「……千歳……」
話はこれで、おしまい! と一方的に切り上げて、千歳はぷいと顔をそむけてしまいました。
結局のところ、刀のもとから離れることを千歳は了承せず、彼女の安全を図ろうという刀の思惑は、失敗に終わったようです。良くも悪くも。
「…………分かった。悪かったよ、千歳」
幾度も言葉に詰まるようなそぶりを見せながら、ようやくそう、言葉を発した刀へ。千歳はちらり、バツが悪そうに、視線を流します。
「これからも、一緒に帰ろう。剣の練習もしよう。だから……その。妙なことを言って、悪かった。許してくれ」
「代わりの……」
「うん?」
小さく、ぽつりと。つぶやくようにではありましたけれど。そこにはきっと、千歳の抱く思いの全てが、乗せられていたはずです。
「代わりの人の話なんて、しないで……刀君は、ひとりしかいないんだから。代わりの人なんて、いないんだから……」
「……ああ」
明日も、明後日も、きっとその次の日も、いつもと変わらず剣の練習をして、ふたりは一緒に帰るのでしょう。
電車が動き出すまで、ふたりは黙りこくったまま、並んで窓の外の夕焼けを眺めていました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月25日
参加申し込みの期限
2015年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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