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【望外の光】
犬の脱走騒ぎは、どうやら収まった様子。静かにそれを見守っていた
浅葱 あやめ
も、ひとまず安堵……けれど。
(やっぱり……何も、できなかった)
湧き上がってくるのは、あの犬が特に何事も無く飼い主の下へと戻ることができたことへの安堵よりも、そこへ自分も何かしらの協力をすべきでは無かったか……彼らに話しかけて、一緒に何か、行動をするべきでは無かったか。そんな自己嫌悪。何をしてあげるでもなく、ただぼんやりと眺めるばかりだった自分の胸を締める、不快な感覚。
何だか惨めな気分に落ち込みながら、あやめは手元へと目線を戻します。
タブレットPCの画面に呼び出した、文字の羅列。所属する劇団にて、次に上演する演目の候補として提出された、脚本の草案のひとつ。そこに何かしらの意見が欲しいと、あやめは頼まれているのです。
読み進めるうち、気付くことがありました。
登場人物のひとり。20代半ば、男性。いささか卑屈な精神の持ち主で、喋りは暗く、内に篭もりがち。そのくせ、一度誰かに打ち解けたなら、行き過ぎなほどに相手へと依存してしまう……そんな男。
似ている気がするのです。それもひどく。
自分に、どうにも似ている気がしてくるのです。
あやめは脚本を指でなぞりながら、
(……このセリフを、口にしながら。彼は、何を感じているだろう。何を考えているだろう……)
考えます。演ずるべき役柄に思いを馳せ、自分を重ね合わせて、深く思考を突き詰めていきます。
(彼は、笑いながら、何を感じているだろう。泣きながら、何を思っているだろう)
時に他のスタッフ、例えば脚本家や演出家などとの話し合いも経て、そうして作り上げた人物を、あやめは、自身の中へと『落とし込む』。それが、彼の演技におけるプロセスです。
だから、でしょうか? あやめは時折、役柄が自分の中へと根を張っていく過程で、本来の自分が追い散らされていくような……そんな感覚を覚えることがありました。
そして彼は、それが正しいことだと考えているのです。
(……僕は……)
役柄であるはずの【男】が、次第に自分の中へと染み込み、【ぼく】へと変わっていく。そこには、あやめという人間は、
(『僕』は、存在しない。【ぼく】が見て、聞いて、感じて、話して、動いて……)
そうして舞台の上で、【ぼく】は謳歌するのです。正しく真実の、生を。
【ぼく】は、ここに生きているのだと。
【ぼく】は、ここで生きていていいのだと。
実感するのです……【ぼく】は、『僕』では無いにも関わらず。
(……それでいい)
そう、あやめは思います。
自分の中で息づく、嫌というほどに自覚している、この感情。真っ黒で醜い、こんな感情。全て、あやめの舞台には必要のないもの。そう、混じりけの無い、美しい【ぼく】だけが、そこにはあればいい。
自分に似た男が自分の中へと入り込んで来るのを、あやめは拒みません。振り返れば先日の
演劇祭
だって、そうすることで、舞台は素晴らしいものとなったのですから。
あの時、確かに自分の中に存在した、美しい燕の魂。自分の身体を動かし、劇団のみなと協力し合って舞台を作り上げた、気高い燕の魂。
あの【ぼく】が、『僕』であったなら。
(……でも、もういない。舞台は終わった……燕は寒さに、死んだんだ)
けれど。
けれど、そうなのでしょうか? 本当に。
それが『僕』の、あやめの、心よりの望みなのでしょうか?
ぼんやりと海を眺める
朝鳥 さゆる
は、沈みかけの夕日に、この二日ばかりのぐずぐずと爛れるような時間の流れを思い返します。
相手のことは、まるで知りません。ほんの気まぐれ、ふらりと訪れた鎌倉で、ふと顔を合わせただけ。それだけの男。その彼の家へと誘われるままに上がりこみ、朝な夕なと、ただひたすらに貪り合っただけ。
熱いシャワーを浴びてぬるつく残滓を洗い流した後、挨拶もそこそこに男の家を出て、電車へ乗ったのが昼過ぎのこと。とっくに身体の火照りは冷めていて……けれど、この空虚な心は、きっとそればかりが理由ではないのでしょう。
まばゆいオレンジの海を、ぼんやりと。さゆるは眺めながら、物憂げに、半ば伏せた睫毛を揺らします。ポケットのスマホに繋がるイヤホンから流れる楽曲も、彼女を満たすには到底、まるで足りません。
自分の中に入り込む男の猛った息づかいや、肌に浮かぶ汗粒の香りや、腰を蕩かすようなあの快楽を、さゆるは特に好んでいるわけではないような気がします。ただ、ぽっかりと空虚な心の穴を埋めるのには、その手段としては適当であるのだと、そう感じているだけなのだと。
けれど、さゆるの心はこんなにも、ぽっかりと空いていて。空虚で。どこの誰と、どれだけ求め合おうとも、満たされなくて。
胸へのしかかる重さに、何だか、まるで……深い海の中を、当て所なくさまよい泳いでいるかのようで。
そんな現実感の薄さが、今、さゆるの意識を占めていました。目の前に広がるオレンジ色の海、その中を、ゆらゆらとたゆたっているような……海面から差し込む光の眩しさと、海底の暗い安寧の狭間を、ゆらゆらと。ひたすらに。行くべき方向も分からずに……。
(……夢より、性質が悪いわね)
目覚めているのか。未だ夢の中なのか……電車がぴたりと停止して、規則的に刻むあのリズムが途切れてしまったことも、そこに拍車をかけていたのかも知れません。さゆるの感覚は曖昧で、起きながらに眠っているような。夢の中で覚醒しているような。
やがて、真っ直ぐに瞳へと飛び込んでくる情報が、さゆるの中で渦を巻き、全てとひとつになっていきます。夕日のオレンジ色も。揺れる波間も。まぶたの裏に映る、男との怠惰な交わりの記憶も。胸の中の虚ろも。いつしか、聞き流すこの音楽さえも、ぐるぐると……。
(生きてるのかしら。あたし。それとも、もう……)
遠からず、何かしらの形で破滅が訪れるであろうことは、さゆるにも分かっていました。痛いほどに、じゅうぶんに。
夕日は必ず沈んで、いずれ長い夜が訪れるでしょう。夜はいずれ明けて、朝の輝きが世界を満たすでしょう。
けれど。自分は? さゆるの朝は、いつ訪れるのでしょうか。それとももう、ずっとこのまま、明けない夜の中で……このまま……。
(…………っ)
首を振ります。そのまま浸っていても、何もかも終わってしまっても、それはそれで構わないような気がしながらも。今はまだ。
さゆる自身にも、どうしたいのかは、自分がどうなりたいのかは、良く分かりません……けれど、今はまだ。もう少し。
(今夜は、睡眠薬が必要ね……)
ただでさえ、夢のような現のような、頼りない現実感。
せめて、今夜くらいは……夢を見ない眠りが欲しい。
顔色が悪いですよ、こちらへ座ってください。さあ、遠慮せず。さあ。さあ。
親切のつもりなのでしょう。けれど
葉利沢 倫理子
にとっては、望まないこと。余計なお世話というものです。
「……いえ……大丈夫です。ご心配なく……」
短く言って、断ります。弱々しいかすれ声ながらもどうにか、構われたくないという彼女の意図は伝わってくれたようで、以降、彼女にそうして声をかける誰かは、現れませんでした。
電車は混んでいて、倫理子は閉じたドアにもたれて立ったまま、気だるいため息を吐き出します。けれど気分が重く、どうにも沈みこんで晴れないのは、じんわりと身体に満ちる疲労感のためではありません。
本土へ出向いた用事は、触れられたくない過去……詳細を思い出すのもためらわれるほどに、未だ彼女を苛むあの数日間に起因すること。そんな気の進まない用事を済ませたなら、いくらか気分も晴れるかと思えば、そんなこともなくて。
体調を崩し、早めに切り上げ帰路についたところで、乗り込んだ電車が点検とやらで停車してしまい、しばしの立ち往生。倫理子の負っている負担は、彼女にとっていささかに許容しがたい程度には、厳しいものではありました。
それでも倫理子が、あの親切な乗客のありがたい申し出をつっぱねて、ふいと顔をそらして見せたのは、
(……きっと、そうしたら、眠ってしまうから……)
こうして立っていても、心身ともに疲労した身体が、止め処なく睡眠の必要を訴えてきます。座り心地の良いシートなどに腰掛けたなら、もはや抵抗できるとは思えません。
眠りたくない。眠ったらきっと、夢に見てしまうから。思い出してしまうから。
脳裏へと鮮明に、フラッシュバックしてしまうから。
自身の身をきつく抱いて、倫理子は時が過ぎ去るのを待ちます。
眠ったら、蘇ってくる。あの冬の夜。寒さを感じる余裕なんて無いほどの熱さ。下腹部を裂くような痛み。身体中を覆う鈍痛。あたりへ満ちる血の臭いに、身体にへばりつくすえた臭い。自分が壊されていく恐怖。汚されていく恥辱と屈辱。絶望と諦観。
「…………う……」
よろめいて、扉へ手をつきます。先ほど声をかけてきた乗客がこちらを気にしているような気配がありつつも、それでも倫理子はあくまで頼らず、自分の足で立ち続けます。
そうして、耐えていたら。
扉にはめ込まれた窓、そこへ添えた自身の指先が目に入り……そして。彼女は、見ました。
「……! あ……」
窓の向こう、あのまぶしい、夕焼け空を。
瞳の中へ飛び込んでくる、オレンジ色の彩光。それはあまりにもまぶしくて、鮮烈で。倫理子の胸の中、心にまでも飛び込んで、あたたかく満ちていくようで。
いつしか彼女は両手を扉へついて、まるで子供のようにきらきらと双眸を輝かせながらに、夕日の美しさに見入り……しばしの間、過去を忘れました。
自然、瞳は潤んで。泣きたくなるほどに広く、深く、綺麗な空。ずっとずっと、眺めていたい。
(そうしたら、私……)
あの男たちが自分へと刻み付けた、消えない傷。どんなに洗い流しても落ちない、おぞましい汚れ。そんなものまでも、この夕焼けが白く浄化してくれるような。そんな気がして。
(……そうしたら、少しは、私……キレイな身体に……戻れるのかな……)
電車が動き出すまで、しばしこのあたたかさに身を委ねて。いつになく穏やかな心持ちは、終わらない悪夢に翻弄される倫理子への、誰かからの気まぐれなプレゼントのようにも思えました。
自分ではない自分。理想の自分。
自分らしい自分。本当の自分。
戻れない、いつかの自分。過去と今の自分。
見えづらく、時に見失い、ようやく掴んだと思えばするりと、再び離れてゆらり、ゆらりと。
自分、とは一体、何なのでしょうか?
彼らはこれからも、さまよい泳ぐのでしょう。深くて広い、思考の海を。
そして時に立ち止まっては、こんな風に輝く世界を垣間見て、図らずも癒され、再び泳ぎ始めるのでしょう。
すぐ側に、自身の程近いところへと差し込む光、振り向けばすぐそこにあるあの光へと気付く、その瞬間まで。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月25日
参加申し込みの期限
2015年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月01日 11時00分
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