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秋桜、ふたりぼっち
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陽が、沈もうとしていました。
むしろそれを待っていたかのように、
五十士 柊斗
はこの場所に足を踏み入れています。
時間帯が時間帯ですからもう、彼と入れ違うようにして、家路につくお客さんばかりです。だから柊斗の歩みは、人の波を逆に歩いているようになります。
いいんです。
もちろん秋桜を楽しむという目的もありましたが、柊斗がここに来た本当の目的は、独りで考えることにあったのですから。
胸の中に秘めた想い……ずっと抱きしめたまま家にいては、なにかもの狂おしい気持ちになりそうでした。
それは柊斗にとって、想いであり、迷いでもありました。
歩き、考えを整理して、せめて迷いから自由になりたい――そう彼は願っていたのです。
なのに。
「えっ……!」
なのに柊斗がここで、
エリューシア・セリアン
と出会ってしまったのは、なぜなのか。
広々とした秋桜畑の前方に、立ち尽くしているのはたしかに彼女です。
「柊斗様……?」
エリューシアは言いました。
陽が、沈もうとしていました。
エリューシアがこの時間帯に、この場所を訪れたのはまったくの偶然です。
散歩と称し、ただふらふらとさまようように、歩きに歩いたその先に、秋桜畑があったというだけのこと。
もう夕方なので帰宅する人が多く、今から秋桜見物を考えている人はいないようでした。
それならそれで好都合、むしろ独りになりたくて、エリューシアは紫と緑の世界に入りました。静かな環境にいれば、胸を痛めるほどのこの想いを、鎮めることができるかもしれません。
――そういえば、この場所……。
聞いたことがあります。
この場所ではときとして、会いたいと願う人の幻と出会うことができると。
もちろん噂であり、言い換えてみたところでただの言い伝えです。とはいえロマンティックな話ではあります。
あの方とお会いしたいものですね――エリューシアは思いました。戯れに心中、祈ってみたりもしました。
まさかそれが叶うとは。
「柊斗様……?」
エリューシアは言いました。
目の前がさあっとひらけるような感覚があって、瞬きをするとその場所に、柊斗が立っていたのです。
人の姿がはたと絶えました。エリューシア以外の人間は見えません。
そればかりか、秋桜畑の端がなくなったのがわかります。
とすれば――柊斗は考えました。
この島で何度か体験した不思議な現象、それにとらわれてしまったのでしょう。ただ今回は以前、果てしなき商店街に飛ばされたときのように重々しい気分はしませんでした。そればかりか、エリューシアに出会えたことを考えると、むしろ感謝したいくらいです。
とはいえ、本当のエリューシアに会えたとは思いません。夕方の秋桜畑に彼女がいあわせるという偶然は、そうそう起こらないものでしょう。きっと目の前の彼女は幻で、本当の彼女ではないに違いない。
そう思うとほっとします。
「エリューシアさん、奇遇だね」
柊斗は穏やかな笑みを浮かべました。
――本当の彼女ではないのなら、いつもなら隠している気持ちを言葉にしても許されるだろうか……。
このとき、エリューシアがほぼ同じことを考えていたということを、柊斗には知るよしもありません。
彼女もまた、柊斗を本当の柊斗だとは思っていませんでした。
――言い伝えは真実だったのでしょう。おそらく、あの柊斗様は幻……これは、私が会いたい会いたいと思いすぎたからでしょうか?
だとすれば、とエリューシアは思うのです。
――いつもは気後れして言えないことを……お伝えしてもいい……ですよね?
「えっと……」
柊斗が言い、
「あの……」
エリューシアが言いました。
「どうぞ」
と譲ったのも同時、ですが、柊斗は是非に、というように手を動かしてエリューシアを促しました。
普段のエリューシアであればもうここで固辞して、どうしても彼を優先しようとしたでしょう。けれども今日、決意をかためたエリューシアは違います。胸の内を吐き出すようにして言いました。
「柊斗様……あの、とても会いたかったです。でも、頻繁にご連絡しても迷惑かと思って……嫌われたくなくて勇気が出ませんでした」
言いながら彼女は、両手の指を胸の前で組んでいました。ぎゅっと、強く。
いくら決意していたとしても、いくら幻の世界であったとしても、その先を告げるのは勇気がいりました。
「本当は……ネコフェスの時だって、手をつなぎたかったんです。でも柊斗様には迷惑だろうと思って……私、高校生ですから、柊斗様より子どもで……」
両目にあふれる涙を、どうしてもエリューシアは止められませんでした。
「私なんかが好きになったら迷惑でしょうから……好きになっちゃいけない、好きになっちゃいけないって自分に言い聞かせて……でも、そうするとどんどん好きな気持ちがあふれるんです」
はっ、と柊斗が驚いたような顔をするのが見えました。
だからといって、もうエリューシアは自分の想いを止められないのです。
「私のこと、好きになってくださいなんて言いませんから……柊斗様のこと、好きになってもいいですか?
ときどき、連絡してもいいですか?
手を、つないでもいいですか?」
エリューシアは今にも、柊斗に駆け寄らんばかりの勢いです。
――あのエリューシアさんは幻。幻……だとしても。
柊斗はたじろぎました。
こんなエリューシアの姿を見たことがなかったからです。けれど真に、自分がたじろいでいるのは、別の理由によるものでしょう。
幻だとすれば、今目にしているものにはきっと柊斗自身の、心に秘めた願望が反映されているに違いないのです。
雪の妖精のようなエリューシア、美しい瞳をした少女がどうして自分に……自分のような人間に、ここまで熱烈な愛を寄せてくれるでしょう……。
――やはり、俺は……?
重く冷たい鋼の鎖に、心臓を直接縛られたかのよう。
苦しい気持ち、血を吐きそうな気持ちを、柊斗は口にしました。
「俺には……遠くに住む妹がいるんだ」
いつもなら、絶対に言えない言葉です。
「先に謝っておきたい。君と出会ったとき、俺は君の姿を……妹と重ねてしまった。なぜだろうね、年頃は同じでも、君と妹はまったく似ていないのに……。そんな自分に、罪悪感があるんだ」
なにか言おうとしたエリューシアを制して、彼は続けます。
それは彼女が傷ついてしまったら、笑顔でいられなくなったならという恐れから、笑顔の下に仕舞いこんでいる想い、そして迷いでした。
「君の好意は嬉しい。きっと今だって、慰めの言葉をかけようとしてくれたんだろう……」
ここで彼は、ぐっと真剣な口調になりました。
「でも俺は自分が、大した人間ではないと思っている。いやむしろ、つまらない人間だ。だから……君からの好意を受け取る資格があるのか……そのことに、悩み続けているんだ。もし君を傷つけたらという恐れがあって、でも君には笑顔でいてほしいとも思っていて……ごめん、矛盾しているね」
「資格……それを言うなら同じです」
このとき大きく一歩、踏み出したのはエリューシアでした。
「そのことは、私も考えていました。私などが、柊斗様と手をつなぐ資格があるとは思えません……けれど……!」
エリューシアは、叫ぶように言いました。
「私は、そうしたいと思っているんです……!」
実際に大声を出したわけではありません。けれども、彼女にとってはそれくらい、覚悟のいる台詞であり行動だったのです。
エリューシアは手を伸ばしていました。
――幻だから。
実際にはつかめないはず――。
柊斗は彼女の手を握りました。
「温かい……え?」
「………………!」
エリューシアは息を呑み、柊斗はただ、呆然としました。
――幻じゃ、ない。
数秒の沈黙の後、いつしか周囲には人の声が聞こえるようになりました。
「……ごめん」
ようやく柊斗が絞り出すようにして漏らした声です。
しかしエリューシアはそれどころではありませんでした。
さあっと青ざめたかと思いきや、今度は恥ずかしさで真っ赤に赤面します。
「い、今言ったことは、聞かなかったことにして、くださいっ……! も、申しわけありませんっ」
ああ、もうどうしたらいいのか。
逃げ出したい。けれど逃げて、どうなるというのでしょう。
いつしか彼女は膝からその場に崩れ落ち、ぺたっと座り込んでいました。
彼の顔を見ることができません。きっと、当惑の表情でいることでしょう。
おかしな子と、思われただけならまだ耐えられるかもしれません。けれどこれが原因で本当に嫌われてしまったら……!
狼狽ぶりでは柊斗も同様です。
けれど年齢的にも、彼のほうが、ほんの少し、大人でした。
「エリューシアさん……あの……」
そう言って、彼は手をさしのべたのです。
「帰ろうか。一緒に」
エリューシアはおそるおそる手を出し……彼の手をしっかりと握りました。
また一つ、新たな悩みは生まれたかもしれません。
けれど一つ、大きな壁が崩れた瞬間でした。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月05日
参加申し込みの期限
2015年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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