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秋桜、ふたりぼっち
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霧生 深雪
は彼と歩いています。兄……というには少し、経緯が複雑ですが、とりあえずは兄的な存在の彼と。
ふたりを囲むのは秋桜の花。
白。
桃色。
いずれも美しいものですが、やはり赤紫がなんとなく深雪は好きでした。
それよりも彼です。なんとなく散策、といった体の深雪と比べれば、明らかにこの花を楽しんでいるのがわかります。目も輝かせたりして、本当に嬉しそう。
「この間も見に行ったけど……本当、この花好きだよなぁ」
ややあきれ口調で深雪は言うのです。
「ときどき凄い乙女趣味発揮するよな……」
そうです。
本日、深雪にとっては単なる休日の一日という程度の話でしたが、彼のほうは大変な張り切り具合で、ピクニックだと断言し弁当まで作ってくれたのです。もちろん、二人分。
「小休止するか?」
腰掛けるにちょうどいいスペースを見つけて深雪が座ろうとすると、彼のほうがさっと、レジャーシートを広げてくれました。
「ああ、ま……準備のいいことで」
などと言って深雪はどかっとあぐらをかきました。ところが、すぐに休憩とはいかないようで、
「え? 前の花冠のお返し作ってほしいって? どんな乙女なんだよマジで……」
仕方なしに深雪はせっせと、作業にいそしむのでした。
まもなく、愛らしいと表現したくなるような、素敵な冠ができました。
「小さい頃に作ったきりだけど、案外覚えているもんだ」
作ってみるとなかなかのものだったので、深雪はちょっと満足げに言ってみて……急に我に返るのです。相手は男性、しかもいい年(たぶん)の大人ではありませんか。
「何やってんだ俺……」
とはいえど彼は待っているご様子、物欲しそうな眼でこちらを見ております。
「ええい! ほらこれでいいか?」
ちょっと乱暴に深雪は彼の頭に花冠を乗せてあげました。斜めになったのを、彼自身がちょいと直します。
そうするとどうでしょう。彼はたちまち、可憐な美少女に見えました。深窓のお嬢様というような……男性ですけど、歳上ですけど。
――こいつ顔はいいから似合うんだよな……うぜぇ。
なんでしょうこのモヤモヤ。深雪は彼に嫉妬しているのでしょうか? 憧れてしまっているのでしょうか? それとも、見とれた……?
「ああもう! 飯にしようぜ飯!」
自分の中の妙な気持ちに苛ついたのか、深雪は荒っぽく言い放ちました。
バスケットから出てきたのは、お弁当。これがまた、料理本の写真みたいなレベルの完成度なのです。彼は料理も上手い。
「……そういえば気付かなかったけど、周り全然人いねぇな」
ぱくつきながら深雪は言いました。
秋桜に囲まれて二人きり……どうも、出来過ぎたシチュエーションかもしれません。
そう悪い気はしません。
彼が自分を見つめています。
黙って深雪も見つめ返しました。
一つ屋根の下暮らしておきながら、これまであまり彼と、こうなる状況はありませんでした。
「あー……うん、が、学校のことでも話すか」
ちょっと言葉に困った深雪ですが、ちょうど先日、行われたばかりの進路相談のことを話そうと決めました。
「……それで俺、卒業後は留学するつもりなんだ。目指してるのはウィーンの音楽学校」
ピアニストとして行けるところまで行ってみたい、それが深雪の正直な気持ちです。
希望に満ちた未来でしょう。けれども深雪の眼には、沈んだ色もありました。
「卒業したら寮は出なければいけないし、今の生活は続けられない……」
とまで言って、なんだか彼が押し黙ったのを察すると、
「そ、それでそっちは、この先どうするんだ?」
と水を向けました。これでこの話題は終わりにしたい、そういう意図をこめて。
ところが花冠を被ったまま、その人は意外なことを言ったのです。
「いや……その……ずっと俺と一緒ってわけには行かねぇだろ……?」
彼は彼なりの将来展望を示してくれると、深雪は思っていました。それなのにいざとなると、彼はあまりにも意外な申し出をしたのです。
ここで、食べたものがむせたふりをして深雪は彼に背を向けました。
――やべっ!
心臓が高鳴ります。
見られてなければいいのですが。
一瞬、自分が笑みを浮かべてしまったことを。
じわあっと頬が染まります。むせているせいだと、彼が思ってくれればいいのですけれど。
本当は深雪だって彼とは離れたくない。ずっと、一緒にいたい。
だから彼の申し出は、正直とても嬉しかった。それゆえの笑みです。
けれど自分の事情ばかり、優先していいものではないはずです。深雪は冷静になると、厳しい目をして告げました。
「……無理してないか? お前にはお前の道があるだろうし、俺の世話してばっかりじゃ、やりたいことだって見つからない……」
なのにああ! 深雪の真顔は数秒持ちませんでした。
また真っ赤になってしまいます。彼が深雪以上に真剣な様子で、それなのに女の子みたいに綺麗な顔して、とんでもないことを言ったからです!
「……か、勝手にすればいいだろ!」
深雪はそれだけ言うのが精一杯でした。
ぎょっとして振り返る人が、数名おりました。深雪の大声を聞いたのです。
「え?」
気がつくと深雪は秋桜畑のなか、大股で突っ立って、顔を赤くしている自分に気がついたのでした。
彼の姿はありません。お弁当もありません。当然レジャーシートだって。
深雪はそういえば、今日、ここにひとりで来ていたのでした。一体あれはなんだったのでしょう。
ううう……。
恥ずかしくなってまた赤面して、周囲の人に、
「なんでもない……!」
とだけ言うのが精一杯の、今の深雪なのでした。
白昼夢でも見ていたのでしょうか。
それとも幻想の世界にいたとか……?
どちらにせよ真実ではなかったようです。
とはいえ空想や幻想も、真実を映す鏡であるということは、知っておいてもいいでしょう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月05日
参加申し込みの期限
2015年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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