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【演目その12 『マッチ売りと魔法のマッチ』(3)】
「少女はツバメ、桃太郎、鬼と一緒に、色んな世界へと冒険に出かけていきます……」
なんて語りを入れながら、時折手にした本のページをぱらりと繰りながら、ききょうはここまでの舞台に、手応えと満足感を得ておりました。
今回の演劇の脚本の執筆と、そこへ効果的な演出を考え、盛り込んだのは彼女です。文学に親しみ、自分でも何かしら文章を書くこともあるききょうにとって、執筆したものが舞台という作品として完成されていくのは、この上ない喜びなのです。
ここまでの出来には、満足! 観客席の反応だって、上々!
(よしよし! エンディングまで、突っ走るわよ、みんな!)
マッチを擦るたび、目の前に広がる風景。それらはみな、誰もが知っている童話の世界です。
ある世界では、毒リンゴを食べて眠り込んでしまった白雪姫を助けるため、七人の小人たちと協力して黒幕の王妃様と戦い、バッチリ懲らしめてやりました。白雪姫は、やってきた一人の王子の優しいキスで目覚めると、七人の小人たちと、それに改心して仲直りした王妃様と一緒に、末永く仲良く暮らしていくと少女に言いました。
またある世界では、小さな小さなお侍さん、一寸法師の恋を手助けするため、悪い鬼に立ち向かいました。激しい戦いの末、ツバメと桃太郎のコンビネーションに白旗を上げた悪い鬼は、少女と仲間の鬼の説得で悪事を悔い改めて、打ち出の小槌を彼らに手渡し、大きくなった一寸法師と想い人であるお姫様の結婚式を、一緒に祝福しました。
少女は誰かを助けるたび、魔法のマッチを擦って新しい世界を巡り、旅を続けていきます。
そんな楽しくて心躍る冒険の中で、少女はツバメと、桃太郎と、鬼とどんどん仲良くなっていき、やがて彼らは少女にとって、かけがえの無い仲間になっていきました。
そしてまた、マッチの灯す小さな火の向こうに、新しい世界が広がります。
「……あ! 狼だ! 瓢さん、見て見て、あそこ!」
こちらは二階席でイチャイチャ観劇中の、
天馬 ひびき
と
骨削 瓢
のカップル。純粋無垢な瞳をきらきらとさせながら指差したひびきに、瓢が客席の一角を見てみますと……確かに。
でーん! と大柄な、一匹の狼……の扮装をした人が、何やら悪そーな笑顔を浮かべて、舞台の上の海美をにやりと見つめております。
「ははぁ。あれはきっと、悪ーいヤツだよぃ」
どこかシンパシーを感じずにはいられなかったのでしょうか、そう断言した瓢と、わくわくとした顔のひびきへ向かって、狼は、しーっ、と人差し指を立てました。
「狼は、ずる賢いんだぜ!」
そう、狼は正敏! でありました。スピーカーからは、ひっひっひ、と悪そーな笑い声に乗せて、ほくそ笑む彼の言葉が聞こえてきます。
「チョークを飲み込んで声をキレイにして、お母さんを演じてみたり。ブカブカの寝巻きを着込んで、おばあちゃんに化けてみたりな。それにしてもあの女の子、美味そうだよなぁ……」
実は先ほどから彼、ちらちらと観客席に姿を現して、舞台の様子を伺うそぶりを見せていたのでした。
「強そうな仲間がいるけど、それを出し抜いて獲物に近づくのが、狼の腕の見せ所ってやつなのさ。さて、そうだな……まずは行き倒れの餓死寸前! って振りをして近づいて、俺も仲間に入れてもらってから、油断したところを後ろから、ガブリ! といこうか。ひっひっひ」
ひびきと瓢に、ちゃっ、と指を二本立ててみせてから、こそこそこそっと、正敏狼は舞台へ向かって下りていきます。
少女が道端でうずくまる、大きな人影を指差しました。
「あっ! だれかがたおれてる! たすけてあげよう!」
困っているらしい誰かを見かけて、さっそくぱたぱたと駆け寄っていく少女に続いて、
「そんなに急いで走ったら、転んでしまうよ、お嬢さん」
ひゅうとツバメが飛んで、桃太郎と鬼も後を追いかけます。
「うう……腹が減った……そこの、優しいマッチ売りのお嬢さん。お恵みを……食べ物をぉ……」
弱々しくかすれた声でそう言ったのは、一匹の大きな、狼! よっぽどお腹が空いているのでしょうか、ぐったりとして地面に転がり、一歩も動けないといった様子です。
少女はそんな狼へ、
「おなかすいてるの? それじゃあねー……もーもたろさん、ももたろさん♪」
「うむ、それなら、この黍団子をあげようか!」
桃太郎がお団子を差し出してあげると、狼は途端に、がばっ! と起き上がり、団子を受け取って。あっという間に、ぱくり!
「これはこれは! あの有名な桃太郎さんに、きびだんごをいただけるとは! これで俺もあんたたちの仲間ってわけだな、ようしさっそく出かけようぜ、冒険の旅へー!」
と、勝手に仲間に加わってしまいました。
ツバメと桃太郎はきょとんっと顔を見合わせたものの、少女はお友達が増えて、賑やかになって嬉しそう。
おー! と元気に手を振り上げた少女は再び歩き出し、一行は旅を続けます。
……と、その時でした。
狼がひょいっと空を見上げて、
「ありゃあ? みんな、見てくれ! こいつは驚きだ、あんなところに、UFOがーーー!!」
「ゆーふぉー? どこどこ?」
みんなも釣られて空を見て、きょろきょろきょろ。
「ひっひっひ……」
にやーりと、笑みを浮かべる狼。
そうです、彼は悪い狼! 仲間になって油断させ、みんなを騙して、美味しそうな少女をぺろりと食べてしまおう、なんて企んでいたのです!
そのために狼は、ずーっと今まで、少女の後をつけてきていたのです……!
満を持して、狼はきょろきょろと空を探す、やわらかくて美味しそうな少女を見定めます。そしてその後ろから、
「さて、それじゃ……いただきまーす!!」
がば! と飛びかかると、ガブリと少女を、一口に……!
とは、なりませんでした。
「……あぶない……!」
「な、何ー!?」
がきーん! と狼の鋭い歯を受け止めたのは……金棒! 鬼がとっさに、少女を守ったのです。
「ぎゃーっ、歯が欠けた!?」
「俺は……皆の、仲間だから。だから身を挺してでも、守るんだ……!」
正体を表した、狼! 少女たちは、じりりとその大きな身体へ対峙します。
「お、狼が襲ってきたー!? くっ、お嬢さんが危ない! みんな、狼を追い払うぞ!」
と、鬼と並んで刀を抜き放った桃太郎に、
「もちろんだよ。僕はお嬢さんの……ふふ、騎士みたいなものだからね」
しゅぱっと飛び出したツバメも。
「おおかみさん、わるいおおかみだったの? だったらわたしが、やっつけちゃうよ!」
もちろん少女も、びしっ! と身構えて。
「くそう、こんなはずじゃなかったのに……! ええい、こうなったら、まとめて食ってやるぜー!」
いざ、最後の戦いです!
ラストの殺陣は、斗南にとっても一番の見せ所となりました。
(よし、今だ……くっ、少しズレたか、でもまだまだ! 次はこれだ、よしタイミングバッチリ、っと次はこっちでその次があっちでそのまた次があっちでこっちで……!)
本人、若干テンパり気味ではありましたけれど……それでも付け焼刃を物ともせず、必死に奮闘!
狼の爪と桃太郎の刀がぶつかりあい、甲高い金属音が鳴り響きます。ツバメが狼の周りを飛び回りながら、翼をはためかせてびしばしと打ちのめし。鬼の金棒が、がつん! と頭にヒットすると、狼はぴよぴよくらくらとよろめきます……そこへ少女のキックが、炸裂!
正敏の仕込んでおいた音響効果を引き継いだききょうの操作に、斗南がエフェクトを重ね合わせて。
華麗にアクション! 刀を振るい、金棒が唸り。くるんと転がり飛び跳ねて、颯爽と避けたら、翼とキックのコンビネーションがびしっ、ばしっ!
海美も正敏も、あやめも蓮太郎も、次久だって、活き活きとした顔で大胆に立ち回っています。
ききょうは、
(私の書いた脚本が、みんなのおかげで、こんなにもわくわくするような舞台になった……やっぱり嬉しいわね、こういうのって)
ありがとうね、と心の中で感謝を述べました。
そうこうするうち、派手な戦いはやがてクライマックスへ向かい、一直線!
俊敏なツバメが翻弄し、桃太郎と鬼の武器が交差しながら打ち付けられると、狼はもう、フラフラ!
「いっくよー! えーいっ!!」
少女がぴょいっと宙へ跳びながら、渾身の、ボビナム仕込みのジャンプキック!
もちろんエフェクト効果はバッチリ。どっかーーーん! と派手な音や光と共に、狼は見事にノックアウトされてしまったのでした。
正敏はもう、これでもかとオーバーなリアクションで、
「うぎゃーーー!!」
「や、やられた……ぜ」
狼はやがて、目を回してぱたん、と地面へ引っ繰り返ってしまいました。
少女たちの、勝利です! 一行はお互いの無事を喜び合い、健闘を称えました。
けれど。楽しかった冒険の旅も、そろそろ終わりの時が近づいてきたようです。
ぱちりと刀を納めながら、桃太郎が言いました。
「お爺さんとお婆さんが心配するからね。ずーっと一緒にはいられない……そろそろ僕は、帰らなくては。代わりに」
と、桃太郎は、彼の持っていた宝物の半分を、惜しげもなく少女へと手渡します。
「これでお父さんとお母さんと、幸せに暮らすんだよ」
「俺の宝も……持っていって欲しい」
鬼も、あの怖い顔で……今はもうその顔は、みんなにはそれほど怖いものには見えませんでしたけれど。笑いながら少女へ、彼の宝物を渡しました。
「例え、遠く離れてしまっても……俺たちは、ずっと仲間だから……」
「わぁぁ……! ありがとう!」
両手にいっぱいの宝物を抱えて、少女はにっこり! 輝くように微笑みます。これでもう、寒空の下でマッチを売らなくても、お父さんやお母さんと一緒に、幸せに暮らしていけるはず!
と。けれど少女は、それを独り占めにしてしまうことはありませんでした。
少女はツバメと、それに狼にまで、それを分けてあげたのです。
「ええっ? あんなことをした俺にまで、これをくれるって言うのかい……?」
「うん! わるいひとでも、やっつけたらもう、ともだちだから!」
「お、お前さんってやつは、何て良い子なんだあああ……!」
狼は感極まって、おんおんと泣き出してしまいました。彼はもう、きっと、悪さをすることは無いでしょう!
ついでに少女は、みんなに余ってしまったマッチを渡してあげました。それはもう少女には、必要の無いものだったのです。代わりにきっと、マッチは、みんなの心を暖かくしてくれるでしょう。
「それじゃ、わたしもおうちにかえろう! みんな、またねー!」
元気にぶんぶんと手を振ってから。少女が最後の魔法のマッチを、しゅっ! と擦ると、炎がくるくると揺らめいて、懐かしい彼女の世界への道が開けます。びゅうびゅうと冷たい風が吹く、あの寒い空の下へと帰る道が。
手を振る仲間たちに見送られて、駆けていく少女の後を追って、ツバメも翼をひと打ち、飛んでいきます。
「楽しかったね、お嬢さん。相変わらず、雪は冷たくて寒いけど……でも胸の辺りがとても暖かいから、大丈夫。さあ、早く帰って王子様に、この冒険のお話をしてあげなくちゃ!」
雪降る夜をぱたぱたと、少女は家路を急ぎます。その頭の上を、ツバメがひとつ鳴き声を響かせながら、王冠と剣を携えた像の元へと向かって、ひゅうと飛んでいきました。
舞台袖へと戻ってきた、『劇団イーリス』の面々。
蓮太郎と正敏は、にっ! と笑い合い、ガッチリと手のひらを合わせます。
あやめは照明係の斗南へ、多大な感謝の意を伝えて。照れた斗南はかりかりと頭をかきながらも、満更では無さそう。
次久は少しだけ不器用な笑顔を浮かべながら、海美の頭へ、ふわりと赤いフードをかぶせてあげました。彼女には、最後の出番が残っているのです。
そんな彼らを、ひとつ眺めて。
ききょうは物語を締めくくるべく、口を開きました。
その後。冒険の旅から帰った少女は、お父さんとお母さんと一緒に、静かで空気が綺麗な田舎の一軒家へ引っ越しました。
マッチを売らなくても、もうお父さんは怒ったりはしませんし、お母さんもいつもにこにこと素敵な笑顔を浮かべています。家族は、平和で幸せな毎日を送っておりました。
そんなある日のこと。家族のもとへ、親戚のおばあさんが病気で寝込んでしまった、という知らせが届きました。少女はお母さんに頼まれて、おばあさんのお見舞いへと出かけることになりました。
いつだって元気いっぱいな少女は、見送るお父さんとお母さんを振り返り、ぶんぶんと手を振ります。
「いってきまーーーす!!」
今はマッチ売りの少女ではなくなった彼女は、最近とってもお気に入りの赤い頭巾をかぶって、マッチの代わりに美味しいケーキとブドウ酒を詰めたバスケットを片手に、ぱたぱたぱた! 元気良く、駆け出していったのでした。
「めでたし、めでたし!」
<『マッチ売りと魔法のマッチ』 おしまい>
「悲しい童話のラストを、痛快なエンディングに変えてくれたわね。見ているだけで元気が出てくるような、楽しい舞台だったわ!
そうなのよ、そうなのよ! 昔のお話って本当に切なくて、思わず涙がぽろぽろこぼれちゃうような結末が多いのよ……何? そこのあなた、何か文句でも? あたしだってオトメなのよ、悲しいお話を読んだら泣いちゃうわよ!
でもあなたたち、『劇団イーリス』の劇は、そんな涙を吹き飛ばしちゃうくらい明るくて楽しかったわ。ええ、とっても素敵だったわよ、あなたたち!」
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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