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【演目その12 『マッチ売りと魔法のマッチ』(2)】
ぽん。ぽん。ぽぽん、ぽぽぽぽん。鼓の音と共に、舞台は一気に、和のテイストへがらりとチェンジ! 流れ出すBGMだって、何だか粋で雅な感じです。
今回の劇で扱う音響効果、楽曲などを用意したのは、正敏です。このために自ら作曲した楽曲の数々も引っさげて、彼はノリノリで、舞台を演出しておりました。
「……バッチリだぜ、正敏!」
「ありがとよ、レンちゃん!」
盟友にして親友の蓮太郎と、びしっ! サムズアップで、彼を送り出します。
さて舞台の上では、海美ちゃんが和風な世界にわくわくとした表情を浮かべつつ、
(おとうさんおかあさん、みててね! ちょっとはずかしいけど、がんばってうたうからねー!)
観客席にいらっしゃるご両親の視線を受けて、ちいさな胸の中、ぐぐっと気合を入れておりました。
たどりついたのは、緑豊かなお山がそびえ、畑が広がり、水色の空にぽっかり白い雲が浮かんだ、のどかな世界です。
少女とツバメは物珍しげにあたりを眺めて、きゃっきゃとはしゃぎます。
「……あ! あそこにいるのは!」
嬉しそうな少女はてててと駆け出し、ツバメも後に続いて飛んでいくと……どこかで見たことのある格好の人物を前に、思わず、少女は歌い出してしまいました。
だって彼は、たとえここが見知らぬ世界であったとしても、あまりに有名でしたから!
「もーもたろさん、ももたろさん♪」
そうなのです。桃色の陣羽織! 黒い甲冑に、勇ましい甲冑に刀に……腰にはちゃんと、あの巾着袋だって提げています。
額には桃柄のハチマキを、ぎゅっ!
「おこしにつけた、きびだんご♪ ひとつわたしに、くーださーいな♪」
「いかにも、僕は桃から生まれた桃太郎!」
それはかの有名な、
桃太郎
さん! 少女とツバメはどうやら、桃太郎の世界へと迷い込んでしまったようです。
桃太郎は、ひもじそうにしている少女を見て、にかっ! 優しい笑顔を浮かべると、腰の袋へ手を入れて、取り出しました。あの有名な、きびだんごを!
「お腹が空いているのなら、この黍団子をあげよう! その代わりに、ひとつ頼みを聞いてはくれないか?」
「わぁ、ありがとう! おいしそう!」
「頼み? ぼくたちにできることなら、お手伝いするよ」
少女とツバメはありがたくきびだんごをいただいて、ぱくり!
ぱくぱくと美味しいだんごを食べながら、桃太郎の話を聞いてみますと……なんと。彼は今から、あの有名な、鬼ヶ島へと向かうところだと言うのです!
「僕と一緒に、鬼退治を手伝ってくれないか?」
村を襲い、人々を困らせているという鬼と、一緒に戦ってほしい! なんて、そんなお願いに、少女もツバメも怯んだりはしませんでした。
「誰かの幸福のためなら、喜んで。王子様なら、きっとそうするから」
「うん、いこう! おにがしまー!」
少女は、つらい経験をした時の苦しさを知っています。ツバメは、誰かのためになりたいという王子様の、美しい気持ちを知っています。
二人とも、困っている誰かを、見捨ててはおけなかったのです。
「ありがとう! では早速、出発しよう。いざ、鬼ヶ島へ!」
勇ましく叫んだ桃太郎と一緒に、少女とツバメは、おー! と腕と翼を振り上げ、船に乗ってどんぶらこ。鬼が棲む、鬼ヶ島へと向かいました。
(い……いよいよだ……)
鬼の扮装を纏った次久。もういかにもピッタリ、目を合わせたが最後、取って食われてしまいそうな怖い顔! ではありましたけれど。本当の彼はと言えば、気弱で対人恐怖症気味な引っ込み思案。人前で演技をするだなんて、考えられることではありませんでした。
少し前までだったなら。
(……フジコ先生……)
今もこの舞台を観劇している、
富士山 権蔵
先生。彼は次久にとって、ちょっとした恩人でありまして。
次久は先生に、
尋ねた
ことがありました。押しの強いコワモテなフジコさんが、ちょっぴりみんなに恐れられつつも、なぜあんなにも強く、そして輝いていることができるのか、と。
その問いに、先生は次久の心に響く、力強い一言をくれたのです。
今彼は、そんな先生の前で、舞台に立とうとしています。
(……先生。俺が変わったところ……見ていてください……!)
それに自分へ優しくしてくれる、劇団イーリスのみんなのためにも。
彼は勇気を持って、未知の領域へと、足を踏み出します!
鬼ヶ島へと乗り込んだ一行を出迎えたのは……頭には尖った角、口には鋭い牙。そして肩にかついだ、大きな金棒!
もちろんそれは、恐ろしい鬼の姿!
桃太郎はさっそく、しゅらん! と抜き放った刀を掲げて、
「村のみんなを襲う、悪鬼め! この桃から生まれた桃太郎が、退治てくれよう! 覚悟しろ!」
「しろー!」
と一緒に叫んだ少女の前へ、ツバメがしゅぱっと飛び出して、桃太郎と並びます。
「お嬢さんを、危ない目に会わせるわけにはいかないからね。大丈夫、僕には翼があるから、身軽だよ」
「頼もしいな、ツバメくん!」
「では、ゆこうか!」
並んだ二人の、頼もしさときたら!
現れた彼らへ、鬼は重たい金棒を軽々と振るって突きつけて、恐ろしい顔で、
「どうせ君たちも、俺を虐めるんだろう? やられる前に……やるしか無いんだ……!」
そんな言葉を叫んで、飛び掛ってきました。
桃太郎と鬼、それにツバメと少女も加わって、おとぎ話に伝わる戦いが、いざ始まります!
金棒はもちろん、発泡スチロール製のごく軽いものでしたけれど。次久はそれをいかにも重たげに、ぶおん! っと、桃太郎こと蓮太郎へ振るいます。
「なんの!」
ひょいっ! するりと避けられてしまい、次に鬼はツバメさんことあやめの足元へ、ぶおん!
「よっ、と」
ひょいっ! 跳ね上がってそれを避けて、ひらり、ひらひら。
次々に振るわれる鬼の金棒を、ひょいひょいと避ける二人……隙を突いた桃太郎の刀が翻り、鬼の頭へ、ぺちんっ!
力を入れて練習してきた、ダイナミックでアクロバティックな、殺陣! それを正敏の発する効果音が、そして斗南が瞬かせるフラッシュが、ド派手に演出しているのでした。
(っ、タイミングがズレた……? いや、こうすれば……!)
慣れない斗南も、小刻みに光をオン・オフしたり、今度こそ……とタイミングを合わせて、ぱっ! バッチリフラッシュを合わせたり、素人ながらに奮闘しております。
ぶおんぶおん、ひょいっ、しゅば! ずばーん! おかげで観客たちも、ごくりと固唾を呑んで、戦いの行く末を見守ります。
「わたしも、たたかうよー!」
殺陣を演じるのは、三人だけではありません。次久演じる鬼へ目がけて、ぱたぱたぱた。マッチ売りこと海美も、参戦!
びゅおんと振り払われた金棒の下をくるんとでんぐりがえしで潜り抜けて、繰り出します。必殺のキックを!
「うみキック、だだ、だだだー!!」
ボビナム! そう、それはボビナムの技! 先ほど上演された舞台、
シダ 美穂戸
らの演舞劇を、海美もしっかり見ていたのでした。
道場の先輩、お姉ちゃんたちの動きを見よう見真似で……海美は、しゅばばばば!
思ったより強い少女に、鬼はびっくり! 素早い動きのツバメにもすっかり翻弄されて、それに宿敵、桃太郎の刀の鋭さにはもう、恐ろしい鬼もたじたじです。
「ま、まいったぁ……! 降参する、もう降参するよ……!」
ついには、鬼はそう言って、金棒をぽいっと投げ捨てました……桃太郎たちの、勝利です!
「……あれ? 何だか、様子がおかしいね」
けれど。ツバメの言葉に、見れば鬼はしょんぼりとうなだれて、
「暴れて、ごめんなさい……でも、俺は……ただ皆と、仲良くなりたかっただけなんだ……」
今にも泣き出しそうに弱々しく、そんな風に、ぽつりぽつりと漏らしました。
桃太郎も構えた刀を下ろして、少女が鬼へと尋ねます。
「おにさん、どうしてあばれてたの?」
「俺は……ずっと、一人ぼっちだったんだ……この、怖い顔のせいで。でも、本当は皆と、仲良くなりたかった……だから、このままじゃいけないと思って……頑張って、村に行ってみたんだ。そうしたら、村の人たちに、虐められて……悲しくなって……ついつい暴れたら、今度はこうして、討伐隊までやってきてしまって……」
なんということ! 鬼もまた、ただの悪い鬼ではありませんでした。鬼もまた困っていて、どうすることもできなくて、そう。ちょっとだけ、やけっぱちになっていただけだったのです。
「……俺は、仲良くなりたかっただけだったんだ……
……ごめんなさい……」
鬼の話を聞いた桃太郎は、かちんと刀を鞘に納めて、代わりに、腰の袋の中へ手を伸ばしました。
取り出したのは、もちろん。きびだんご!
「あやまちを侘びる鬼を無闇に斬るなんて、僕にはできない……」
だんごを、ぽんっと鬼の手のひらに乗せてやりながら、桃太郎は、朗らかに笑いながら言いました。
「君がもう二度と、暴れないというのなら。本当に仲良くなりたいと思っているのなら……どうだろう。僕の、そしてお嬢さんやツバメくんたちの、仲間になってやってはくれないかい?」
鬼にとっては、そんな言葉は、思いもかけないものだったのでしょう。
「赦してくれるの……? 俺も皆の、仲間に……仲間に、なれるの?」
きょとん、とした後に、ぽろぽろぽろ。鬼は子供のように涙を流しながらきびだんごを食べて、そして、ぎゅうっと桃太郎の手を取りました。
「いいよ、なかまにしてあげる! まほうのマッチで、おにさんも一しょに、あそびにいこう!」
「そうだね、一緒に行こう」
少女とツバメが、その上にきゅっと手を重ねて、笑顔で言ったなら。鬼はもう、号泣です……!
「……ありがとう……ありがとう……! 嬉しいなぁ……ありがとう……!」
うんうん! とうなずく桃太郎。
こうして、鬼を仲間に加えた一行。少女が再びしゅぼっとマッチを擦ると、現れるのは、新しい世界への入り口です。
「ふしぎなせかいに、れっつごー!」
おー! 少女たちは次なる世界へと向かって、元気に走っていきました。
台本には、鬼が泣きながら、といったフレーズはありませんでした。けれどあやめには、次久が自然と涙をこぼした理由が、何となく分かる気がします。
彼はきっと、鬼と自分自身のことを、重ね合わせてしまったのでしょう。とてもその役柄に、没入してしまったのでしょう。
(……『僕』は……どうだろう?)
ツバメとしての演技。舞台の上の、自分ではない自分。だからこそ、この場にいることが『許されている』……彼はそんな風に考えていたりもします。
この劇の中で、あやめは、思い至るでしょうか。
あやめを『許さなければならない』のは、一体、誰なのか……?
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
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