せんせいといっしょ：浅井先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：浅井先生編

・キャンプ場ではこんな感じでした
　一方、テーブル。モニターとしての意見を纏めていた幸太であったが、日頃の疲れもあったのか、少し眠たくなってきた。
「うーん、最近試験問題を作ったり採点したり、忙しかったからな」
「飲み物でも持ってくるにゃ」
　と、気を利かせたといきが戻ってくると……幸太は椅子に腰掛けた状態でうつらうつらとしていた。
（あ……、先生もしかして寝ちゃってるにゃ？）
　これでは風邪を引く、とタオルをかけると……なんだかちょっと悪戯心が芽生える。
（ろっこん、使っちゃおうかにゃ～？）
　彼女のろっこん『青息吐息』は相手の背後から抱きつき耳に息を吹きかける事で対象者にとってといきが『対象相手が昔会った事のある大切な人』に映るという物。それを使うと言う事は……？
（……やっぱり、ダメ、かにゃ？）
　といきは思いなおし、日頃の感謝と優しさを込めてそっと呟く。
「先生、お疲れさま……だにゃ」
　内心で、「聞こえてないといいけど……」なんて思いながら、といきはその場を去った。

（……ん？）
　といきの足音で我に帰った柳司は、身を起こした。彼は外に寝袋を持ち出して、その上でのんびり星の観察をしていたのだ。彼も羽衣から虫除けスプレーを借りていたので蚊の攻撃を受けずにすんでいる。
「どれがどんな星座かは解らへんけど、こういったのもええなぁ」
　輝く星に目を細め、森の匂いに満ちた空気を肺いっぱいに吸い込む。なんとなく中学校で学んだ星座を思い出そうとして思い出せなかったが、天の川や流れ星を見つけてちょっとテンションが上がっていた。
「こういうトコやったら、やっぱよぉ見えるんやねぇ。来て良かったわぁ」
　と満足げに言った時……背筋に冷たい物を覚える。嫌な予感とねっとりした視線を覚えた柳司は辺りをそっと見渡した。
（な、なんや？！　えらい気色悪いモン感じるんやけど……）
　用心深く辺りを探るも、なにもない。幸太がテーブルに伏せて眠っているぐらいだろうか？　気のせいか、と思いつつも嫌な予感が拭えず、柳司はテントに戻ることにした。

（ふっふーん♪　まちにまった夜戦のじっかんだよーっ！）
　柳司の『嫌な視線』の原因は空音だった。変態な本性を隠して、やりたい事を堪えてこの時間を待っていたのだ。彼女は幸太が眠っているのを目視し、テントをそっと抜け出した。
（うっかり警戒されちゃ困るから、お風呂でもいい子にしてたんだよねー。よーっし……そろそろいっただっきまーす！）
　と、足音を消してそっと近寄る空音。しかし邪な感情がだだ漏れしたのか、幸太はぴくり、と肩を震わせて飛び起きる。
「な、何だ桃原じゃ……な……」
「せ・ん・せ♪　あたしと夜戦しよっ」（はぁと）
　飛び掛る空音、叫び声を上げて避ける幸太。空音は何処にそんな力を宿していたかはさておき、目を見張る瞬発力で幸太へと襲い掛かる。
「ぐぇーっへっへっへっ！　いっただっきまーすっ！」
「うわあああああああっ！！？」
　そのままなんかこう「あーれーっ？！」で「アーッ！」な展開になってしまうのか？　今回熊な保護者はいないのか！？