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霧の中に佇む花
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●時を重ねた桜の下で●
キヌの案内で、竜司は泉先生と生徒たちの一行に合流した。
天野や極夜が虫刺されの手当てに当たる。
「今朝のTVの占い、牡羊座の人は頭上注意! だって。ラッキーカラーは……」
なにやら美咲紀の世間話が聞こえてきて、竜司は「占いって当たるのか?」と遠い目をしていた。
そして。
「もう名前を確認するまでもないが……改めて、こちらから自己紹介しよう。俺は、市橋誉だ」
「俺は八神修。大勢で押し掛けてすまなかったな」
「いいえ、賑やかで嬉しいです」
礼儀正しく名乗る二人に、キヌは朗らかに微笑む。
「あ……ぼ、僕は松谷洋……」
名乗っていく流れに慌て、どもり気味に倣う洋志を他所に、葵はにっこりデジカメ片手に前に出た。
「私は三ヶ島葵だよー! ねえキヌさんは写真おーけー?」
「しゃしん?」
デジカメを物珍しそうに眺めるキヌ。
「あ、写真知らないんだぁ、えっとねー……」
「まあ、そうだったのですか。同じようなものをお持ちの方は、時折見掛けましたが」
姿をそのまま写せるなんて不思議です、と彼女は感心しながら葵の説明を聞く。
「私たちにとっては、君の方がよほど不可思議なのだが……
そういった存在から見れば、文明の利器の方が不思議なのか」
月詠は興味深げにキヌを観察した。
こうしている分には、普通の人間と何ら変わらないように見える。
「初めまして、東雲人里です」
すんなりと挨拶が出来て、人里は内心ちょっと驚いた。
(不思議、初対面の人なのに)
「おキヌさんはなんていうか、初めて会った時も親しみみたいな感じがあるんだよね!」
隣で美咲紀がにこにこしている。
挨拶の流れに、没は帽子を取って深々とお辞儀をした。
釣られたようにキヌもぺこりと頭を下げる。
「最初のご挨拶は、大切なのさー♪」
にこぉと笑う没に腰をちょっと屈めるキヌの姿は、なんだか小さい子供に対応しているような、ほのぼのとした空気を感じさせる。
続いて天野も挨拶を……と思った時、脇の茂みがガサガサ揺れた。
「紙袋ルージュ参上!」
飛び出してきたのは、赤い紙袋を被った
双葉 仄
だった。
キヌはきょとんと、周囲もなんだろうという顔で眺める。
「ちょっと姿を見ないと思ったら、どうしたんだい? 双葉君」
泉先生はにべもなく正体を言ってしまった。
仄は被っていた紙袋を取った。
「やあキヌ、元気そうだな」
「? 初めまして」
仄はトレッキングの際三百年桜には辿り着けず、それ以降も機会がなかった為、キヌとは勿論初対面だ。
因みに、仄は事前に許可を取って三百年桜の近くに様々な種類の桜の苗木を植えようとしたが、そもそも誰に許可を取るべきなのかという目星を付けていなかった。
仮に適切な手段を用いてこの区域の地主を特定し、コンタクトに至ったとしても『自然の景観を守りたいので』辺りの理由で許可は得られなかった可能性は高いけれど……。
「久し振り……キヌさん」
改めて声を掛けた刀に、キヌは「はい」と微笑み頷いた。
「キヌさんで間違いなくて良かったよ! はいお土産美味しいよ! お返しはいらないよ!」
更に口を開き掛けた刀より早く、円がケーキ箱を差し出す。
「まあ、ありがとうございます。なんでしょう?」
洋菓子屋のお洒落な柄の箱も、キヌは見た事がないのだろう。
両手で持った箱の表面を見回している。
「中身はケーキだよ。あ、ケーキって知らないか。美味しいお菓子だよ!
あとこの子はにゃーくん!」
「にゃー」
「それから、ほら……能美子ちゃん!」
「な、ちょっと、私はいいわよ、付いてきただけなんだし……」
円に袖を引っ張られた能美子は、興味津々なにゃーくんとは反対に眉間にシワを寄せ、首を窄めた。
ツンデレを通り越してツンドラというくらいの彼女だから、清々しく初めましてなんて言える訳がない。
しかも、メイクが崩れてボロボロな(と本人は思っている)顔では。
そんな遣り取りを、キヌは目を細めて微笑ましげに眺めていた。
「お土産、被っちゃったかな」
次々と挨拶を交わしている学友たちとキヌを見て、お茶のペットボトルとスイーツの入ったコンビニ袋を出していた洋志が、困ったような笑みを浮かべる。
刀も刀で、参道商店街で見繕ってきたお茶とお菓子を持参していた。
「ただ話を聞きに行くだけじゃ、失礼だと思って……」
肩を竦める洋志を見て、小淋はメモ帳にペンを走らせた。
『私もお弁当を作ってきました。他にも、お土産を持って来た方もいらっしゃるようですし』
「ええと……」
小淋の書いた文面を覗き込んで、キヌは首を傾げている。
「?」
「?」
「……も、もしかして」
一緒になって首を傾げている生徒たちを前に、撮影許可を貰ってから絶好のシャッターチャンスを狙っていた葵が息を呑む。
「キヌさん、字が読めないんじゃない?」
「「それだー!!」」
「人の世界の文字を見る機会は少ないので、ところどころしか……ごめんなさい」
キヌは恥ずかしそうに目を伏せた。
「それはそうだな、人間のように学校に通ったり学びの場がある訳でもないのだから」
月詠は至って冷静に、それがキヌの『フツウ』なのだろうと呟いた。
ふむ、と刀は頷いて。
「筆談は難しいか……部長との会話は、俺たちがサポートしよう」
「はい、よろしくお願いします」
『よろしくお願いします』
話がひと段落したところで、キヌは微笑みを浮かべたまま切り出した。
「皆さん、腰を落ち着けられるところへ参りませんか?
私にご用のようですし、お土産も頂いてしまいましたし……」
霧は薄らいで、それまでよりも視界がくっきりし始めている。
キヌと合流した後は、三百年桜の待つ開けた場所まであっという間だった。
何故これだけの距離しかないのに、辿り着けないのだろうと首を捻ってしまうくらいには。
相変わらず凸凹した広場の真ん中で、太い幹と根の三百年桜は青々とした葉を風に揺らしていた。
淡い霧の中陽光を受けて閃く光は、まるで翠玉のように瞬き、煌いている。
花の頃とはまた違う、萌える生命の力強さが満ちているような気がした。
「マジなのね、伝説って……」
神秘的な風景を作り出している淡い霧と三百年桜に目を丸くする能美子。
彼女を脇に、修は思わずじーんとする。
(俺にも、ここまで登って来られたんだ……)
歩き続けた足の痺れるような痛みも、何処か薄らいだ気さえした。
三百年桜の許へと歩きながら、天野はキヌに視線を向けた。
こうして並んでみると、やはり見た目には人間と変わりないように思える。
その手に触れた事のある刀も、何も違和感を覚えなかったというくらいだった。
ただ、なんとなく纏う空気が清浄なものであるような気はする。
花太郎などは「さすがに長い間を生きたとあってオーラを感じるな!」なんて言っていたけれど、普段の素行からしてちょっと怪しい。
「キヌさんは……もれいびなんですか?」
「もれいび?」
天野の問いを、きょとんとした顔で返すキヌ。
(もれいびを……知らない?)
側で聞いていたアリーセにも、若干ショックが走った。
彼女に会えば、胸に抱えたものの答えに近付くヒントが何か得られるかも知れない、そう思っていたから。
生徒たちからきちんともれいびやろっこんの説明を受けて、キヌは何か合点がいったようだ。
中には真央のように、「らっかみさま?」ときょろきょろしながら説明を聞いていたもれいびもいたりするのだけれど……。
「落神様がもたらした神魂に、選ばれた方々なのですね。
そういえば……かつて私が共に過ごした方の中にも、不思議な力を行使出来る方がいらっしゃいました」
今思えばその人はもれいびだったのだろうか――永い時を経て、ひとつ答えを得たようだった。
そして、キヌ自身はもれいびとはまた違う存在であろう事も。
「共に過ごした人か……ねえ、イタビさんって知ってる?」
にゃーくんを抱える円がその名を出した途端、キヌの顔がぱっと輝いた。
「イタビ様をご存知なのですか」
「うん、寝子島の一部の家に、言い伝えとして残ってるんだ。
良かった、やっぱりあの話の『おキヌさん』なんだね」
「そうだったのですか……」
キヌは嬉しそうな、とても懐かしげな顔をして「私に名前を下さった、大切な方です」と胸を押さえた。
「君たち、立ち話もなんだ。丁度腰を下ろすのに良い出っ張りもあるし、落ち着いて話さないか?」
既に三百年桜の近くに座っていた泉先生が、片手を上げる。
キヌの話に興味津々な生徒たちは、彼女の周囲に固まってのろのろ移動していたのだった。
ちょっと崩れた車座になって、まずはそれぞれが持ってきたお土産が広げられる。
可愛い、華やかな形のケーキやコンビにスイーツはやはり見た事がなかったらしく、キヌはその見た目にも驚いていた。
ペットボトルにも、不思議そうな眼差しを向ける。
フォークを使う手がぎこちないのも、ご愛嬌だ。
「色々な味がして、不思議です。美味しい……」
ゆっくりお菓子を味わっているキヌの側に、竜司がつーっと寄ってくる。
「これ、さっき案内してくれたお礼。
ケーキの後じゃ、ちんけなもんかも知れないけどさ……」
そう言って彼が差し出したのは、飴玉だった。
「綺麗です。これも、食べ物なんですか?」
キヌは飴玉をひとつ取って、光に透かすように見上げる。
「あ、私も飴を持ってきました。桜の香りがするんですよ」
「ありがとうございます」
飴を受け取ったキヌに、
綾花
は更にいつも持ち歩いている猫本を渡す。
「これは、猫ですか?」
「はい」
現代の言葉は殆ど分からないようだが、絵や写真なら問題ない。
「可愛いです……こんなに色んな猫がいるんですね」
キヌも流石ににゃーくん以外の猫も見た事があるようだけれど、今のように外来の猫や交配で生まれた猫はやはり物珍しいようだ。
「可愛くて癒されるんです」
綾花の言葉に、キヌは笑みを浮かべ頷いた。
一通り猫本を眺めて楽しむと、キヌは「ありがとうございました」と綾花に返そうとする。
「えっと」
ちょっと戸惑う綾花に、
「紙をずっと霧の中に置いておくと、湿気で痛んでしまうので……
それは勿体無いですし、綾花さんがお持ちになった方が良いと思うんです」
とキヌは残念そうに笑むのだった。
同様の理由で、仄が貸そうとした漫画とゲームもキヌは辞退し、持ち帰る事になった。
「では、改めて」
お土産タイムが終わると、脇で静かにしていた櫻が姿勢を正す。
「あの時、迷わずに三百年桜の元に辿り付けたのも、全員が無事に帰れたのも、あなたのおかげだ。
……礼を言う。ありがとう」
「俺と浅山部長からも、礼を言いたい」
刀や小淋たちも一緒に感謝の気持ちを表すと、誉も口を開く。
「おキヌさんは、寝子島の住民の先祖の恩人だ。何かお礼がしたい」
「そんな、大袈裟です」
「大袈裟じゃないぞ。飢えで死ぬかも知れない祖先を救って貰ったんだ」
「ですが、私はただここに在り続けるだけで……出来る事といえば、
大切な方々のご無事や幸せを祈る
くらいなのです」
そういうキヌに、櫻は話を戻す。
「伝言を頼んでも良かったのだが……こういう事は直接言うべきかと思ってな」
「そうだったのですか……私はただ、桜の意思に応えただけで……」
「桜の?」
櫻は自分と同じ響きに目を瞬かせた。
先程も、キヌは同じような事を言っていたような……。
「キヌのいう桜とは、この三百年桜の事か?」
「ええ、人々が三百年桜とよぶこの桜と――広くは、この森の桜たちの事です」
「桜の意思を、感じ取れるという事ですか?」
思わずといった風に、人里が尋ねる。
「はい。私とこの地の桜は、共に生きる関係でもあり、桜は私の事を守ってくれる存在でもあります」
「じゃああの、周りを囲う霧は結界の類でしょうか?」
「あ、それはボクも気になってた」
次に口を開いた綾花の質問に、円も頷く。
「結界……という意味ですと、むしろこの桜の森自体が桜の領域なのです。
霧は、私の赴く範囲を広めてくれるもので……でも、不用意に人が入り込まないようにと脅かして、奥へ踏み入らせて良い者か試したり、さもなくば帰す為にも使うようになったようですね」
「そういう事だったのか。
やはり三百年桜は、当たり前の方法では近付く事すら出来なかったんだな……」
話を耳に挟みながら、仄は三百年桜の幹の表皮をぺたぺたと軽く叩く。
……と、その寸分先にうにうにと蠢く毛だらけのものが、ひょこりと頭らしきをもたげて。
「!?」
毛虫さんがこんにちは♪
「あ~~~~っ!! やっぱりいたっ!」
声を上げて寄って来たのは、美咲紀だった。
右手には双眼鏡、左手にはカチカチ押して数を数えるカウンターが握られている。
桜にとって花が散った後は、毛虫のシーズン第一陣。
来年も綺麗な花を咲かせて欲しい、お手入れもしたいから今の生育環境もちゃんと調べなくちゃね!
という訳で、美咲紀はお花好き魂を燃やしていた。
「神秘の三百年桜でも、やっぱり毛虫ちゃんはいるのね。
じゃあこの規模だと……あーん! 私、毛虫苦手なのにぃ」
ちょっぴり涙目になりつつも、美咲紀は三百年桜に付いている毛虫を数え始める。
オビカレハにエゾシロチョウ、マイマイガ、アメリカシロヒトリ♪
「楽しく数えるには、やっぱり無理があるわね……」
声に力がなくなってきた美咲紀のピチピチお肌が、段々鶏皮みたいになってきた。
「だ、大丈夫ですか?」
思わず極夜が応急道具を出すが、美咲紀は上を向いたままだ。
「20、21、22……桜ちゃんの生態を知るには、うう、我慢するっ」
「よくやるな……」
懸命な美咲紀の姿を、仄はしげしげと眺める。
彼女は少し考え違いがあったようだけれど、三百年桜を探し、不思議な経験を経ながら辿り着く事が出来た者は過去に何人もいるのだ。
ただ、探そうとした人々のうち大半が、発見出来ずに帰る事になってしまったのは確かなようだった。
因みに、三百年桜はその存在を耳にした人から『求められる』存在ではあったが、誰かを『呼んでいた』という事例は今までも一度もないようだ。
「私は桜の気持ちが全て分かる訳ではありませんが、寂しいと感じる事はあまりないと思います。
ここに、この森に――多くの仲間と、多くの命が在りますから」
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なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月08日
参加申し込みの期限
2013年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月15日 11時00分
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