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霧の中に佇む花
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一通りの質問が終わった後、アリーセは何処か深刻な表情でキヌを呼んだ。
「ろっこんの力を強くするにはどうしたら良いか、教えて頂ければと思っていたのだけれど……」
キヌがまずもれいびというものを知らなかった事で、アリーセの顔色は芳しくない。
目の前で為す術もなく傷付いていく人たち……自分には癒しの力がある筈なのに、あまりに甚大なダメージに対しては雀の涙にも思えてしまう回復しか施せないのだと。
「私にもっと力があれば、もっと負傷者を減らせたかもしれないのに……」
力不足を悔いるような呟きを、キヌは優しい眼差しで聞いていた。
「『ろっこん』というのは、人の魂と神魂が結びついて行使出来るようになる力だとお聞きしました。
あなたが望んだのか、神魂が選んだのかは分かりませんが、傷や痛みを癒す力はとても稀有なものではないでしょうか」
視線を上げるアリーセに、キヌは微笑んだ。
「ろっこんの力を強くする為に考えられる事は……ご自身の魂を高める、成長させる事だと思います。
そうすれば、神魂の力をより多く引き出せるようになるのでは?」
「経験が必要なのは解ってるの……」
アリーセはまた視線を下げる。
「でも、それはすぐに手に入らない。私に、今の私に出来る事は無いかしら……」
どうしようもないと分かっていても、胸に燻る焦燥と無力感が自分を責めているようで。
「アリーセさん」
キヌは優しい声で彼女を呼んだ。
「人には、他の生き物にはない知恵があります。私たちには縁のない、著しい心の成長もあります。
それを、ご自分の持てるものを信じて下さい。
まずは、少しでも怪我をするような事を未然に防げないか……そういった手段を考える事だと思います」
それはアリーセ自身が頑張るべき事だけれど、何もひとりでやらなくても良い、独りではないのだから、とキヌは丁寧に伝えた。
「それじゃ、寝子高校歌を歌うのだー!」
ちょっと苦笑気味の誉がろっこんで作り出した鍵盤の伴奏で、真央が校歌を歌い出した。
「陽光そそぐ学び舎にぃ~ 我らを育む 寝子ヶ浜の風ぇ~♪」
微笑ましく聴いているキヌと肩を並べ、櫻が口を開く。
「あの時はな……皆を無事に帰す事ばかり考えていて、正直あまり楽しむ余裕はなかったよ」
「今はどうですか?」
「まあ、それなりにな」
「それは良かったです」
自分も嬉しいというような顔をして笑うキヌに、櫻もふっと笑みを返した。
「キヌよ、願い事を言うのだ、俺様が叶えてやろう」
そこへ謎のポーズを取りながら花太郎がやって来た。
「願い事、ですか?」
「どんなことでもいいぞ、俺様に不可能はないからな!」
無駄に自信満々に言い放つ花太郎。
キヌは少し考えてから、こう答えた。
「今の、人里の一番賑やかなところを見てみたいです」
「人里……? 繁華街とかで良いのか? ふむ……よし大丈夫だ。
さあ、発動せよ、セブンスシンフォニー! はあああああああ!」
意味ありげな仕草で、花太郎はキヌに向け手を翳した。
彼のろっこん【セブンスシンフォニー】によって見えたのは、シーサイドタウンの駅周辺の風景だ。
高いビルが立ち並び、人々や車が忙しく行き交っている。
「まあ……これが、今の島の人々の暮らしなんですか?」
ごく短時間で幻は消えてしまったが、キヌは素直に驚いていた。
「くっ、まだこの力を使いこなせてないか……」
「あの四角い大きな建物に、お住まいになるのですか?」
「そうだな、あれはビルだ。住んだり仕事をしたりするところだ」
「あの中に、畑や狩場があるのでしょうか……」
キヌの想像がちょっとズレてきているが、花太郎は自分のろっこんが不完全な事の方に気が行っている。
「次だ! 次に会う時は願いを叶えて見せるからな!」
「そういうろっこんじゃない気がするんだが……」
鋭二は半目になっている。
一部始終を見ていた櫻も、突っ込む気にもなれず遠い目をしていた。
続けて誉が披露するピアノの曲が流れる中。
「俺が連想するのは"高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ"です」
一眼レフのカメラを弄りながら、修は泉先生に思い浮かんだ句を告げる。
「ふむ」
泉先生は顎をひと撫でして、
「俺からすれば"山桜 霞の間より ほのかにも 見てし人こそ 恋しかりけれ"だな」
と答えた。
「古今和歌集ですね」
「ああ。多くの桜の間にちらりと顔を覗かせてくれるのも、また魅力的なものさ。
時にはミステリアスだったりもしてな。
ようするに、チラリズムだな」
「ち、チラリズムですか……」
それ何か違うんじゃ、いや違わないのか? と修がひとり問答している間に、キヌの側へ肩を窄めた眼鏡の少女がもじもじと近寄ってきた。
相変わらず前髪と瓶底眼鏡が鉄壁すぎる、渚だ。
「あ、あの……そのぅ」
「はい?」
キヌは穏やかに聞く体勢だけれど、肝心の渚がもじもじし続けている。
眼鏡の下の顔だけが、どんどん赤くなっていく……。
(大丈夫でしょうか……)
同じく人見知りの気がある人里は、なんとなく気が気でなく見守ってしまう。
「う、歌をっ……」
「はい」
「今はき、消えてしまったような歌が、あったら、お、おおおお教え貰えないで……」
最後の方は殆ど聞こえないくらい小さな声だったけれど、キヌは笑みを浮かべて頷いた。
「では、集落の方が歌っていらした歌をお教えしますね」
何処かから聞こえる透き通った歌声を耳に、一行は小淋が作って来たお弁当を食べた。
渚の姿がないような気がしたが、元々転びまくっている時以外は置物のように静かだった為、いつの間にか彼女が戻ってくるまで殆ど気付いた者はいなかったようだ。
霧の中響く美しい歌は、疲れや心のささくれを癒してくれるようだった。
「キヌさん、貴女がいても平穏な日々は守られる」
食後のお茶を飲みながら、修はキヌに話し掛けた。
「人と共に生きないか?」
その言葉に目を見開いた後、キヌは微笑んだ。
「はい。私は霧の中からは出られませんが……それでも皆さんと一緒に楽しい時を過ごしたいです」
(彼女の姿を見る事が出来るのが、落神であるののこの影響だとしたら、伝説と同じくののこが天に帰る時、俺は彼女の姿を見る事が出来なくなる……)
暫し考え込んでいた刀も、顔を上げてキヌを見詰めた。
「キヌさんは、落神が天に帰ってまた人と別れ別れになり、俺たちからも姿が見えなくなったら……悲しむ事になるんだろうか」
その問いにキヌの瞳が揺れる。
落神は自らの願いを叶え、天に帰っていく。
今は良くても、いずれ訪れるだろう時の事だ。
「私は……それは仕方のない事だと思います。本来、人の世界と私の住む世界は重なり合っているようで、全く別のものなのです」
少し沈んだ声音は、まるで自分に言い聞かせているようでもあった。
「本当は嫌なんじゃないのか?」
眼差しが鋭くなってしまわないように、刀はキヌの表情を窺う。
「……ですが、それが世の理なんです」
目を伏したキヌに、刀は「それなら」と切り返した。
「だったら、俺は探そう。ののこ……落神が天に帰っても、あなたが皆と一緒に過ごせる方法を」
キヌは弾かれたように顔を上げた。
驚き一色だった表情は、次第に喜びとも悲しみともつかない色に染まっていく。
「そんな事……仰って下さる方がいるなんて、思ってもみませんでした……」
袖口をきゅっと握り締めて、キヌは何か大きな感情を耐えているようだった。
「わー、天然タラシどもめー」
「天然タラシなんだ?」
「ふーん……」
葵と円、能美子がそれぞれの反応で眺めている。
「何か言ったか?」
「えっ、ううんー、なんでもないよー」
振り返った修に、葵はごまかすようにニヤケ顔のまま手を振った。
楽しい時間は足早に過ぎてしまうもので。
明るいうちに下山する為に、一行は帰り支度を始めた。
「最後に集合写真を撮ろう」
桜の木やキヌたちを撮った一眼レフを示し、修が提案する。
「あ、私も皆で一緒に写真を取れたらと思って……」
人里もカメラを手に、そわそわ。
(そういえば……)
小淋も、噂の美人を見てみたいと千唐に言われていたのを思い出した。
「……こうですか?」
集合写真の真ん中に立たされて、キヌは若干ぎこちなくすまし顔をして見せる。
「いつも通りにしていて下さい」
カメラを持った面々が順番に写真を撮ってから。
「……そうだ、もう一枚撮らせてくれないか」
修はポラロイドカメラを取り出した。
今度はタイマーを掛けて、彼も列に加わった。
ぺろりと出てきた艶のある紙に、程なくして陰影が浮かんでくる。
「まあ……」
キヌはくっきりとした写真を見て、目を輝かせた。
修はポラロイドで撮った写真をキヌに差し出す。
「これを残していくよ」
「私に? ありがとうございます、大切にします」
キヌは嬉しそうに写真を受け取った。
「えっと……その。ん~~~~……っ」
皆に混じって、洋志は相変わらずモジモジモヤモヤしている。
でも、心を決めて声を上げた。
「……また会いに来てもいいですか!」
「ええ、勿論」
「会いに来るのだ、これから何度でも」
にぱっと笑う真央にも、キヌは笑顔を返した。
「会わせたい人もいるんだ」
「お友達ですか?」
問われて相手の笑顔を思い出し、修は「ああ」と肯定する。
「キヌさん、これからもよろしくね」
にゃーくんと一緒に挨拶する円たちにも、キヌはにっこり頷いた。
「ここから人の通れる部分を進んでいけば、桜の森の途中まで戻れる筈です」
広場の出口で、キヌはそう教えてくれた。
「ボクとか刀くんは同じ感じで帰ったから、多分大丈夫だよ!」
円がすとんとした胸を張ると、刀は思い出す。
「そういえば、二度目に来た時も……」
トレッキングの後、刀は円や同級生の少女ともう一度ここを訪れた事があった。
その話を聞いて、キヌは目を細める。
「あの時は、私は離れた場所にいたので……きっと、桜が私の声を伝えてくれたのですね」
最後に綾花が口を開いた。
「キヌさん、キヌさんから私たちに伝えたい事は、他にありませんか」
問われたキヌは、丁度良かったと姿勢を正す。
「ご存知の通り、この山でも神魂の影響で時折不思議な出来事が起きます。それは島や皆さんにとって……時には私にとっても、困った事になるかも知れません。
私は、それらの一端を感知する事が出来ても、解決する事までは出来ません……。
よろしければですが、私が何かに気づいた時は、皆さんのお力をお借りしたいのです」
その時はお報せしますねと告げると、キヌはふと何かに気付いたようだ。
「あ……勿論、お願いするばかりではいけません。
私がお返し出来るものは何もありませんが……
代わりに私の知っている、折々の素敵な場所や、楽しい出来事があった時にはご案内させて頂きますね」
「またねなのだー!」
「またくるよー!」
手をブンブン振っている真央や円、そこまででもないけれど手を振ったり会釈をする泉先生と生徒たちの姿が見えなくなるまで、キヌも手を振り返して見送った。
「……また、賑やかな日々が訪れるのでしょうか」
キヌは幸せそうに呟く。
しかし。
「……?」
さらさらと揺れる桜の枝葉が、何かを伝えているようだ。
「彼女は、座敷童の亜種のような存在なのかも知れないな……」
桜の並ぶ坂を下りながら、感慨深げな泉先生の呟きを周囲の生徒は聞いていた。
「……ん?」
「なんだ民谷、忘れ物でもしたのか?」
「いやぁ……」
訝しげな花太郎に、鋭二は横に跳ねたアホ毛を弄び。
「なーんか、忘れてる気がするんだよな」
と呟くのだった。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月08日
参加申し込みの期限
2013年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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