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霧の中に佇む花
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●寝子島御伽噺・旧市街●
少しずつ潮の香りが濃くなってきたように感じつつ、旧市街の町並みを東へ東へ。
見えてきたのは、漁港や市場に程近い平屋建ての建物だ。
「こ、ここだよね……」
泉先生に教えて貰った住所と照らし合わせて、待雪は門の前で足を止めた。
いかにも一時代くらい前に作られた様子の集会所。
門の向こうにある玄関の戸を隔てて、微かに賑やかな声が聞こえてくる。
まだ見ぬご年配たちの様子に、待雪の胸の鼓動は高鳴った。
(……俺、やってみる。見てて、キクさん)
お土産の袋の持ち手をぎゅっと握り締め、彼は故郷の親友(72歳)の笑顔を思い浮かべながら、玄関脇にあるチャイムのボタンを押した。
ぴんぽん♪ と昔懐かしい篭った音色が響く。
「はいよー!」
ちょっと間を置いて、玄関の引き戸がカラカラと開き威勢の良さそうな老人が顔を出した。
この男性が、集会所を管理していると言う千治さんだろう。
「おはようございます」
ゆっくりめだけれどきちんと挨拶して、待雪は名乗る。
「おう、寝子高の生徒さんだろ! 竜次先生から聞いてるよ、まあ上がってくれい!」
戸を潜って靴を脱ぎ、千治さんが出したスリッパに足を通す。
「もう賑やかなんですね」
「ヘヘッ、年寄りは朝が早いからなぁ。
大体は朝飯食いながらねこっちけーの朝ドラ観て、終わったら集まってくるんだよ」
第一線を退き、息子や嫁が気を利かせて家の事をあれこれやってくれると、逆に年寄りはやる事がなくなってしまうのだという。
この集会所は元々、時節や行事の集まりに使う場所だったけれど、いつしか平時は暇を持て余している地域の老人の社交の場になったようだ。
玄関を上がってすぐのところには、お手洗いへの通路や今はあまり見なくなった緑色の公衆電話などがある。
千治さんが正面の障子を開ければ、二台の長い座卓を囲むようにして座っていたお年寄りたちの殆どが、一斉にこちらを見た。
「いらっしゃい」
「あら可愛い~」
「よく来たなぁ、こっち来て座りなよ」
みんな人の好さそうな笑顔で迎えてくれる。
「待雪がお土産持ってきてくれたぞ!」
「おっ、気が利くなぁ」
「あらぁ、手ぶらで良かったのに」
「私、ここのお饅頭大好きなのよぉ」
「リンゴ食べる?」
「若い子が来るっていうから、これ買ってきといたんだけど~」
お土産の饅頭や煎餅を開封する千治さんの手許から、お菓子がどんどん飛んでいくのとは逆に、待雪の前にはリンゴやら今風のお菓子やら、ご丁寧に楊枝を添えた漬物の皿やらと色々なものが並べられた。
(す、すごいなぁ……)
のんびりさんの彼は物の移動の早さについていけず、ただ正座した膝の上に手を置いている。
「お茶どうぞ」
にこにこと緑茶の入った湯呑みを運んできたのは、どうやら千治さんの奥さんらしい。
「俺ぁ元々、神田で寿司握ってたんだよ。でも60過ぎて何年経ったかなぁ……ちぃっとばっかし身体壊しちまってよぉ。
弟子らに店任せて、かあちゃんが生まれた寝子島に引っ込んだんだ」
越してきた家がたまたま集会所の隣で、当時の管理人が年齢的にも厳しくなってきた為、千治さんが引き継ぐ事になったのだという。
「だから寝子島の昔話っつうと、ここにいるじーさんばーさんらの方が詳しいだろうなぁ」
「あんたも立派な爺さんじゃないの」
「いや、60代はまだまだひよっこだよ」
周囲からお年寄りの野次が飛んで、あちこちで笑い声が上がる。
「えっと、皆さんは、キヌさんに、会った事あるのかな、って……どんな人かな、と思ってるんですけど……」
ひとしきり笑いが収まった後、ゆっくり言葉を区切りながら尋ねた待雪に、お年寄りたちは思っていたのと違う反応を示した。
「キヌさん?」
どうやら、ここに集まっている人たちは『九夜山のおキヌさん』の話は知らないようだった。
(一部の人に、口伝で受け継がれてきたんだもんね……)
待雪は泉先生の言葉を思い出して、彼らにキヌに纏わる物語を話した。
「ほお、なるほどなぁ」
「『おコウさん』の山ばーじょん、みたいな話だね」
「ああ! なんかに似てると思ったら、おコウさんか」
「おコウさん?」
老人が口にした名を待雪が反芻すると、ひとりのお爺さんがしみじみとした眼差しで語り出した。
「おコウさんってのは、『木天蓼湾のおコウさん』っていってな。
昔っから寝子島で漁師をしてる家に伝わってる話でさ……」
彼の話によれば、やはり過去に落神が存在した時代、不漁に悩む漁師の若者が島の北側、木天蓼湾まで足を伸ばして釣りをしていた時に、海上に発生した霧の中で出会った娘を『コウ』と名付けた事から始まる物語だった。
おキヌさんの伝承と同じように、この若者と仲間の漁師たちも釣果に恵まれるようになるが、その先の展開は違っている。
「若者は浜の近くに家を建てて、おコウさんと夫婦として暮らすようになったんだ。
だが、幸せな時は長くは続かなかった。
幸運をもたらす娘の話を聞きつけた本土の連中が乗り込んできて、彼女を連れて行こうとしたんだ。
おコウさんは波を起こして本土の人々が乗っている船を追い返したが、別の方面から回ってきた本土人が漁師仲間の子供を人質に取ってしまったものだから、おコウさんは言う事を聞かざるを得なくなってしまった」
おコウさんは本土へ向かう船を転覆させ海の藻屑になったとも、本土に着いた後衰弱して死んでしまったとも言われる。
人質にされた子供は、おコウさんの加護なのか無事に島に戻り、彼女の死を伝える事となった。
若者と漁師たちは嘆き悲しんだが、その後……早朝に朝霧や靄が出てから晴れた日には、魚が沢山獲れるようになったのだという。
「俺たち漁師の一部にとっちゃ、豊漁を司る神様みたいなものだったって訳さ」
「悲しいお話、ですね……」
話を聞き終えた待雪も、なんだか寂しい気分で頷いた。
この『木天蓼湾のおコウさん』は綾花が山登り前に図書室で見付けた、とある寝子島の昔話を集めた書物の中にも片鱗があったようだ。
「そういや、漁師に伝わる話って言えばさぁ……」
今度はまた別の、元漁師だったお爺さんが口を開いた。
「俺の父ちゃんが若い頃、沖で操業してたら海が荒れ出して港に戻れなくなって、夜んなっちまったんだよ。
そん時に不思議なモンに出会ったっちゅう話だ」
「それってあれか、光る……」
「俺もやっと一人前になった頃、同じような事があったなぁ」
他の元漁師のお爺さんも話に乗ってくる。
荒天の夜に現れた光る存在。
なんだか幻想的で、待雪も惹かれるものがある。
「なんていったら良いんだろうなぁ。こんくらい……びーびーちゃん人形みたいな形で、羽が生えてて、全身がクラゲみたいに白っぽくて透けててな。
胸の中心に電球でも点いてるみたいに、ぽうっと光ってるんだってよ」
話を聞きながら、隣のお婆さんがチラシの白い裏にペンでそれっぽい姿を描き始めた。
なかなか上手いが、クリオネを擬人化したような雰囲気だ。
「天使……妖精、かな」
「海神の使いだとしたら、天使みたいなモンなんだろうなぁ。
父ちゃんの言ってる事が分かったらしくって、灯台の光が見えるところまで案内してくれたんだってよ」
海の天使(?)の話は、最近まで目撃例があった為かおコウさんの物語よりも知っている人が多かった。
「今じゃ漁に出る船も立派なモンになったし、予報も昔より当たり易いからなぁ。
操業中に海が荒れて帰れねぇなんて事も殆どないし、話も聞かなくなったよ」
「そうなんですか……」
沖に行かなければ会えない存在では、確認する機会もそうそうなさそうだけれど、島で暮らしていればいつかチャンスがあるかも知れない。
待雪は他にも、過去に市井を騒がせた化け狐や化け猫の話などを聞いて、後で泉先生たちに伝えられるよう耳に留めた。
それから、待雪は故郷の親友トメさん(78歳)に習った篠笛を披露した。
お年寄りたちは喜んで耳を傾けている。
「良い音色だなぁ……」
「いやぁ、若いのに上手いねぇ」
「そんな……俺なんて、まだまだ未熟です」
褒められて彼は照れたり恐縮したり。
そこへ、ひとりの上品そうなお婆さんが声を掛けてきた。
「待雪君、この曲は吹けるかしら?」
「あ、それなら、知ってます」
「おっ、ミズエさんの踊りが見られるのかい?」
それを見ていた近くのお爺さんも嬉しそうだ。
ミズエさんと呼ばれた老婦人は、自宅で日本舞踊を教えているらしく、鞄から扇子を出しながら頷く。
「今日は着物じゃないけど、良かったら一曲付き合って下さいな」
「……はい!」
皆が楽しんでいる空気を感じながら、待雪は精一杯篠笛の音色を鳴り響かせた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
羽月ゆきな
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月08日
参加申し込みの期限
2013年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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