シーサイド九龍のどこか
壁龕の中に一体のマリア像が安置されている
白磁のおもてに聖寵充ち満てる微笑みを浮かべた聖母の周りには菓子や花などの供え物が絶えず、荒廃したシーサイド九龍にあって、そこだけ聖域にも似た静謐で清澄な空気を湛えている
誰が何の目的で安置したのかは与り知らぬところだが、今日も住民の誰かがマリア像に詣でに来る
ある者は一日の報告に
ある者は懺悔に
ある者は心の澱を吐きだしに
マリアは涙を流すことなく、迷える子羊の告白をただ聴くのみー……
●トピ説明
シーサイド九龍のどこか、壁龕の中に安置されてるマリア像に詣でるトピです
壁龕の中にマリアや聖人の像を祀り、花や菓子を供える民間信仰またその場所は、「ニッチ(狭い場所・隙間の意)」と呼ばれ、地中海の方で有名です
ダイアリーの延長の心情独白、罪の懺悔や秘密の告白など、ご自由にお使いください
(いつもの仮面を外してマリア像の前に立ちながら)
…ねぇ、教えて頂戴…私はどうすれば良いの?
私はまだ暗闇の中にいるの?…あの時、私を引っ張り上げてくれたはずなのに…
なのに…どうしてこんなにも涙が止まらないの?
…私は、この島が好き。…本当は貴女にも見せたかった。私の故郷…
でも、今は何が起こるか解らない。怪奇現象、凶悪な事件、私達の平穏が脅かされてるの
…だから、私はもう一度、あの時の姿を見せてるの。貴女に出会う前の私
誰も信用できない。自分だけの力で解決しようと、そして誰にも心を開かない様に
…そして標的と定めた者は執拗に追い詰めて抹殺する私に…
でも…それでも私の中には暗闇が渦巻いている。…まだ、私はあの日から抜け出せないの?
…教えて…夏華…(顔を見られない様にマリア像の前に座り込んで泣いている)
…へェ。
お前さんもマリアっつうのかい。
(しゃがみ込んで暫く像を眺め)
良い表情してンじゃねェか。
…此処はいいとこだな。
(暫しぼんやりとし、徐に踵を返して立ち去った)
いっそ、毒を飲み込んで
永遠に眠ってしまえたなら素敵なのにね…。
寂しい。寂しいの…。
どうしてこんなにも、寂しいの…?
私にはももがいるわ。
優しくて愛しい、誰より可愛い私の妹…。
それなのにどうして、寂しいの…?
神などいないとわかっていて
ここに日参するなんて私も落ちぶれたものだわ。
ねぇ、私は、どうしたいのかしら…。
毎日がとても、楽しいわ。
あそこはとても居心地がいいの。
だけど、何故かしら…。
どうしてこんなにも、不安になるの…?
こんなのは私らしくないわね。
あの子の前ではいつものように笑ってあげなくては…。
(何処か寂しげな面持ちで静かに呟く
…ねぇ、神様。聞いて頂戴。
私は罪を犯したわ。
それを許してとは言わないけれど
あの子の心を私から奪わないで…。
あの子は私の、世界の全て。
誰より愛しい、私だけの妹…。
ずっとずっと…。
あの子が私だけを想ってくれますように…。
(マリア像の前に立ち、小さな声でつぶやく
(マリア像の足元にそっとえんどう豆を備えながら)
『…エンドウの花の季節はもう過ぎちゃってるわ。ごめんなさいね。代わりに豆の方をお供えさせて貰うわ』
『…寝子島に戻ってきてからもう二年ね…』
『変わらないと思ってたけど、何もかも変わってしまった気分だわ』
『…私が表に出るのも三年ぶりよ。そこまでこの島は混沌に満ち溢れているわ…』
『豆だけど、私の願いを込めて花として扱って欲しいわ。エンドウの花言葉は「いつまでも続く楽しみ」。そして「永遠の悲しみ」』
『…私にとってこの姿は「永遠の悲しみ」。けれども願いは「いつまでも続く楽しみ」』
『…願わくば「いつまでも続く楽しみ」になって欲しいわ…』
(そう言ってゆっくりと立ち去る)
後悔はしていないけれど…。
神様、どうかいるのならば
あの子にどうか平穏な夢を。
(マリア像の足元に赤薔薇を捧げ
跪いて静かに祈る。
(きょろきょろと挙動不審にあたりを見回し)
……誰もいねえよな?
(深呼吸)
ひーちゃんに彼氏ができませんように×∞(寝子饅頭を供える)
とんだ無駄足だった。薔薇園なんざ行くんじゃなかった、胸糞悪ィ
(マリア像の足元に真っ黒に枯れた薔薇を一輪 無造作に放る)
……はっ。肺が真っ黒な上に心も真っ黒なんて笑っちまうぜ
!痛ッ
(薔薇の棘が刺さり指が出血してるのに気付き、苦々しげに顔を顰め)
……唾つけときゃ治る