シーサイド九龍のどこか
壁龕の中に一体のマリア像が安置されている
白磁のおもてに聖寵充ち満てる微笑みを浮かべた聖母の周りには菓子や花などの供え物が絶えず、荒廃したシーサイド九龍にあって、そこだけ聖域にも似た静謐で清澄な空気を湛えている
誰が何の目的で安置したのかは与り知らぬところだが、今日も住民の誰かがマリア像に詣でに来る
ある者は一日の報告に
ある者は懺悔に
ある者は心の澱を吐きだしに
マリアは涙を流すことなく、迷える子羊の告白をただ聴くのみー……
●トピ説明
シーサイド九龍のどこか、壁龕の中に安置されてるマリア像に詣でるトピです
壁龕の中にマリアや聖人の像を祀り、花や菓子を供える民間信仰またその場所は、「ニッチ(狭い場所・隙間の意)」と呼ばれ、地中海の方で有名です
ダイアリーの延長の心情独白、罪の懺悔や秘密の告白など、ご自由にお使いください
天国は綺麗な人がいくところ…。
私は薄汚い。行くのはきっと地獄…。
完全な黒に染まってしまえれば
少しは楽になれるかしら…。
ねぇ、貴女はどう思う…?
(マリア像にそっと手を触れて
…こんな廃墟にマリアの像、か。
随分と変わってるな。
…思えばすっかり遠くまで逃げてきちまったな。
ここまで来ればもう追ってこないだろうけど…むしろおふくろも精々するだろ。
…もうこれ以上、余計な傷をつけられるのはごめんだ。
清海は、絶対俺が守るんだ…
『男女平等?』「うん」
『女を泣かすは?』「最低」
『泣く男は?』「女々しい」
解せぬ
Eli, Eli, Lema Sabachthani?
あんなのって、ない…。
あんな過去、みたいなんて、思わなきゃよかっ、た…。
辛い、苦しい…。寂しい、よぅ…。
ごめんなさい、ごめんなさい…。
私は、なんて、ことを…。
ごめん、なさい…。もう、嫌…。
忘れたい、よぅ…。
(床に力なく座り込み、ぽろぽろと涙を零して
あー、こんなところもあったのか。…写真撮っておくか。
…………っせー。失せろ(誰に言うでもなく、何かを思い出したように
ねぇ、私は…いい子じゃなかったでしょ?
なのに、なんで叱ってくれなかったの?
分かってる…分かってる、けど…。
お父さん、お母さん…。
会いたい、な…。
私がもっと悪い子になれば
叱りにきて、くれる、かなあ…。
マリア様は、ここにひとりぼっちなのね…。
一人は、寂しくない?
僕は、寂しいのよ…。
マリア様、姉様は泣いてるの?
姉様はマリア様に、何をお話ししているのかな?
僕には言えないこと?
僕が、弱虫だから…?
ごめんなさい…。
ごめんなさい姉様…。
どうか姉様が、幸せになれますように…。
(両手を組み、祈りを捧げながら涙を零して
……お?
こんなところにマリア様か。ありがてえことだぜ。
(未開封の羊羹を供え手を合わせる)
次の服装検査でも引っかかりませんように……
捕まってもこの前みたいな話のわかるヤツでありますように!
私…どうしちゃったの…?
こんな気持ち、知らない…。
わからない…。
嫌じゃないけど
なんだか、とっても怖い…。
どうして…?
…逃げてきちゃった。
もっと、もっと撫でて欲しかった、けど…。
なんでこんなにドキドキするの…?
どうして…?
ううん。知らない…。気のせい…。
気のせいだもの…。
優しくしてもらえて嬉しかっただけ。
ちょっと甘えたくなっただけ。
大丈夫。大丈夫だよね…?
皐月様…。
好きだなんて愛してるだなんて、私以外に言わないで…。
あんな手紙は必要ないの。
もう要らないの。
貴女の想いは届かないまま。
それでいいの。
私だけが知っている、貴女の秘密…。
写真を破り捨てても胸は痛まなかったが
あいつの泣き顔に胸が痛んだ
なんでだろうな
父様、母様…。
早く私を、迎えにきてね?
私頑張って生きているのだから。
早く、迎えにきてね?
その時はずっと、私と一緒に…。
ずっとずっとずうっと、一緒にいてね…。
ゴローは結局ああなっちまったが……まずまずのベターエンドだろうな
もれいびの犯罪は実証できねえし法律で裁けねえ。ゴロ―がセブンを模倣したように、これからもろっこんを悪用した犯罪は起きるだろうな。
俺も臨時収入で懐あったまった。しばらくは贅沢できる。ゴローはどうでもいいって言ったが、ありゃ死んでも構わねーってより生きるも死ぬもどうでもいいって意味だ。
もとから薄汚えこの手がさらに汚れようがそれで旨味にありつけりゃよかった。だが殺すデメリットと生かすメリットを考えたら生かして利用するメリットの方が大きかった。それだけさ
しかし……女ってのは怖えな。
あの子を本当に護れるのは、私だけ…。
…私だけなの。
私、お姉ちゃんだもん…。
頑張る、よ…?
(マリア像を見つめ
普段と違い、子供っぽい口調でぽつりぽつりと
神様に…恋をしてたころは…♪
こんな別れが…来るとは思って無かったよ…♪
もう二度と…触れられないなら…♪
せめて最後に…もう一度抱きしめて欲しかったよ…♪
(寂しげな様子でポツリポツリと
切ない声で歌っている
主よ、私は人を殺めました…。
私は、私の大切な人の、一番大切な人達を殺めました…。
罪深い私にも、救いを下さるというのなら
どうか、あの子を幸せに…。
(床に座り込み目を閉じ、手を組んで祈りを捧げる
久しぶりに来たぜ
ステッラ・デッラ・コリーナだか舌噛みそうな高級レストランでの食事会にお呼ばれした
スポンサーは有閑マダムの千代子、企画したのは星ヶ丘で療養所やってる女医。早い話が余暇を持て余したセレブの慈善だ
飯めあてに出向いてったら腐れ縁につかまっちまってさんざんだったが……
女医の台詞が妙にひっかかる
「お近くをお騒がせするかもしれません」ってなあ何だ?警告?いや……宣戦布告?
お近くがシーサイドタウン全域をさすのかシーサイド九龍の近くをさすのか不明だが、どうにも煮え切らねえ嫌な予感がする
……ああ、今日のアンタはあの女医に似てんな
薫、とか言ったっけ。不吉な予兆じゃなけりゃいいが……
(しばらく泣いていたが、その後、涙を払って仮面を被り)
『…そう、解ったわ。私は前に進むだけ』
『それで良いんでしょ?貴女がそう言うのなら…』
(そう言ってゆっくりとマリア像から去っていく)