シーサイド九龍のどこか
壁龕の中に一体のマリア像が安置されている
白磁のおもてに聖寵充ち満てる微笑みを浮かべた聖母の周りには菓子や花などの供え物が絶えず、荒廃したシーサイド九龍にあって、そこだけ聖域にも似た静謐で清澄な空気を湛えている
誰が何の目的で安置したのかは与り知らぬところだが、今日も住民の誰かがマリア像に詣でに来る
ある者は一日の報告に
ある者は懺悔に
ある者は心の澱を吐きだしに
マリアは涙を流すことなく、迷える子羊の告白をただ聴くのみー……
●トピ説明
シーサイド九龍のどこか、壁龕の中に安置されてるマリア像に詣でるトピです
壁龕の中にマリアや聖人の像を祀り、花や菓子を供える民間信仰またその場所は、「ニッチ(狭い場所・隙間の意)」と呼ばれ、地中海の方で有名です
ダイアリーの延長の心情独白、罪の懺悔や秘密の告白など、ご自由にお使いください
(マリア像の足元にそっとえんどう豆を備えながら)
『…エンドウの花の季節はもう過ぎちゃってるわ。ごめんなさいね。代わりに豆の方をお供えさせて貰うわ』
『…寝子島に戻ってきてからもう二年ね…』
『変わらないと思ってたけど、何もかも変わってしまった気分だわ』
『…私が表に出るのも三年ぶりよ。そこまでこの島は混沌に満ち溢れているわ…』
『豆だけど、私の願いを込めて花として扱って欲しいわ。エンドウの花言葉は「いつまでも続く楽しみ」。そして「永遠の悲しみ」』
『…私にとってこの姿は「永遠の悲しみ」。けれども願いは「いつまでも続く楽しみ」』
『…願わくば「いつまでも続く楽しみ」になって欲しいわ…』
(そう言ってゆっくりと立ち去る)