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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
おとなになりたいお年頃
【魅力的なお手伝い】
段々と人通りが多くなっても、“何かのショーかな”で片付けられて来た、公園の二本足で立って細々とした作業に取り掛かるうさぎ。
時々テオの言葉にプルプルとした演技を合間に入れて不器用を演出している。
そんなうさぎの姿を、曖浜 瑠樹はじっと見ていた。
「ゆるキャラさんかなぁ？ いいねぇ、和むなぁ……」
ここで、これが本当のゆるキャラであったなら、彼の無自覚ろっこんが自動発動して皆が脱力に近しい和みモードに入ってしまうのだが、何故かこれはゆるキャラには該当しないようで、うさぎはちゃきちゃきと動いている。
そして、しばらく観察して、被り物の類ではないと判断した瑠樹は、瞬きを一つしてそのうさぎのテーブル向かいまで足を運んだ。
“歳を取れます”という内容の看板もさる事ながら、もふもふした毛並みもとても気になる。
「いらっしゃい、いらっしゃい。今、ここでは『特別な飴』を配っているよ」
「年を取れる飴、期間は半日かぁ。
うさぎさん、元に戻る為の飴は、あるのかねぇ？」
「それがないんだよ。よく聞かれるんだけれども、せっかくだから満喫してほしいんだよ」
「なるほどなぁ。それじゃあしかたないねぇ。
そうだなぁ、高校生くらいになれる飴ってあるかなぁ？」
「高校生？ あの制服っていう、堅くて同じものを着ているひと達のことなら、この飴とかお勧めだよ。だいたい１０歳分にならない位の飴なんだ」
「それじゃあ、一つもらっていくよぉ。
……。ん～、お返しに何か無いかなぁ」
瑠樹は自分のランドセルの中をがさぞそと漁り、以前に購入した可愛らしいゆるキャラストラップを見つけて、うさぎに差し出した。
「お礼に、これあげるなぁ。ゆるキャラストラップだよぉ」
「わあっ。ありがとう、人間界にはこんな生き物もいるんだ」
非常にその返答に困る瑠樹の傍らで、うさぎは目を輝かせて、ストラップを唯一の衣類である薄い水色上着の襟元につける。
うさぎは、付けた衣類のリボンをその重さに垂らしつつも、幸せそうに鼻をひくひくさせて、とても満足げな笑顔を見せた。
放課後の時間、瑠樹は家に帰って飴をぱくりと口に入れた。
甘さよりもジューシーなりんご味。
飴を食べた瑠樹の身長は一気に伸びて180cm台。声を出してみれば、声変わりも過ぎた低い声が響く。
「オレの声なのに聞きなれないねぇ……
でも、本当に高校生くらいだなぁ」
しみじみと己の姿を確認する。服は自分のものではサイズが合わず、非常に後ろめたく思いながらも、そっと父のものをこっそり借りる事にした。
「本当に高校生らしいなぁ。
──高校生といえば……今度、寝子高でねこまつりやるんだっけ」
寝子高校は今、ねこまつり……寝子祭テーマ「ダンシング人類愛！ ～サイケデリックを乗り越えて～」というワイルドなテーマの下、祭の準備に、放課後の時間にも大忙しになっていた。
一度は校舎内の寝子祭の様子に憧れたものだ。瑠樹はさっそく、その思いを決行して、学校内に潜り込む事に成功した。
初めて見た校内は活気に満ち溢れていた。瑠樹は早速あちこちに目を奪われながらも歩く。
すると、準備で重たい段ボール箱を抱えて立ち往生している女子生徒を見かけた。抱えていた段ボールがあまりに重過ぎて階段を上れないでいるらしい。
「こんにちはぁ。何かオレに手伝える事はないかねぇ？」
その女の子に驚かせないように声を掛けてみる。今の自分には少しは頼れるくらいにしっかりとした筋肉が付いている。重い物も持てるし、きっと力仕事も手伝えるだろう。
その段ボールを軽々と運び上げて、女の子からお礼を言ってもらう。
「大人になったら、こんなに役に立てるんだねぇ」
しみじみと、役に立てたと喜ぶ傍ら──ふと、近くの放送用スピーカーから声が聞こえた。
「只今、校内を部外者が侵入しています。只今、校内を部外者が──」
「え？ それってオレの事かなぁ……！」
瑠樹がおろおろする間にも、教員と思わしき人や風紀委員と思わしき制服の学生が一気にこちらへ走ってくる。対してこちらは大人の私服──
「わわっ」
最初こそ驚いた瑠樹だったが、その様子に胸を高鳴らせた。
「……よしっ。
──わーい、逃げろー！」
まるでゲームのように、人の波をぶつからないように避け、人を紙一重でかわして。
瑠樹は無事、学校内から逃げる事に成功した。
「うーん……やっぱり、本物の高校生でないとだめかねぇ。
──まぁ……面白かったし、良いかぁ！」
学校から少し離れた所で、息を切らせて。
それでも瑠樹は、飴をくれたうさぎに感謝をしたいと、公園に向かい、胸を満足で一杯にして歩き始めた。
段々と人通りが多くなっても、“何かのショーかな”で片付けられて来た、公園の二本足で立って細々とした作業に取り掛かるうさぎ。
時々テオの言葉にプルプルとした演技を合間に入れて不器用を演出している。
そんなうさぎの姿を、曖浜 瑠樹はじっと見ていた。
「ゆるキャラさんかなぁ？ いいねぇ、和むなぁ……」
ここで、これが本当のゆるキャラであったなら、彼の無自覚ろっこんが自動発動して皆が脱力に近しい和みモードに入ってしまうのだが、何故かこれはゆるキャラには該当しないようで、うさぎはちゃきちゃきと動いている。
そして、しばらく観察して、被り物の類ではないと判断した瑠樹は、瞬きを一つしてそのうさぎのテーブル向かいまで足を運んだ。
“歳を取れます”という内容の看板もさる事ながら、もふもふした毛並みもとても気になる。
「いらっしゃい、いらっしゃい。今、ここでは『特別な飴』を配っているよ」
「年を取れる飴、期間は半日かぁ。
うさぎさん、元に戻る為の飴は、あるのかねぇ？」
「それがないんだよ。よく聞かれるんだけれども、せっかくだから満喫してほしいんだよ」
「なるほどなぁ。それじゃあしかたないねぇ。
そうだなぁ、高校生くらいになれる飴ってあるかなぁ？」
「高校生？ あの制服っていう、堅くて同じものを着ているひと達のことなら、この飴とかお勧めだよ。だいたい１０歳分にならない位の飴なんだ」
「それじゃあ、一つもらっていくよぉ。
……。ん～、お返しに何か無いかなぁ」
瑠樹は自分のランドセルの中をがさぞそと漁り、以前に購入した可愛らしいゆるキャラストラップを見つけて、うさぎに差し出した。
「お礼に、これあげるなぁ。ゆるキャラストラップだよぉ」
「わあっ。ありがとう、人間界にはこんな生き物もいるんだ」
非常にその返答に困る瑠樹の傍らで、うさぎは目を輝かせて、ストラップを唯一の衣類である薄い水色上着の襟元につける。
うさぎは、付けた衣類のリボンをその重さに垂らしつつも、幸せそうに鼻をひくひくさせて、とても満足げな笑顔を見せた。
放課後の時間、瑠樹は家に帰って飴をぱくりと口に入れた。
甘さよりもジューシーなりんご味。
飴を食べた瑠樹の身長は一気に伸びて180cm台。声を出してみれば、声変わりも過ぎた低い声が響く。
「オレの声なのに聞きなれないねぇ……
でも、本当に高校生くらいだなぁ」
しみじみと己の姿を確認する。服は自分のものではサイズが合わず、非常に後ろめたく思いながらも、そっと父のものをこっそり借りる事にした。
「本当に高校生らしいなぁ。
──高校生といえば……今度、寝子高でねこまつりやるんだっけ」
寝子高校は今、ねこまつり……寝子祭テーマ「ダンシング人類愛！ ～サイケデリックを乗り越えて～」というワイルドなテーマの下、祭の準備に、放課後の時間にも大忙しになっていた。
一度は校舎内の寝子祭の様子に憧れたものだ。瑠樹はさっそく、その思いを決行して、学校内に潜り込む事に成功した。
初めて見た校内は活気に満ち溢れていた。瑠樹は早速あちこちに目を奪われながらも歩く。
すると、準備で重たい段ボール箱を抱えて立ち往生している女子生徒を見かけた。抱えていた段ボールがあまりに重過ぎて階段を上れないでいるらしい。
「こんにちはぁ。何かオレに手伝える事はないかねぇ？」
その女の子に驚かせないように声を掛けてみる。今の自分には少しは頼れるくらいにしっかりとした筋肉が付いている。重い物も持てるし、きっと力仕事も手伝えるだろう。
その段ボールを軽々と運び上げて、女の子からお礼を言ってもらう。
「大人になったら、こんなに役に立てるんだねぇ」
しみじみと、役に立てたと喜ぶ傍ら──ふと、近くの放送用スピーカーから声が聞こえた。
「只今、校内を部外者が侵入しています。只今、校内を部外者が──」
「え？ それってオレの事かなぁ……！」
瑠樹がおろおろする間にも、教員と思わしき人や風紀委員と思わしき制服の学生が一気にこちらへ走ってくる。対してこちらは大人の私服──
「わわっ」
最初こそ驚いた瑠樹だったが、その様子に胸を高鳴らせた。
「……よしっ。
──わーい、逃げろー！」
まるでゲームのように、人の波をぶつからないように避け、人を紙一重でかわして。
瑠樹は無事、学校内から逃げる事に成功した。
「うーん……やっぱり、本物の高校生でないとだめかねぇ。
──まぁ……面白かったし、良いかぁ！」
学校から少し離れた所で、息を切らせて。
それでも瑠樹は、飴をくれたうさぎに感謝をしたいと、公園に向かい、胸を満足で一杯にして歩き始めた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年07月26日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年08月02日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年08月02日 11時00分
