ランチタイムはウォータイム！｜リアクション

ランチタイムはウォータイム！

▽寝子島小学校
「それでは皆さん」
「いただきまーす！」

　皆での挨拶を終えてから、小島海美も給食を食べ始める。

「きゅうしょく、いただきます！」

　さっそくお箸を伸ばしたら、あれれ？

たべないでー！

「……食べたらダメなの？」

そうだよー！

　海美は箸を止めて、周りの様子を確認すると……。あれあれあれれ？　他の皆は気にせずパクパク食べている。
　ってことは、これが聞こえているのは海美だけなのかな？
　不安に思って給食をじっと見つめるが。

やーだー。たべないでー。

　給食は同じ言葉を繰り返す。
（そうだ！　先生にわけはなして、きょうはたべなくていいことにしてもらおう！）
　海美はさっそく担任の先生にお願いすることにした。

「先生、どうしてもきゅうしょくがたべれないの。のこしてもいい？）
「……小島さん」
「……やっぱだめ？」

　先生は困った顔をして、海美のことを見るばかり。
（どうしよう……みんな先にたべおわってあそびにいくし、わたしもはやくあそびたいし……）
　海美は一生懸命一生懸命考えて、結果。
（そうだ！　先生にもきゅうしょく、せっとくしてもらおう！）
　という結論に至った。

「先生、じゃあ、どうしてきゅうしょくをたべなきゃだめか、おしえてください！」
「え？」

　海美がそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。先生はきょとんとして放心している。

「先生？」
「えっと、それは……初等学校教育では食育が――」

　食育というものついて先生は語り始める。これで給食が食べられるはずと海美はニコニコしながら待機するが……。
（でもこれじゃあ、おかあさんのごはんのほうがおいしいし、いみないとおもう）

「それにね、小島さん。命をいただくということは――」

　次に始まったのは命の大切さについて。しかしこれも。

（でも、しぬのはおなじかも……）

　と海美は思う。

「あとは食糧自給率……、なんて難しいかもしれないけど――」

　その後に続くのは食糧自給率。どう考えても海美が理解できる範疇を超えているが、そんなときのためのろっこんだ。

（みんな日本のをたべよう！）

　と強く誓う。

「……最後に、国際的な食糧不足の問題について言わせて欲しいんだけど――」

　そしてダメ押しの食料不足の話。
　
（なにもたべれないなんてかわいそう！）

「つまり、きゅうしょくをたべると、わたしのべんきょうになって、ぶたやうしがよろこんで、日本のためになって、せかいをすくう！　ってこと？」
「そ、そうね」
「ずっときゅうしょくたべてたけどしらなかった！」

……俺、ヒーローになる！　俺が世界を救うんだ！！！

「ありがとう、きゅうしょくさん！　そうと決まったら、おひる休みおわるまえにたべきってあそぼう！」

　残り少ない時間で、海美は急いで給食を食べきるのだった。　

「……小島さん、今度食育の授業をするから、そのときもう一回このお話をしてくれるかな？」
「え？　うん。わかった」
「じゃあ、悪いんだけど、今から一緒に準備してくれる？」
「え！？」

　結局、お昼休みは遊べませんでした。

◆

　今日一日、数多の命が散っていった。けれどその生命は、今も貴方の身体の中で『生きている』。……かもしれない。

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あとがき

担当マスター：つるこ。
ファンレターはマスターページから！

まずは、ご参加、ご閲覧ありがとうございます。つるこ。です。
前回は皆さんに大変迷惑をお掛けしてしまい不安だったのですが、定員割れすることなくご参加いただけまして……本当に感謝しかございません。

今回はシリアスっぽくなる人、コメディになる人、個性様々で楽しいリアクションに仕上がったかなぁと思います。
私自身も色々と楽しんで執筆させていただきました。
ちなみにあとがきを書いている今は深夜（朝？）の６時です。ちょっとテンションが変です、ごめんなさい。
なんだかすごくお腹が空きました。
今、目の前に喋る食べ物があったら容赦なく食べると思います。

……これ以上変なことを書く前にこの辺りで引き上げようと思います。
皆さん本当にありがとうございました。

またご縁がございましたら、その際はよろしくお願いいたします。

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