ビブリオバトルッ！～文系異種格闘技戦～｜リアクション

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● 恵御納夏朝のオススメ『にじいろねこたちのぼうけん』

　次に登壇したのはやはり猫好きの少女、恵御納夏朝である。
「僕が紹介するのは……『にじいろねこたちのぼうけん』、です。この間読んで面白かったこの本を、皆にも紹介したいと思って持って来ました」
　夏朝が掲げたその本は、優しい風合いの挿絵のついた児童書だった。
「『あかいろねこ』さんを初めとする七色のねこさんを主人公にねこさんや色んな動物達が冒険するお話で、子供向けの本だけど深い話や考えさせられる問題提起もされていて……大人でも楽しめると思います」
　夏朝が調べたところ、どうやら、この本は元々は数冊の絵本として構想されてたそうで。
「短い本数冊をまとめて一冊の本にしたような感じで……どの章から読んでも分かり易くて読みやすいのが、魅力の一つです。特に３章の『きいろねことやまいはらしのはな』は病気と闘っている人にはぜひ読んでほしい……です。それと、この挿絵もとても素敵で……」
　夏朝は、とあるページを開いてみせた。
　七色をした七匹のねこが、見開きで描かれている。
「柔らかで可愛くて……猫さん達、可愛い！　撫でたい！　一緒に冒険したい……！　そう思わずにはいられないんです……！」
　そこで観客は気づいただろう。
　夏朝の前髪を留めているピン留めが猫であることに。
「きっとあの子はとっても猫が好きなのね」
「猫好きの子が好きな本なら、私が読んでも面白いかも」
　そんな風に思った観客たちがいたことだろう。

（それにしても……）と夏朝は思う。
　この本、ねこたちを気紛れに導く目付きの悪い「はいしろねこ」が出て来たり、様々な存在を弄び世界を乱して壊そうとして笑う「くろおとからす」が出て来たりとなにやら気になる登場人物が多いのだ。
（寝子島関連のフツウでない出来事に似た話もあったりするし……。偶然……なのかな）
　わからない。
　とても偶然とは思えないけど……それも、夏朝にとっては、気になる魅力のひとつとなっている。
「僕もこんな可愛い猫さんの絵を描いたり、お話を書いてたりしてみたい……！　読むたびにそう思ってしまいます。そんなステキなお話『にじいろねこたちのぼうけん』、みなさんもぜひ手に取ってみてください」