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秋の夜の花占い
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矢萩 咲
は硬派な女性である。
風紀委員という立場と、己の過去にある爪痕のせいで、恋愛というモノに積極的になれずにいた。
潔癖なまでに凍りついた咲の心。
しかし、少なくともここ最近は、他者からの熱に浮かされていた。
「はぁ」
咲の頭にチラつくのは2人の後輩の姿。
2人とも時折咲の脳内に現れては、恥ずかしい言葉や思い出を蘇らせて消えてしまう。
真逆の印象を持つ2人。その2人が2人とも、咲にとっては大切な存在であった。
抱き寄せられた肩も、そっと慈しむように添えられた手も、耳や首筋、腰。2人に触れられたすべてが、ほんのり熱を持つような錯覚を起こす。
その度に、咲は頭を左右に振って己を保つのだった。
『悩み子よ』
「!?」
耳元で囁かれるような声に、咲は反射的に顔をあげる。
普段あまり立ち寄らない九夜山の方から、微かに三味線の音色が響いてきた。
なぜだろう、と。
咲はその音色に呼ばれているような気がして、九夜山へと足を踏み入れた。
「これは……」
咲の目前に広がったのは真っ赤な野点傘。その下に座る女性が、先ほどの三味線の音色の正体だと悟る。
「君は、いったい何者なんだ」
『悩み子よ』
咲の問いに応えず、三味線の女性は先ほどと同じ言葉を咲に投げかける。
『そなたの恋心を占のうてやろう』
「恋の、占い? 咲はそんなもの……」
必要ない、と言いかけて動揺を隠しきれていない自分に気付く。
自分にはもう、関係がないと思っていた気持ち。しかし今、確かにその感情を己の内に秘めている。
「……咲は、不誠実だ」
絞り出すように、咲が語り始める。
「咲は、2人の後輩に恋心を抱いている。どちらの方が、という感情はない。どちらも、好きなんだ」
女性は目を閉じたまま、咲の話に耳を傾けていた。
「あの2人は優しいから、今すぐに答えを迫るようなことはしない。……咲は、それに甘えているんだ」
2人の笑顔が頭に浮かぶ。意地悪な笑顔も、優しい微笑みも、どちらも手放したくはない。
そう思う自分に気づいて、咲は視線を落とした。
「わかっているんだ。咲がひどいことをしているってことも。でもどうすることもできないんだ。……好きに、なってしまったんだ」
言葉の終わりが震えていることに気づき、咲はそっと目尻を拭う。
ほんのり温かいものが、指先を濡らした。
「咲には、この気持ちを無視することなんてできない。だけど……だけど」
ぱたぱたと音を立てて、咲の足元に水滴が落ちる。
思い出すのは2人の言葉。各々に伝えてくれた、自分にはもったいないくらい深い愛情。
そしてその奥から顔を覗かせたのは、どす黒い影のように咲にまとわりついて離れない亡霊。
「だから、嫌なんだ。恋愛なんて、相手のことも自分のことも傷つけるだけなのに。……咲が選べば、何かを裏切らないといけないことになる」
咲に深い爪痕を残した過去の亡霊。
初恋の男性が黒い影の中で赤い口を捻じ曲げて咲を見ている。
幼かった咲の心を切り刻んだ相手。
お前の行く末を呪ってやると言わんばかりに、咲に染みついて離れない。
咲は、自分の体が小さく震えていることに気付いて、両腕を抱きしめた。
『そなたの心、確かに預かった』
女性の三味線がその音色を響かせる。
その音に合わせて、咲の震えも徐々に収まっていった。
水盆に幾重にも花弁を重ねた大輪の花と、丸い形が特徴的なふたつの花が浮かぶ。
三味線の女性がそっと目を開いた。
『天竺牡丹。花言葉は“威厳”そして“不安定”』
大輪の花は水盆の上でくるりくるりと動いている。
威厳という花言葉のように凛々しく咲き誇るその花は、しかしどこか儚い不安定な色合いを映していた。
『もうひとつの花は、千日紅。花言葉は“永遠に続く変わらぬ愛”』
天竺牡丹に寄り添うように可愛らしい花を咲かす花に、咲は目を向けた。
『天竺牡丹はそなた自身の姿であろう。威厳がなければならぬ、と思うておるのか。されど、今はその思いが不安定になっておる。……理由はそなたが一番よく知っておるだろう』
女性の言葉に、咲は小さく頷く。
『不安定なそなたを支えてくれるものが居るはず。それがひとりか、ふたりか。あるいはそれ以上かはわからぬ。ただ、そなたの強い部分と弱い部分。すべてを見通してなお傍にいてくれるものがおるだろう』
「不安定……」
『そなたの威厳ある姿に惹かれるものも多かろう』
普段の自分を思い返し、咲は力なく首を振った。
『そなたの想いはこの花のように、誰に対しても主張する物ではない。だが、ふと気づくと必ずそこにあるような、変わらない深い愛がある。そなたの想いは受け取るものにとっては感謝の尽きぬものであろう』
「そんな、咲なんかの気持ちで……」
『愛情とは、単なる好意よりもより深く、より濃いもの。そなたの中にあるのはそのような感情。誰にでも向けられるものではないが、大切に思う相手への気持ちとしてはこれ以上ないもの』
『選ぶことを裏切りなどと捉えるでないぞ。そのような考えは何より己を支配し、不幸にする。大切な者たちと、幸せな思い出を刻むがよかろう』
街灯の照らす道を咲がふらふらと歩いて行く。
その手には天竺牡丹と千日紅が握られていた。
「選ぶことを、裏切りと捉えるな」
女性に言われた言葉を口に出して呟いてみる。
恋愛に対してトラウマがあるせいか、ネガティブに捉えていたのだろうか。
しかし、それでも。
「咲は、これからどうすればいいのだろう」
ふたつの花を握りしめ、咲は青白い月を仰ぎ見た。
「幸せな思い出、かぁ」
濃紺の空にちらりと光ったほうき星を、あの2人も見上げているのだろうか。
咲はそんなことを考えながら、占いの結果を噛みしめていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
時織椎
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月10日
参加申し込みの期限
2015年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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