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秋の夜の花占い
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「野阿?」
九夜山を下り、街灯の下でぼうっと立っていた胡桃は、見知った顔が傍にいることに気づき慌てて両手を後ろに隠した。
「どうしたんだ、こんなところで?」
「と、斗南……」
胡桃の目の前には、自身が占いの対象とした
灯 斗南
が立っていた。
片手にはコンビニで買ってきたであろうペットボトルと、お菓子の入った袋が下げられている。
「斗南こそ! こんなところで会うなんて偶然だね!」
胡桃は自分の動揺が悟られないよう、精いっぱい明るく言葉をかける。
後ろに回した手には、先ほどのサフランとイヌサフランが握られていた。
「ああ、なんだか不思議な音が聞こえて……、野阿はどうしてこんなところにいるんだ」
「あ、あたしも似たような理由! そういえばこの上で不思議な占いをしてもらえるみたいだよ!」
「占い……?」
胡桃の言葉に、斗南は少し怪訝そうな顔をする。
「この音の正体、知りたいでしょ? 行ってきなよ」
「……ああ。でも野阿、できたら一緒に来てくれないか」
斗南の言葉に胡桃は大きく瞳を開く。
「占いが終わったら、家まで送るよ。こんな夜にひとりで出歩くもんじゃないだろう?」
「……ありがと」
我ながらぎこちない返答だったと思う。胡桃は斗南の後を追い、先ほど下ったばかりの九夜山へと再び足を踏み入れた。
「ふぅん、君が占ってくれるんだな」
斗南は躊躇することなく毛氈の上に腰を下ろす。胡桃は、少し離れた場所で立ったままその後ろ姿を見守っていた。
彼が何を占うのか。知りたいけれど、知ってはならないような。
先ほどの女性の言葉が、胡桃の頭の中を巡っていた。
『そなたの恋心は、なんぞや』
「僕が将来、愛することができる人を見つけることができるかどうか」
淀みなく斗南が応える。
「僕はきっと愛に飢えているんだと思う。愛したいし、愛されたい。ただ、今の僕は自分のことしか考えていないような身勝手な人間だ」
最初から考えられていた台詞のようにすらすらと出てくる言葉は、普段から斗南の中に引っかかっていた想いなのかもしれない。
「こんな身勝手な人間が他人に好かれたとしても、その気持ちに応えることができない。僕はどうすればいい?」
斗南はまっすぐに三味線の女性を見つめている。
三味線の女性もまた、同じように斗南を見ていたが、その視界には立ったままの胡桃の姿も映っていた。
女性の視線が自分をもとらえていることに気づき、胡桃はすっと視線をずらす。
「応えることはできない。どう接していいかわからないから。……それなのに、複数人の女の子に対して、少なからず好意を持っているのは、やっぱり情けない、かな?」
斗南の言葉を聞き終えると、三味線の女性は再び目を伏せて撥を弾く。
やがて水盆に浮かんだのは小さな小さな紫色の花と、それを覆うように開く赤紫に光る葉のようなものだった。
『錦紫蘇。花言葉は“恋の望み”』
静かに語りだした女性の言葉に、斗南だけでなく胡桃まで聞き入ってしまう。
『そなたの想いは多くに広がる。望むものが多い分、心の奥底では多くの者に認められたいという気持ちがくすぶっておる』
斗南の腹の奥底で、ぞわりと何かが動いた気がした。それは高熱を溜めこんだ石のように黒々としていて、決して外からは見えないように隠されている。
それに名前を付けるとするならば。
それはきっと“欲”と言うのだろう。
『愛、とは広義に意味を持つ言葉。しかし、そなたが多様に愛を持ち続けるのならば、その愛は長くは続かぬであろう。
望みは濃く太く持つがよい。少しずつ、環境も変化していくであろう』
斗南は相槌も打たずに黙ったまま。胡桃もそんな様子に従っている。
『錦紫蘇は、葉の色を楽しむために幾度となく花を捥いでしまう罪な花。今を続けたいのならば深く愛を取る必要はない。しかしそなたの望みへと近づくには、たとえ多少葉の色が朽ちても、花を愛でるべきであろう』
『変えるか変えぬかはそなた次第。恋とは回り道をし、やがてあがりへと近づくが、その間に得られなかったものはその先にも得られぬものよ』
「なるほど、ね」
斗南が息を吐いて立ち上がる。
「でも、生きているうえで、たくさんを望むのは悪くないだろう?」
そう言い残して山道を下り始める斗南。
その後ろを慌てて追いかけようとした胡桃を女性が呼び止める。
振り返った胡桃の目線がとらえたのは、水盆に浮かぶ可憐な黄色い花。
『千寿菊……西洋ではマリーゴールドと呼ぶ。この花の花言葉は“嫉妬”』
女性が撥を持つ右手をすいっと動かすと、やがて水盆に沈んでいった。
『想い、とは複数の感情の混合物。決して、足元を取られ溺れぬようにな』
九夜山を下りると、11月の冷たい風がふたりを煽る。
「早めに帰ってあったまらないとな」
「その言い方、ちょっと変態臭い」
「なっ!?」
胡桃の家までの帰り道。ふたりはつかず離れずの距離感で歩いて行く。
なんでもない“日常”
今まで通りの“ふたり”
ひとつだけ違ったのは。
「斗南」
胡桃の呼びかけに斗南が目を向ける。
胡桃は視線を逸らしながら、遠慮がちに右手を差し出した。
左手には、2種類の紫色の花が握られている。
「寒いから! 寒くて手がかじかんじゃって……手、あっためてくれない?」
「……仕方ない、な」
差し出された右手を、優しくつかむ。
冷えた指先に互いの体温が移っていく。
「ねぇ」
「ん?」
「今度遊びに行く時は、斗南の行きたいところに行きたいな」
「なんだよ、いつもお前が行きたいところへひっぱっていくだろ」
「だから!」
胡桃はようやく、斗南と目を合わせる。
身長差のあるふたりは、必然的に胡桃が斗南を上目づかいで見上げる形になった。
「斗南と一緒ならあたしは、どこで何をしてたって楽しめると思うよ」
まっすぐな視線に耐えられず、斗南が顔を逸らす。
その頬がほんのり赤く染まっているのに気付いて、胡桃はいじわるな笑みを浮かべた。
「おいおいー、照れんなよー!」
「う、うるさい!」
なんだかんだとじゃれあいながら、それでも手は互いにしっかりとつないだまま。
ふたりは旧市街へと歩いて行った。
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担当ゲームマスター
時織椎
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月10日
参加申し込みの期限
2015年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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