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秋の夜の花占い
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こまちの占いが終わったのを確認して、遙も改めて女性へ向き直る。
こまちの語った想いが誰へ向けたものなのか、遙にはわからない。
ただ、深く悩む彼女を見て、綺麗だと、そう感じていた。
「恋、か。そう言えば久しく異性と付き合うこともしていなかったな……いや、」
遙は竜胆の花を大切そうに見つめるこまちへ視線を落とす。
「仕事の多忙さだけじゃなかったな、そう言えば。こまち君に出会ってから」
他の女性など、目を向けなくなった。
黙ったまま自分を見つめる遙に、こまちは不思議そうに首を傾げる。
そんなこまちの肩に手を添え、再び女性へと視線を向けた。
「気になる女性がいるんだ」
遙の言葉に、こまちの肩がわずかに震えた。
知らなかった。できることなら、知りたくなかった言葉だ。
「彼女は聡明で、才能にも恵まれている。俺にはそれだけでもたまらないくらいなのに、彼女は俺なんかを信頼してくれている。
そんな彼女を見る度に、俺なんてそんな価値もないのに、おめでたいやつだ、と心の底で冷え切っている自分がいる。
俺みたいなやつが、彼女に釣り合うはずがない」
遙は、自分を見つめるこまちの表情が、戸惑いと、恐怖と、不安に彩られているのに気付く。
誤魔化すように笑ってやれば、こまちの表情も少しだけ緩んだ。
「俺は彼女を騙しているんだ。品行方正で行儀のいい、物わかりのいいフリをして。
こんな自分を彼女に知られてしまったら、きっと幻滅されるだろうな」
ふるふる、と首を左右に振る。
心の底で、誰かが囁く。
それもまた、仕方のないことだろう? と。
「それが怖いわけじゃない。むしろそうなる前に彼女を壊してしまいたい。
いっそ自分からすべてを曝け出して、この手でぐちゃぐちゃにしてしまいたい。
否定も拒絶も何もかも判断ができないくらい。どんなにどす黒くてもいいから、彼女の中に俺という存在を刻みつけてやりたい」
無意識にこまちの肩に添えた手に力が入り、慌てて手を離す。
少しだけ移った体温を逃がさないよう、しっかりと手を握りしめる。
「昔、死んだ友人に言われたことがあるんだ。俺は薄情な人間だから、家族を作るのには向かないと。……その通りなんだろうな。
俺には人を愛し、幸せにする資格なんて、ない」
『して、占いたいのは』
「この感情が、恋愛感情なのか、それともただの薄汚い欲望なのか、教えてほしい。
……一度、眠っている彼女に口づけをしたことがある。でも、それでもわからなかったんだ」
俺は、人殺しだから。
声にならない声で呟いたその言葉は、秋の夜風に攫われていく。
一瞬、沈黙が訪れる。
誰も言葉を発せずにいた。
ややあって、水盆の水の跳ねる音がする。
『葡萄、だの』
三味線の女性が静かに“それ”を指す。
葡萄の房の形をしたそれは、始めこそ白に近い色合いをしていたが、瞬く間に花が咲き、枯れ、実を結んでいく。
やがて大振りな実をつけたその葡萄は、重みに耐えきれず水盆の底へと沈んでいった。
『花言葉は“酔いと狂気”』
女性はその両目をまっすぐに遙へ向ける。
『今のそなたの考え方は、いずれ本当に相手を壊しかねぬ。深みに嵌れば嵌るほど、そなたは抜け出せなくなる。
……むしろ、自らそれを望んでおるとも見える。よいか、狂気というのは伝染するものぞ』
こまちの時とは違い、はっきりとした口調で話す女性。
遙は、眼鏡の奥ですっと目を細めた。
『これはそなただけの問題にあらず。いずれ、そなたに近いモノすべてを飲み込んでいく。
しかしの、』
女性は一度、言葉を切る。
『葡萄には“人間愛”“慈悲”といった花言葉もある。よいな、愛と狂気は表裏一体。愛と欲もおなじこと。切り離すでない』
女性は再び瞳を閉じる。
頬を伝う涙が、その膝を濡らした。
『そなたらは似ておる。大事な相手に大切な言葉を隠しておるのだ』
そう言ったきり、女性は口を噤んでしまう。
遙とこまちは礼を口にし、その場を後にした。
九夜山を下りた後、ふたりとも先ほどの出来事は口にしないままでいた。
互いに想い人がいる。追及してしまえば、もうこうしてふたりで歩くこともなくなるのだろうか。
「斑鳩さん」
「こまち君」
意を決した呼びかけは、不思議と同時で。
「こまち君、俺の言葉を聞いて怖くはなかったかい?」
「怖くなかったと言えば嘘になるかもしれませんね。でも正直、斑鳩さんにそこまで想われる相手が少し羨ましいです」
「それは俺も同じだよ。こまち君の想い人は贅沢ものだ。こんな可愛らしい子をそこまで悩ませるなんて」
冗談とも本気ともつかない会話を交わしながら、ゆっくりと歩いて行く。
「斑鳩さん」
こまちは空を仰ぐ。
「今日は、月がとても綺麗ですね」
「……そうだな」
遙も同じように月を仰ぎ見て呟いた。
「本当に、死んでもいいくらい綺麗な夜だ」
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担当ゲームマスター
時織椎
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月10日
参加申し込みの期限
2015年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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