ダンシングで人類愛な祭りの準備｜リアクション

ダンシングで人類愛な祭りの準備

【ダンシングで人類愛な祭りの実行委員会議事録〔企画会議篇その３〕】

　そして、アジトでは企画会議はいよいよ大詰めの段階に突入しようとしていた。
「はぁい、みんなぁ、注目～（三回目）」
　一度の休憩を挟み、すっかりくつろぎモードに入っていた一同の気をもう一度仕事モードに戻すために、壬生由貴奈がパンパンパンと手を叩く。
「さて、これまでにスタンプラリー、モザイクアート、パフォーマンス大会の三つの企画が可決されたわけだけどぉほかに何かやりたいことがある人はいるぅ？」
　由貴奈がぐるりとアジトの面々を見渡すが、すぐに挙手をする者はいない。
　大方、議論は尽くされたかのように見えた。
　と、そのとき。
「あ、そうだ。ミスターコンテストのついでに先生達の人気投票とかどうかな？」
　常盤四月がおもむろにそんな提案を始めた。
「わ、私達の人気投票っ？」
　と、驚いた様子なのは、まさにその投票対象となるべき人物の一人――久保田美和教諭だった。
「うん。みんなも興味あるでしょ？　寝子高教師陣の人気ランキング。審査は生徒達による厳正なる投票で！　先生達のインタビューやアピールタイムも用意して、生徒からも応援メッセージをどしどし募集！」
　四月はまたまた熱のこもった口調で、すらすらとアイデアをのべつまくなし語り続ける。
「寝子高には個性的な先生が多いけど、数に埋もれちゃっている先生もいるでしょ？　そんな先生たちの知られざる魅力を紹介して素顔にスポットあてるいい機会じゃない！」
「……私達の知られざる魅力（ぐっ）」
　何故か一番熱を入れて聞き入っているのは久保田美和であった。どうやら祭りでいいところを見せたかったのは生徒達ばかりではないらしい。
「はい。私も賛成します！　寝子高の先生の知られざる魅力、私も知りたいデス！」
　と、結梨亜・カールシュテインが元気よく賛同し、
「ウチもええアイデアやと思います！　寝子高の先生、おもろい人がいっぱいおるし！」
　と、マリベル・ロイスも賛成の声をあげた。
「うん。準備に高いコストがかかるわけでもないし、現実的で、魅力的なアイデアなんじゃないかな。というわけだけど、みっちゃんセンセ、どう？」
　まとめ役を自負する八十八旗信彦が、現実的な問題も勘案しつつ、皆を代表して美和に問うと、

「ええ、何がなんでもやりましょう！！」

　と、今までで一番いい返事が返ってきた。公私混同ではないかと誰もが思ったが、面白いから皆黙っていた。
「これは、実行委員が主体となって開催する前夜祭のイベントとして話を進めるわ。コンテストの内容や細かいルールはこれからまた実行委員会で相談して決めていきましょう！」
　そうして凄まじい勢いで寝子高教師の人気投票も開催される運びとなった。
「うん。それじゃあこれまでの会議の結果をいったんまとめるよぉ」
　と、由貴奈が言って、どこからともなく持ってきたボードに今回の会議で決まった内容を書きつける。

　○採用企画

・スタンプラリー（当日イベント）

・パフォーマンスタイム（当日イベント）

・モザイクアート（当日イベント）

・フォークダンス＆キャンプファイヤー（当日イベント）

・先生の人気投票（前夜祭イベント）

「うんうん。思ったよりもたくさんの企画が出てきたねぇ。じゃあ、みんなぁ、これらのイベントをしっかりと実現できるように一人一人が主役になって頑張っていこうねぇ」

『『『おーーー！！！』』』

　こうして燃えるような熱気の冷めやらぬまま、寝子祭企画会議はひとまずの幕を閉じることとなる。