ダンシングで人類愛な祭りの準備｜リアクション

ダンシングで人類愛な祭りの準備

【ダンシングで人類愛な祭りのチラシ制作】

　そんなこんなで、実行委員達は早速それぞれのグループに分かれて各々の作業をスタートさせることになった。
「というわけで、私達はダンシングで人類愛なチラシを制作することになったよ！　頑張ろうね、小淋ちゃん、綾花ちゃん！」
『はい、よろしくお願いしますね、雨寺さん、綾辻さん』
「ええ、頑張りましょう。凛ちゃん、小淋ちゃん」
　チラシ制作を担当することになった雨寺凛と浅山小淋、そして綾辻綾花の三人は、まずそのデザインのアイデア出しに取りかかることにした。
「それじゃあ、まずはデザインのおおまかなイメージみたいなのを固めちゃおうか？」
　下書き用のシャープペンシルを弄びながら、凛がまずはデザインの方向性を決定しようと提案する。細かな部分は後々に煮詰めていくとしても、まずはおおよそのイメージを固めておかないと途中で空中分解しかねないからだ。
『そうですね。では、今年の寝子祭のテーマから"ダンス"、"人類愛"、"サイケデリック"の三つの要素を中心に考えてみるのはどうでしょうか？』
　スケッチブックに強調して書き込まれた三つのテーマを指し示しつつ、小淋が少し控えめにそう提案する。
「おおっ！　なんか壮大な感じでいいねっ！　よし、じゃあ私もその三つをテーマにデザインを考えてみるねっ！」
　凛が感心したように大きな瞳を輝かせて言うと、
「いいですね。テーマのサイケデリックなイメージは私も欲しいと思っていました」
　と、綾花も我が意を得たりというように微笑む。
　二人の真っ直ぐな同意に、小淋は少し照れたように、はにかんで笑う。
『それと何か目を引くチャッチコピーが欲しいですね。たとえば『メマグルシクラブ』とか、『今年の寝子祭トランス状態とか』、あるいは『愛はカオスをよぶ』とか』
「いいね、カオス！」
「いいですね、カオス！」
『カオス』に凛と綾花が異様に食いついた。あるいはこれも祭りの魔力かもしれない。
「じゃあじゃあ私は、『LOVE & FESTIVAL』、『情動のままに楽しんじゃえ！』、『パッション全開！』とか？」
「素敵です、凛ちゃん！」
『とっても雨寺さんらしくていいと思います！』
　続けて出された凛のアイデアにも綾花と小淋が手を叩いて賛同の意を示す。
「あと、ネコさんのイラストなら私描いてみたいです。それから、ののこちゃんにも意見を聞いてみようかな」

「――それ、絶対サンマさんになると思う！」
『――それ、絶対サンマさんになると思います！』

　綾花の意見に小淋と凛の意見が完全に一致した。
「ふふ、実は私もそう思ってました」
　と、綾花もまったくの同意見で、グループは華やかな笑いに包まれる。
「それから小さい子にもわかりやすいようにフォントは大きめでルビもふっておきたいです」
『イラストはテーマにのっとって、虹をイメージして色とりどりのイラストを描きこんでいきましょう』
「虹、いいね！　あとダンシングだから音楽的な要素――音符とかもちりばめるといいかも！」
「カラフルでしたらサーカスのピエロに七色の紙ふぶきなんてのもいいかもしれません」
　そんなこんなで、だいたいの方向性は固まったようだ。
『じゃあ、私も色々と試し書きをしてみます。ある程度の数が出揃ったら、そこからまたお互いに良い部分を抽出して最終的なデザインを決定していきましょう』
「うんっ！」「はい！」

　こうして、チラシ制作は着々と進行していく。

このページにイラストを設定する