Welcom to our Wedding Party｜リアクション

Welcom to our Wedding Party

　その頃、とある教会では立川良太と宮前葵の挙式が行われていた。
　そこでは純白の衣装に身を包んだ２人がどこか胡散臭さの漂う神父の前に立っている。
どこか参列者たちもそわそわした雰囲気の中で、こそっと葵が良太に耳打ちをする。
「この神父さん？　以前お世話になったっていう……」
「うん。最初は胡散臭いな、って僕もちょっと思ってたんだけど、
　実際に悪魔祓いをしてもらった生徒はそれ以降元気になって」
　そこでぱちっと良太とミハイル・シャガールの視線が合う。
　ミハイルは静かに微笑み、良太はどこかこそばゆそうにはにかむ。
「この役もかって出てくれたんだ」
　ミハイルは会場が落ち着き始めたのを見計らい、凛とした声で尋ねた。
「良太さん、あなたはこの女性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も
　愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか？」
　良太は精悍な顔つきで張りのある声で言う。
「はい、誓います」
　ミハイルは葵に視線を移す。
「葵さん、あなたはこの男性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も
　愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか？」
　ちらりと良太の方を見る葵。それに頷き返す良太。葵はミハイルを真っ直ぐ見据えた。
「はい、誓います」
「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか？」
「はい、捧げます」
「それでは指輪の交換を」
　すっと手で合図をすると、指輪が運ばれてくる。
「この円は永遠の愛、そして永遠に価値のあるものということを意味しています。
　良太さん。あなたはこの指輪を葵さんに対するあなたの愛のしるしとして彼女に与えますか？」
「はい、与えます」
「葵さん、あなたはこの指輪を良太さんのあなたに対する愛のしるしとして受け取りますか？」
「はい、受け取ります」
「葵さん　あなたはこの指輪を良太さんに対するあなたの愛のしるしとして彼に与えますか？」
「はい、与えます」
「良太さん、あなたはこの指輪を葵さんのあなたに対する愛のしるしとして受け取りますか？」
「はい、受け取ります」
「では指輪を交換してください」
　良太が指輪を手に取り、葵が手を差し伸べる。
　少し震えながらも良太は葵の薬指に指輪をはめた。それを見届け、ミハイルは告げる。
「ではベールをあげてください。誓いのキスを」

　挙式を終え、控室に戻った新郎新婦の元をミハイルが訪ねていた。
「良太さん、この度は本当にご結婚おめでとうございます」
「ミハイルさん。今日はわざわざありがとうございました」
「いえいえ。それと、こちらは私からのささやかなプレゼントです」
　そう言って差し出したのはどこか、いや、ものすごく怪しげな中東のあたりで見そうな人形。
　良太と葵はぎょっとしつつも、おずおずと受け取る。
「え、えっとこれは……？」
「これが開運と魔除けにいいのですよ。
　それと、結婚の誓いの言葉はある意味悪魔祓いであるはずなのですが、現れることはなかった。
　君たち２人は絶対に幸せになれますよ」
　とふっと微笑んで言う。
　その言葉を受けてか、それまで人形で複雑な表情をしていた２人も安心したような笑みで再びお礼の言葉を返したのだった。

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