財布が落ちている！？｜リアクション

財布が落ちている！？

　学校の廊下の隅に財布が落ちていた。通り掛かった八神修が足を止めて拾い上げた。周囲に慌てた様子の人物は見当たらない。
「近くにはいないか」
　修は教室に戻らずに職員室へと赴いた。担任の立ち合いの元、財布の中身を調べた。現金が一万三千三百円、カードの類いはなかった。他には折り畳まれた紙片があり、暗号のような物が書かれていた。
　修は頭の中で考えを纏める。
　校内放送を使うか。名乗り出れば質問をしよう。確かな金額は覚えていない可能性がある。財布の色は適当でも当てられるだろう。
　持ち主の決め手は財布の模様を尋ねて「無い」と答えられるか、否かだ。
　修は赤い財布を手の中で回した。模様は全く見られない。
「校内放送で落し物を伝えます。放課後までに持ち主が現れない場合は暗号が示した先を尋ねてみます」
　担任から許可を貰った修は職員室を後にした。廊下を歩きながらスマートフォンを使って文字を変換した。
「三夜湖の近くの展望台か」
　思った通りの答えに笑みを浮かべた。

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