繋がりを求めて｜リアクション

繋がりを求めて

「インディアンの血をひくバニーはノロシで時間伝えるって手もありかしら。寝子高まで見えるかしらねノ・ロ・シ♪
あはは、ジョークよ」
　バニーはそう言って笑いますが、樹の怒りは収まらないようです。
「決めた、内緒で取り返しに行こう、こんなやり方気に入らなさ過ぎるし、ついでに持ち主が分かる携帯も一緒に」
「ハイ! 　キュートなカウガールの出番かしら？　取り戻しに行くならバニーも手伝うよ。投げ縄の腕なら超一流なバニーにおまかせ♪」
　そう言ってバニーはウィンクしました。
　樹の表情が少しほぐれます。元気で明るいバニーとは、仲良くしたいと思っている樹です。
「ありがとう。って言ってもどうしようかな……先生とかに校長先生が校長室以外にいるタイミングを聞くとか？　例えば職員会議とか、見回りとか、今日は携帯とか取り上げたってことは、もしかしたら取りもらしがないか見回りもするかもしれない」
「んー、先生に聞いちゃうと後でバニーたちがやったってバレない？」
「先生に聞かなくても、あの校長の姿が見えたら回りこんで校長室に行くことだってできるかも」
「なるほどー」
「……どんなものにしたって悪い面はある、いい人だって悪い所もある、あの校長にしろ悪意があってやってるわけじゃないのはわかるし。でも一面だけ強調してこんな横暴な手段とるのだけは気に入らないよ、これであたしが悪いっていうならあたしは悪くていい」
　樹の意見にバニーも頷きます。バニーも動物好きな樹のことを、いい友達になれそうだと思っていました。
「イエス、バニー達ばっかり規制されるのっておかしいよね。そーそーさっき体育のせんせスマホでゲームしてたよね、ズルイ」

　
「そういえば今日は中間テストが返却される日だったわね」
　平均点95点は堅いわね、と踏んでいた翠響でした。
　思った通り、国語は100点満点。
　英語は94点、数学97点……社会90点。
（意外に点数にムラがあるわね……）
　そして理科の時間に、自信は覆されることになりました。
（……88点？！）
「篠原、お前が90点割れとは珍しいなー。次頑張れよー」
　理科の先生の言葉に、翠響は曖昧な笑いで誤魔化しました。
　しかし、内心は悔しくってたまらなかったのです。
　進路相談の際、担任に指摘されたことを思い出しました。
「あたし……調子になんて、乗ってないよ……」
　ぽつりと小声でつぶやきました。
　けれど翠響は、頭を振って強気モードに切り替えます。
（過ぎたことをくよくよしても仕方ないわ。次回、絶対頑張る！）
　ポニーテールが揺れました。　

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