【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ！｜リアクション

【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ！

　キュルビス･ラムズイヤーは登場を遅らせてもらっていた。
　なぜなら早い時間帯であれば、外がまだ明るくて演出効果が出せないからである。
　キュルビスが望む演出効果……それは、スポットライトだ！
「キュルビス、あれやってみたいデス！　スポットライトがカッ！　ってあたるヤツ！」
　そう激しく主張して、キュルビスは照明担当者と念入りな打ち合わせも行っていた。
　そして満を持して登場……キュルビス・ラムズイヤー！　ハロウィンの申し子！
　客席の人々は度肝を抜かれたことだろう。
　それは、後方で鑑賞していた佐藤英二にとっても同じことだ。
「光の洪水！？」
　英二は驚いて立ち上がってしまった。
　まったく、突然真昼に戻ったのかと思った。それほど大量の光であった。
　セットを利用していないにもかかわらず、ステージ上は黄金の宮殿のようになっているではないか。
　そのスポットライトを激しく浴びて、キュルビスは派手に登場したのだ。
「ハッピー・ハロウィン！　楽しんでいやがるデスカー！」
　キュルビスは大きな、大きな声で叫んだ。
　驚いたのとこれでスイッチが入ったようになったのとで、多くの観客が負けじと叫びを返している。
「楽しんでるナノ！」
「楽しんでますよー」
　御薗井セレッソ、薄野五月も声を上げている。
　そのすぐそばでは、ガスマスクのおかげで強烈な光には驚かなかったものの、これもまた面白いというように、日下部青も応の声を返していた。
　思った以上のレスポンスにキュルビスも大満足だ。このとき徐々にライトが落ちて、今度は綺麗な闇になった。ただし、キュルビスに当たる一本の光の帯だけは一定で存在する。
「キュルビス、ハロウィン、大好きデス！」
　言いながらキュルビスは舞台を練り歩いて、
「みんなにトリート！　ハロウィンですカラー！　キャンディーをもらいヤガレ！　クッキーを喰らいヤガレ！　楽しい思い出を作りヤガレ－！」
　言いながらどんどんお菓子をバラ撒くのである。大量にあるのだ。花咲か爺さんさながらに、じゃんじゃん盛大に蒔く！　蒔きまくる！
「アア、ハロウィン、ハロウィン、この素晴らしい季節ヨー！」
　これがフィナーレとなった。まっさきにリッカルド町長が、つづいてサンマさんとかぼちゃさん、それに観客たちも全員立って喝采を送った。キュルビスの独自の節回しに、手拍子を打ってこれをさらに盛り上げた。スタンディングオベーションだ。最高のスタンディングオベーションだ。
　ハロウィンよ、キュルビスよ、素晴らしいこの夜よ！

　キュルビスの熱演に惜しみない拍手を送ると、英二は改めて座り直した。
　すべての演し物が終了したのだ。ちょうどそこへ、青がまた戻ってきた。
「これで全演目が終了……すごかったですね！」
　英二は興奮気味に話しかける。ガスマスクをしたまま青もまた、いくらか熱の入った声で、
「大きなトラブルなく終了してよかったよ。まあ、小さなアクシデントはたくさんあったけどね……多少、突発的な出来事があったほうが、イベント的には楽しいだろう？」
　と応じて、ところで、と彼に問うた。
「どのパフォーマンスが一番印象に残ってる？」
「そうですね……趣向からいえば……」
　話は尽きないがここで、リッカルド町長とサンマさん、そして謎のかぼちゃさんがそろって、壇上に上がってきたのである。
　審査結果の発表だ！