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【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ!
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隙間屋・今鯛のケイオティックな混雑も、夕刻が近づくにつれて緩和してきた。
そこへ現れたのである。
彼女が。
バニーな悪魔、羽生碧南が。
「鷹取先輩……」
潤んだ熱っぽい目で碧南は、キャンディーを舐めるような口調とともに告げた。
「私……」
並の男であればここで、蝋人形のようにトロトロに溶けてしまっていたかもしれない。
けれども、彼は鷹取洋二だ。だから、
「おー、羽生くん」
特にどうのこうのということはない様子で彼女を迎えてくれた。
「その格好寒くない?」
「え? まあ……寒い、です。少し」
「屋台のそばに来るといいよ。火を使ってるから暑いくらいでさ」
と、洋二は手招きした。
ううむ、と碧南は唸りたい気持ちになる。彼女の中に住んでいた妖艶な女性はあっさり、三度笠でもかぶってどこかに出て行ってしまった。今、ここにいるのは季節外れな寒い格好をして、背を丸めて火に当たっている15歳である。
けれど憑きものが落ちたようで、すっきりしているのも事実だった。
「先輩、どうですか、お店の人気は?」
「いやもう、つい小一時間ほど前までは狂気の沙汰だったねえ。僕、一人で四人分くらい働いた気がするよ。そうすると高速で動けるミュータントヒーローになったような気がしてきて、なんかムチャクチャ動くことができたんだ」
「でも先輩が『狂気の沙汰』なんて言っても、いつものヒョウヒョウとした感じなんで実感わきませんねー」
「あっはっは、言ってくれるじゃないか」とまで言って洋二は急に声色を変えた。洋画の吹き替え声優のような雰囲気で、「俺だって、やるときはやる男だぜ?」
「『俺』で『だぜ?』ですって、あはは」
「やっぱ似合わないか-。こういうワイルドな口調、たまにやってみたくなるんだがねえ。『お前のこと好き、だぜ?』なんて言ってさりげなく告白するのとか」
「私だったらそれ、コクられたって気付かないですね」
「あ、そういうものなのか」
「そうですよ、はっきり言わないから察しろ、と言われてもねえ」
「よく考えてみれば僕もそうだなあ。……空気読むとか察するのとか、ぜんぜんダメでね。それでよく海原先輩に怒られる。南波太陽くんとかは得意そうだよな」
「いいんじゃないですか? それが鷹取先輩らしさですよ」
「ふーん。羽生くんに言われると平気になってきたなあ、きみ、カウンセラーの素質があるんじゃないか」
「まさか」
と笑いながら、碧南はなんだか体が軽くなったというか、自分を縛っていた紐が急に解けたような気分を味わっていた。なんというか、洋二と話すのは楽だ。つまらないこと、日常のこと、その他もろもろを言い合っているだけで楽になる。キャッチボールのタイミングがぴったり同士ということなのだろうか。
「ところで、噂で聞いたんだけどね」
「はい?」
「羽生くん、木天蓼大学へのスポーツ推薦の話が持ち上がったとか。いやはや、まだ一年生なのにすごいもんだ」
――!
碧南は硬直した。
たとえれば、わさび抜きと思っていた寿司をぱくっとやったら、それはサビ抜きどころかわさびてんこ盛りの激ハード仕様だったかのように。
これはたとえだからわさび寿司を食べたときのように、涙が出たりはしなかった。
けれどわさび寿司を食べたときのように、胸が詰まった。一瞬だが。
大きな話だったから、碧南が特に口にせずとも、自然に広まった噂であると思われた。
「……まだ先の話だし、確実じゃないですしねー」
「そっか」
さて、と笑って洋二は目を細めた。どういう意味の微笑なのか、碧南にはわからない。ただ、悪意のまったくない、それこそ赤ちゃんのような笑みだと思っただけだった。
「じゃあ羽生くん、合言葉、聞いておこうかな? おいしいから食べてってよ、ハロウィン特製たい焼き」
そろそろ並ぶ人もなくなってきた。ぽつりぽつり、人が来るばかりである。
やがて洋二は軒先に森蓮の姿を認めた。
「森くん、ハッピーハロウィン!」
「洋二さん、ご無沙汰しております」
洋二はなんとも嬉しそうに言う。
「待ってたんだよ、森くん」
「待っていた、といいますと……?」
「まあまあ、まずは合言葉を聞かせておくれよ」
そうでした、と、吸血鬼姿の蓮は軽く咳払いして告げる。
「Trick or Treat?」
「うん、結構結構、ではお菓子をあげよう」
「お菓子って、たい焼きですよね。ご存じかと思いますが私は……」
「なあに、皆まで言うな、だよ。森くん用は、ちゃあんと用意してあってねえ」
洋二は積んであるたい焼きの袋ではなく、屋台の後ろに回って、作り手になにやら声をかけた。
ややあって戻ってきた彼は、他のものとは違う色の紙包みを手にしていたのだった。緑色の油紙である。
「ほら、森くんって菜食主義じゃないか。普通のたい焼きって大丈夫なのか、けっこう気にしてたんだよ。菜食主義者といっても、卵・乳製品・魚介類は食べていいペスキタリアンとか、乳製品ならOKのラクト・ベジタリアンとか、結構分類が細かいんだってねえ。あ、これいい加減な知識だから、間違ってたらごめんね」
「いえ、間違ってないと思います」
「そうか良かった。最初は、卵抜きのを作ろうかと考えてたんだ。けど、ヴィーガン(完全菜食主義者)っていう一番厳しいのでは、乳製品もダメってことになるはずだよね……もしそうだったらいけないので、小麦だけで作ったたい焼きも用意しておいたのさ」
ほらこれ、と洋二に手渡された包みを、蓮は驚いたように見つめていた。
「悪いけど、結構前に作ったやつだからほぼ冷めてるよ。普通のたい焼きを焼いた型を使うのも問題があると思って、一番最初に作ったものだからね」
「普通のたい焼きでも、猫鳴館に持ち帰って誰かに譲るつもりでした。……ですが配慮していただいて、ありがとうございます」
「まあ、そもそもは卵や乳製品にアレルギーがある人用のものでもあるから、そんなに大変でもなかったよ。ただ、森くんが来なかったらどうしようか、とは思ってた」
ところで、と洋二は問いかけるような口調で、
「お菓子を拒否されたら、どんなイタズラをするつもりだったんだい? どうもね、森くんとイタズラって、イメージが合わなくてね……あ、悪い意味じゃないんだよ」
「いえいえ、実際、普段の私はイタズラとは縁がありませんから。ですが、こういったときまで真面目にしているのは、お祭りに対して不誠実でしょう」
話すうちなんだか、徳の高い僧のような口調になっていく蓮である。
「そこで私は考えました。お菓子をくれない方には『今日いっぱい騙してあげます』と伝えよう、と。けれど実際には何もしません」
「待って待って、なんだか一休さんのとんち話みたいになってきたねえ」
わかめ頭の額に手をやって、洋二は思案顔である。
「『騙す』と宣言して騙さない、ってそれは結局騙している、ってことかい?」
「ご名答。相手は自分が騙されたのか、騙されなかったのか、真剣に考えるかもしれませんね。論理学でも難しいとされる問題なので、きっと簡単に答えはでないでしょう」
「うーん、僕には難しい話だよ。イタズラされなくて良かった。危ういところだったね」
ウフフ、と中国歴史漫画の登場人物みたいな意味深な笑みを浮かべ、洋二は蓮に手を振った。
「じゃあまた猫鳴館で! とんち話をまた聞かせてよ」
「とんち話と言われると自信がありませんが……ではまた」
かくて蓮はそろそろ、人の減ってきた通りを戻っていくのだった。
コンテスト会場でものぞいて帰ろうか。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
1000人
参加キャラクター数
161人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月09日
参加申し込みの期限
2015年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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