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【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ!
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辛抱強く行列を待って、志波拓郎と高梨彩葉もパイ専門店『Huit Feuilles』のカウンターまでたどり着いた。
「……トリックオアトリート……」
「トリック・オア・トリート」
声を合わせて(ただ、話すスピードに差があるので微妙にズレを生じさせながら)、合言葉を言う。
「了解」
八葉あいらはうなずいてパイを取り出した。このとき、吸血鬼とシスター、という二人の組み合わせが気に入ったのか、
「ハロウィンは面白い格好した人がいっぱいだなー。見てるだけでもワクワクするぞ」
包みを手渡すとき、あいらは笑みを見せてくれた。愛想を振りまいている人の笑みより、クールガールがちらりと見せる笑みのほうが、なんだか価値があるような気がするものだ。
「……うん、ありがとう……」
さて混雑する店を出て、
「どこかで食べようよ」
と彩葉は提案した。
大変な人出があるのは事実だが、寝子島ではこの手のイベントには慣れているため、参加者がいくらか探せば休憩する場所が、なんとか見つかるように会場を設営するのが常だ。実際、数分せぬうちに彼らは、通りに面したテーブルと椅子を確保していた。
体重をかければぺこぽこと傾く簡易のテーブルと、白い簡易椅子、けっして高級品ではなかろう。けれどもちゃんと日よけも設けられており、居心地は決して悪くない。パレード会場を眺められるのもポイントが高い。
「うーん、おいしい!」
さくっ、とパイを口にして、彩葉はうっとりする。食品工場で大量生産したものではなく、自家製だからこそのこの歯触りだ。均一にいきわたった中身も、カボチャの風味とほどよい甘さが絶妙に合わさっていて、大変具合が良いのである。パイ皮の一枚一枚が、天女の衣のように薄くて軽いのも素晴らしい。
「これもおいしい…!」
拓郎は、詩の文言を考えるようにつぶやいた。一言で言い切るのはもったいない気もするが、やはり一言で、「おいしい」と断じたいこの味わいだ。
「沢山、甘いもの食べて余裕ができると、他の人の仮装が、どんなものか……気になってきたな」
シーツを被ったお化けのような姿が、パイの行列に並んでいる。
あれはウサ耳の男性? そしてあれは……後ろ姿だからはっきりとはわからないが、海賊船の船長だろうか。
身長120センチ足らずの三夜太陽からすれば、『Huit Feuilles』のカウンターは少々高いのだが、それでもがんばって背伸びして、なんとか顔を出して言う。
「トリックオアトリート! おかしくれなきゃかみついちゃうぞ! がおー!」
実際、もらえなかったら甘噛みするつもりだったのだけど、この分ではカウンターを超えて店員のお姉さんに噛みつくのはまず無理な様子である。
ところがそんなことをぼんやり考えていたら、店員のお姉さんこと八葉るちるは、
「はい、いらっしゃいませ。けれどお菓子はあげませんよ」
と、イタズラっぽい笑みを浮かべて言ったのである。
「うわっ、じゃあ、がぶがぶしちゃう!」
こう言って一生懸命太陽はジャンプするも、やはり届かない。
「ああ、びっくりした。じゃあ、お菓子をどうぞ」
けれどもるちるは律儀にそう言って、お菓子を太陽に手渡してくれたのだ。これが驚いたふりであることくらい、太陽だってさすがにわかる。でも、嬉しかったのも事実だ。
「わぁい! ありがとうございます!」
満面の笑顔で駆け戻っていった。その途上で、太陽は白いお化けと正面衝突しそうになった。
「あ、ごめんなさい」
白いお化け、というのはシーツを被っただけの単純な仮装者だった。お化けも面食らった様子だったが、特にそれ以上なにもせず、ただうんうんとうなずいて太陽を通したのだった。
――あれは太陽……気付かれなくてよかった。
お化け、つまり三夜虹司は胸をなで下ろしている。
だんだん行列が進んでいる。それはわかるのだが、店内の様子はよくわからない。なぜならシーツには最低限の穴しかあけていないから、視界についてはかなり不安があるのだ。だから彼はまだ、八葉ひまりがどこにいるのかも突き止められていなかった。
――けれどカメラさえあれば……あっ!
虹司は気がついた。そして、愕然とした。
この状態でどうやって、ひまりに撮影を頼むというのか!
虹司が手にしているのは、盗撮に使うようなピンホールカメラではない。つまりちゃんとレンスをひまりに向けて、シャッターを切る必要があるということ。風景を撮るのならまだしも、自分だけシーツで姿形を隠した状態で「写真お願いします」と厚かましく言い放つ自信は虹司にはなかった。(ていうか、彼女にも絶対嫌がられるだろう)
このときだしぬけに、
「はい、次、そこのお化けのお客様ー」
るちるの声がした。いつの間にか虹司の順番が来ていたのだ。
「あ、はい」
慌てて進もうとして裾を踏んでしまい、たちまちずるっと、シーツが頭から脱げ落ちた。
「わわわっ!」
慌てて直そうとするも、もう遅い。るちるに気付かれてしまった。
「あれ、虹司さんじゃないですか」
「いえ、ちがっ……違わない! はい!」
言いながらもせめてもの抵抗というのか、虹司は顔にだけシーツを被る。
「なにやってんです? もう、そんなコソコソしてたらお菓子あげませんよ!」
「はいぃ!」
虹司は直立したままシーツをかなぐり捨てた。そして、
「!!!!!!!!!!!!!!」
衝撃! ここで虹司は、巨大なハンマーで後頭部をフルスイングされたような気持ちになった。
彼は、ひまりと目が合ったのである。
ちょうど目の前にひまりが立っていたのだ。るちるの真横だった。シーツの狭い視界のせいで、そのことに気がつかなかった。
ひまりは、あっけに取られたような顔をしている。
『るちるのクラスメイト……だったっけ……?』
彼女の目が、そう言っているように虹司には見えた。
「お……お……お菓子は……いい、ので……」
脚がガクガクと震える。背中を大量の冷や汗が流れる。自分の顔が加速度的に、赤面していくのが理解できた。舌がもつれてうまく話せない。
けれども虹司は必死に声を絞り出したのだった。
「写真! 撮らせてください!」
ははあ、と、るちるはなにか悟った様子だが、それを言葉にせず単に、
「いいですよ」
と、あっさりひまりの肩を抱いてVサインを出したのである。
「写真って、今はそんな場合じゃ……」
ひまりは明らかに嫌そうな顔をするも、るちるは問答無用だ。
「いいじゃないですか。減るもんじゃなし。ほら、カメラはあっちよ」
「ったく、るちるはこれだから……」
「はいー、るちる、笑って-」
「笑えと言われてそう簡単に笑えたら苦労しないってんだ」
いつものことではあるが――と、ひまりは思った。るちるは妙に楽しそうだな、と。
――写真なんて撮らせるなんて……うん?
ひまりは硬い笑顔を浮かべながら、ふと考えるのだった。
――嬉々として写真を……まさか……!
ひまりは改めて虹司を見た。なんだか頼りないところがあるが、優しそうなタイプでは、ある。理知的な雰囲気もあるといえばあるし……。
――るちる、あのクラスメイトのことが……!
だとすれば、るちるがやけに盛り上がっている理由も説明が付く。わざわざ来てくれた級友を「そんなコソコソしてたらお菓子あげませんよ!」なんて一喝したのも、好意の裏返しと考えられなくもない。
――そうか……色々あるもんだ……。
まあ自分の勘違いかもしれないが、一応、彼の名前くらい後で聞いておこう、とひまりは思った。
ところがこのとき、ひまりは急に我に返った。
「だ、大丈夫か……? カメラ、煙が出てるぞ……!」
「えっ!」
その通り、虹司のカメラは突然、もうもうと白い煙を上げ始めたのだった。
ひまりがあらぬ誤解をしているまさにそのとき、虹司もまた、心の中の迷宮にいたのである。
――ひまりさんの写真が撮れるのはいい、服装も素敵だ……なのに俺は……こんなガクガクブルブルで……。
るちるの言うとおりだと思う。コソコソしている場合でなないのだ。なのに虹司の心は怖じ気づいてしまう。
――ああ、僕ってキモい(creep)……変人だ(weirdo)……。
そんな自虐的な想いが、虹司の手から電流を放射した。期せずして発動した『ろっこん』だ。
そうしてカメラが、ぶすぶすと煙をあげたのだった。
「うわー! 失礼しましたー!」
虹司はそのまま店を飛び出した。外でカメラのフタを開ける。
「メモリーカードさえ無事なら……!」
今気にすべきはカメラの安否ではなく、三枚だけ取れたひまりの写真である。少なくとも一枚は、気絶しそうになるくらい、いい笑顔が撮れたと思っている。
だが、運命は無情だ。
メモリーカードは黒焦げになっていた。カメラを冷ましてから差し込み、起動すると、カメラだけは正常に動いたが、メモリーカードのデータだけは読めなくなっていた。
「あ、メモリーがやられてる……」
虹司の世界は砕け散った!
(少なくともこの瞬間だけは)
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
1000人
参加キャラクター数
161人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月09日
参加申し込みの期限
2015年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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