【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！｜リアクション

【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！

　　【たぬき系にゃんこのお手伝い】

「あれぇ。なんでだろう、にゃんこになってる」
　入り口前の列を並びながら、岡野丸美は持っていたカボチャ帽子を傍らに置き、自分の手と耳を触りながら不思議そうに首を傾げました。

　毛は茶色。カットを忘れた長毛種みたいに、膨らんだ姿はまるで狸のよう。
　周りのねこたちがはしゃぎまわる中、それとは無縁とばかりにおっとりとした、外への散歩すら意識から存在しないような気配を漂わせて、丸美は改めてのんびりと手にカボチャを抱え直しました。
「準備よーし、かぶりよーし、スッポリ度よーし！　うむ、今日見てきた中でも、一際カボチャがよく似合うな！」
　衛兵さんの発言に、丸美は嬉しそうにカボチャ帽子に手を添えました。帽子自体が可愛らしかった上に、これは今日一日のお友たちです。似合うと言ってもらえるのはとても嬉しく、丸美はとても幸せな空気に包まれました。

　広場内の屋台は、カボチャの集まりで上々の雰囲気を見せていました。
「そうだねぇ、まずはお店を見て回りたいなぁ」
　早速入れそうなところから、列の流れに乗るようにお店を見て回ります。
　お店はバラエティに富んでいました。
　食べ物のお店や、お土産用カボチャ帽子のお店。きちんと人間界から持ってくる際に、いぬねこ的に(普通の犬と猫とでは基準が若干違うようです)危険なものが入っていないかどうか確認した“いぬねこが選別したＢＥＳＴ１００！　人間界の美味しいおやつ！”等の看板が不器用ながらも一生懸命書いたのが伝わる文字で掲げられています。

「これ、おいしそう……こっちの爪編み細工も可愛いなぁ」
　丸美の視点が忙しなくあちこちに向かいます。それに合わせてカボチャ帽子の重さで、体も一緒にあちこちにふらふらと。周りのカボチャも見守る勢いで距離を取っています。
　しかし、ついに。

「あ……わっ、転んじゃったぁ」
　
　よろけた瞬間、カボチャ帽子の重みに負けて、丸美は思いっきり風車の屋台に突っ込んでしまいました。

「ごめんね。屋台に突っ込んじゃった……」　
「うわあっ、誰かのところに飛び込みそうだと思ったけれども、よりにもよってうちだったかー！」
　それならばふらついている時点で止めてあげれば良かったのですが、カボチャ混みで屋台の外に出ることが出来なかったのです。
　屋台の端っこに突っ込んだ為、幸いにして商品には傷一つついてはいませんでした。
「ごめんね、お詫びにお手伝いするねー」
「助けられなくてごめんなー。よろしく頼むよ」
　落下はしたものの、カボチャや体に潰された風車はありませんでした。慌てて、ずれた屋台
を元に戻したは良いものの──
「……あれ、風車またひっくり返しちゃった、ごめんね。あ……落っことしちゃった」
「……。向いてないんだろうなー。
そうだなー、心意気だけもらうから手伝わないでおいてくれ」
「ごめんね……」
　直してもらえたら助かります。けれども、より並びが崩れてしまってはもっと困ります。
　──これはお店のカボチャにとっても苦渋の決断でした。丸美はしょんぼりとしながらも、ふと思いついたように顔を上げます。

「あ、それじゃあ、お客さんを呼ぶのを手伝うよ」
「おおっ、それなら助かるよー！　よろしく頼むーっ」

　お店の人の許可をもらえて、丸美は喜んで客引きを始めました。
　人が少なめになった屋台の外に出て、両手を振って声を上げます。

「いらっしゃーい、いらっしゃーい！　素敵な風車はいかが－！」

　その声に４匹のカボチャが通り掛かりました。
　屋台巡りの為の花を取りに向かっていた、綾辻綾花と、恵御納夏朝、夢宮瑠奈と猫の王さまです。
「王さま、風車屋さんなんてあるんですね！」
「お、今年も出ているのか。去年もいぬねこたちに大盛況だったんだ」
「……可愛いね。皆で持ったら楽しそう。お土産にも丁度いいかな」
「くるくる回って、少し幸せそうな感じだねぇ」

「そうと決まれば早速買っていくか。ここは売り切れるのも早いからな。ルナの分はさっきもらった花から出すとするか」
　さっそく売り場から４本の風車が無くなりました。４匹は、早速くるくる回る風車を持って楽しそうに歩いていきます。

「あ、売り切れそうだったら一つだけ残しておいてね。私も最後に買うからねー」
「あいよーっ」

　丸美の宣伝で、興味を持ったカボチャたちが集まってきます。
　こうして風車は、先程よりもずっと勢い良く売れていくのでありました。

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