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【5】届けたい気持ちは……
午前零時を過ぎて、日付が十月十日に変わった途端、
神条 誠一
のスマホには、続々とメールが届いていた。
どれも、彼の誕生日を祝うものばかりだ。差出人は、中学までいた土地の友人たちである。
(俺も今日で十六歳……か。あんまり、実感わかないけどな)
そのメールたちをぼんやりと眺めつつ、誠一は胸に呟いた。
朝が来て、学校へ行っても、そんな感じだった。
友人たちや部活の仲間などから、軽く「おめでとー」と声をかけられた。ジュースやスポーツドリンクをくれる者もいたし、昼ごはんを奢ってくれた者もいた。
相手に礼を言って、学食で昼を食べているところに、両親からもメールがあった。
(追加の仕送りか。ありがてぇ。帰りに確認するか)
メールの文面を読み下し、誠一は思わず口元を笑み崩れさせる。
そんな彼を、すぐ近くのテーブルから見やって、小さく溜息をついたのは、
鴇波 羽衣
だ。
実は彼女、誠一に片思い中だった。そして、朝からずっと彼に声をかけようとして、かけられないでいる。
今も、立ち上がろうとした瞬間に彼がスマホを取り出したので、結局また椅子に腰を下ろしたところだった。
(あ……)
誠一が、スマホをポケットにしまうのを見て、彼女は今度こそと立ち上がる。そちらへ一歩踏み出そうとした途端、彼女を追い抜いて歩み寄った男子生徒が、誠一に声をかけた。
声をかけられ、誠一が顔を上げる。その面に笑みが浮かび、楽しげにその男子生徒と話し始めた。
それを見やって、羽衣は小さく唇を噛む。
(誠一くん、あたしといる時より、ずっと楽しそう……。おめでとうを言って、プレゼントを渡したいけど……やっぱり、迷惑だよね……)
ちらとそちらをふり返ると、誠一はまだ彼女の知らない男子と楽しそうに話していた。
なぜだか寂しくなって、彼女はまだ半分以上食べ物が残っている盆を手に、席を離れた。
やがて、放課後。
すでにあたりは夕暮れ時で、部活の生徒たちも帰ってしまったのか、校庭から響く声もない。
そんな中、羽衣は一人、教室の自分の机に突っ伏していた。
「あたしの、いくじなし……」
ボソリと呟く。
あのあとも、彼女は何度か誠一に声をかけようと試みた。
だが、結局できないまま、昼休みも終わり、授業も終わり、部活も終わって、こんな時間になってしまったのだ。
「誠一くん、きっともう、帰っちゃったよね……」
低く呟き、顔を上げると自分の手を見やる。
その手は、絆創膏だらけで、ボロボロだ。昨日、誠一へのプレゼントのクッキーとミサンガを作るために、負ったものだった。何度も失敗しては、そのたびにやり直した。失敗するたびに、傷は増えて行ったけれど、それでもなんとか、満足の行くものを作ることができたのだ。
(……なのに、全部無駄になっちゃうのかな……)
胸に呟き、小さく唇を噛んだ時だ。
廊下に、あたりを見回している誠一の姿があった。しかも、一人だ。
羽衣は、弾かれたように立ち上がった。今を逃したら、きっともうチャンスはないだろう。
(勇気を出せ、あたし!)
自分で自分を叱咤して、羽衣は廊下へと駆け出した。
「誠一くん!」
「羽衣?」
誠一は、立ち止まってふり返り、驚いたように羽衣を見る。
「誠一くん、あの……渡したいものがあるの。迷惑だったら、捨てちゃってもいいから」
羽衣はそれへ一気に言って、きれいにラッピングした二つの包みを、震える両手で差し出した。
彼にどう思われるか、不安だった。でも、これだけは笑顔で言わなくちゃ……と、羽衣は唇の両端を持ち上げ、笑顔を作る。
「誠一くん、お誕生日おめでとう」
差し出されたそれを、誠一は驚きの目で見やる。
ここを通ったのは、偶然だ。そこそこの時間で部活を切り上げ、帰ろうとして、教室に忘れものをしたことに気がついた。それで南校舎にやって来たのだが、教室を出たところで、何か声が聞こえた気がして、十組の前までその声の出どころを探してやって来たというわけだった。
ちなみに誠一は、羽衣が自分に片思いしていることを、一方的に知ってしまっていた。なので、彼女に呼び止められた時には、少しだけ気まずい気分だったのだが……今はむしろ、気分がいい。
「ありがたく、もらっておくぜ」
誠一は、笑顔で言って二つの包みを受け取った。
その時、気づく。彼女の手が、絆創膏だらけであることに。
(これ……もしかして、このプレゼントを作るために……?)
小さく目を見張ると、彼は訊いた。
「こいつ、食べ物か?」
「あ……ええ。クッキーと、ミサンガを作ってみたの」
思わず視線を足元に落として、羽衣は答える。
「そっか……」
うなずいて誠一は、彼女が料理があまり上手ではないことを思い出した。
(なのに、俺のためにがんばってくれたんだ……)
そう思うと、ふいに胸の奥にこみ上げて来るものがあった。むやみと彼女の頭を撫でたい衝動に駆られる。
だが、さすがにそれは堪えた。そしてもう一度「うれしいぜ。ありがとうな」と笑って返すと、軽く手をふって踵を返す。
その背を見送り、羽衣は大きく安堵の吐息をついた。
(誠一くん、受け取ってくれた。うれしいって言ってくれた! よかった~)
ホッとしたら、急に力が抜けて、彼女は壁にもたれかかる。そして、今度は声に出して呟いた。
「誕生日のプレゼント、渡せてよかった……」
一方、誠一の方は。
帰宅すると、さっそく羽衣から渡されたプレゼントの包みを開けてみる。
一つは、羽根の形をしたクッキーだった。形は少しばかりいびつだったが、食べてみると適度な甘さで、美味しかった。
もう一つは水色を基調に白い羽根の模様がししゅうされたミサンガで、『もっと高く跳べますように。もっと遠くまで届きますように』と書かれたメッセージカードがついていた。
「こいつをつけたら、本当にもっと高くジャンプして、もっと遠くにボールを投げられる気がするぜ」
さっそくミサンガを腕につけ、誠一は呟く。
そして、自分にこれらを渡した時の、羽衣の必死な様子と絆創膏だらけの手を思い出した。
(ああいう子って、前住んでた土地にはいなかったな。一生懸命で……ここに、ぐっと来るぜ)
つと、自分の胸元を拳で押さえて胸に呟く。
そして彼は、クッキーをもう一つ口の中に入れ、噛み砕いた――。
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担当ゲームマスター
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月11日
参加申し込みの期限
2015年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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