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10月の★ハッピーバースデー
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【1】誕生日にラブソングを
その日、
唐沢 一也
は、ライブハウス『寝子島Loosey』のリハーサルスタジオにいた。
彼は、バンド『lie』のリーダーで、ベーシストなのだ。普段から、このライブハウスを拠点にして活動している。
今日は、バンドメンバーとハロウィンライブとミニアルバムの打ち合わせをするはず……だったのだが。
スマホにかかって来た電話を切って、彼は小さく舌打ちする。
「……ったく。どいつもこいつも」
思わずぼやいたのは、今の電話がバンドメンバーからの遅れるという知らせだったからだ。
実は、他のメンバーからも、同じような連絡が入っていた。
一人では打ち合わせにならない。とりあえず、練習でもするかと彼がベースを取り上げた時だ。
スタジオのドアが開いて、
神無月 ひふみ
が姿を現した。
「あら、他のメンバーはまだ来てないの?」
室内を見回し、首をかしげる。
彼女は一也のバイト先の後輩だった。バンドのメンバーではないが、よく作詞を頼んでいる。今回もそうだ。
「連中、遅れて来るんだとさ」
「そ、そうなの」
つまりは、二人きりだと知って、ひふみは少しだけうわずった声になる。
実は彼女、一也に片思い中だった。もっとも、一也はそんな彼女の気持ちになど、まったく気づいていないようだったが。
(二人きりってことは、プレゼントを渡すチャンスだわ)
彼女は胸に呟き、カバンの上からそっとプレゼントの包みに触れた。
そう、今日、十月一日は彼の誕生日なのだ。
バイト中に彼がぽろっとこぼした日付を、ひふみはしっかりと頭に刻んでいた。
だが、そんな彼女の胸中など知らない一也は、言った。
「とりあえず、俺たちだけでも打ち合わせ、始めようぜ」
「え、ええ」
うなずいてひふみは、促されるままに、隅に置かれた長方形のテーブルの傍のパイプ椅子に腰を下ろす。
「新曲のテーマは、禁断愛……だったわね」
「ああ」
彼女の向かいに腰を下ろして、一也はうなずくと言った。
「せっかくのハロウィンだ。艶やかで、ダークで、背徳的……思いっきりゴシックにしちまおうぜ」
「そうね。……吸血鬼とか、どうかしら」
おりを見てプレゼントを渡さなければと考えながら、彼女は新曲について自分なりの構想を告げる。
「吸血鬼?」
「そう。孤高の吸血鬼と、その生贄に捧げられた花嫁が、恋に落ちるのよ。……最初はお互い、いやいやだったのに、いつしか恋に落ちて、真実の愛に目覚めるの。そんな二人を、神父に率いられた人間たちが引き裂き、吸血鬼は炎の中に消え、花嫁は彼との子供をお腹に宿して、森の奥深くに消えて行く――どう? ロマンチックじゃない?」
「なるほど……。悪くねぇな。けど、なんつーか、もうちょっとハードな感じでもいい気がするぜ」
ひふみの言葉に考え込んだあと、一也は感想を漏らした。
「そうかしら。……じゃあ、そのハードな部分は楽器で表現すればどう?」
「そっか。……じゃ、間奏にギターソロとか入れる方向で、考えてみるか」
彼女の提案に、一也もうなずく。
しばらくのち。
二人は打ち合わせを終えて、ひふみが差し入れとして持参した缶コーヒーをそれぞれ口に運んでいた。
新曲は、吸血鬼とその花嫁の悲恋で行くことになり、ひふみの提案で、ライブでは仮装しようという話になった。
作詞の打ち合わせが終わっても、他のメンバーたちはやって来ない。そのことに幾分苛立ちながら、一也はふと思い出して言った。
「そーいや、この間、神無月の親父さんに会ったぜ」
「えっ? 親父に会ったの? やだっ!」
プレゼントをいつ渡そうかと、気もそぞろだったひふみは、聞きたくもない人の名に、思わず声を上げる。が、一也は笑って続けた。
「なんつーか、勢いのある奴だったな。いい親父さんなんじゃね?」
片思いの彼が、大嫌いな父親を褒めたことで、ひふみはちょっと混乱する。
「あんなの、父親でもなんでもないんだから、お義父さんなんて呼ぶの、よしてよ。だいたい結婚なんて早すぎ……」
言いかけて、彼女は真っ赤になった。誰も彼女の父を「お義父さん」とは呼んでないし、結婚するとも言ってない。
だが、幸い、一也には彼女の言葉の意味は、ちゃんと伝わっていなかったようだ。
「……血痕?」
吸血鬼からの流れでの連想か、同音異句を呟いて、首をかしげている。
その彼に向かって、ひふみは「ええい、ヤケだ!」とばかりに、バッグから取り出した誕生日プレゼントの包みを突き出した。
「誕生日おめでとう、一也。私からのプレゼントよ」
「え?」
一也は一瞬きょとんとしたあと、小さく目をしばたたく。
「……今日って、俺の誕生日だったんだな。また無駄に年食っちまったってわけだな」
小さくこめかみを掻いて呟くと、彼女の差し出したものを受け取った。
「サンキュ。……開けてもいいか?」
尋ねる一也に、ひふみがうなずく。
小さな包みの中から現れたのは、双頭のドラゴンを象ったシルバーのネックレスだった。双頭のドラゴンの真ん中には、赤い石がはめ込まれている。
(これ……一見クールでぶっきら棒だけど、芯に竜のような野性と炎のような情熱を秘めた一也に、ぴったりだわ……!)
ステラマリスでこれを見つけた時、ひふみは胸の中でそう叫んだものだった。
「カッケーな。ドラゴンたぁ、俺好みだ」
ネックレスを取り出し、一也が目を輝かせて言う。
「その赤い石が、素敵でしょ?」
「ああ。なんだか、炎が宿ってるみてぇだな」
ひふみの言葉に、一也はうなずいて笑うと、さっそくつけてみる。
「よく似合ってるわ。……喜んでもらえて、よかった」
笑って返すと、ひふみは踵を返した。ドラムセットやアンプなどの置かれた、中央の練習スペースまで歩いて足を止めると、彼女はふり返る。
「今日は、もう一つあるの。私の新曲よ。……タイトルは『ドラゴンフライガール』」
言うと、彼女はマイクを手にして、歌い始めた。
楽器の伴奏のないアカペラだったが、その歌声は伸びやかで、澄んで美しかった。
(一也。これは、あんたに捧げるラブソングよ。……私、あんたと一緒に、空の上まで飛びたいの。どこまでも、一緒に行きたいのよ)
死ぬほど恥ずかしかったが、彼女は必死に想いを込めて歌った。
彼女の歌声は、躍動的で激しいのに、どこかせつなく響いて行く。
彼女の動きと共に、長い黒髪がうねり、汗で額や頬に貼りついた。頬は上気して薄紅色に染まり、のけぞる白い喉が、扇情的ですらある。
そんな彼女の姿を、一也は小さく息を飲んで見つめていた。
(なんか、いつもよりずっと綺麗だ……)
そう思った瞬間、心臓が一つ小さく音を立てて跳ねた。
(なんだ、今の……)
思わず胸元を押さえて、彼は小さくまばたく。視線を巡らせた先には、歌い続けるひふみの艶やかな姿があった。
それを目にした途端、彼はふいに頬が熱くなるのを覚える。
(俺……まさか……)
それらが何を意味するのかをふいに悟って、彼は目を見張った。だが、すぐに小さくかぶりをふって、口元をゆがめる。
(……アイツは綺麗で、真っ直ぐで……俺なんかが触れていい奴じゃない)
軽く自分の片頬を手で打って、呟いた。
「調子に乗るなよ、俺」
そして彼は、小さな深呼吸と共に、歌い続けるひふみに改めて目をやった。
拍手が沸き起こったのは、ひふみが歌い終わって、マイクをスタンドに戻した時だった。
顔を上げたひふみと、ふり返った一也の目に、戸口に立つバンドメンバーの姿が飛び込んで来た。
どうやら、遅れて到着した彼らは、歌の邪魔をするのを憚って、そこで黙って聞いていたらしい。
拍手と共に、二人の元へと歩み寄って来たメンバーらは、口々にひふみの歌を褒める。
「いい歌だ。……カッコよかったぞ」
遅ればせながら、一也も拍手と共に感想を口にした。
「ありがとう」
礼を言いつつも、ひふみはそっと一也を伺う。
(少しは、歌に込めた私の想いが、伝わったかしら?)
だが、一也の表情からは、何も読み取れなかった。ただ、曲そのものは、気に入ってくれたようだ。
「この間のデモテープとは、雰囲気違って、またいいな」
言って、彼は仲間たちをふり返る。
「この曲、神無月の歌声で、ボーナストラックとして、アルバムに収録してみようぜ」
たちまち、賛成の声が上がった。
「神無月も、いいよな?」
「いいわよ、もちろん」
一也に問われて、ひふみはうなずく。
(……私の想いは、少しも伝わらなかったの? 曲として、気に入ってくれただけ?)
声に出して、そう訊きたい衝動がこみ上げて来た。が、彼女は小さく唇を噛みしめると、踵を返した。
「神無月?」
怪訝そうに声をかけて来る一也に、彼女は笑顔を作ってふり返る。
「ごめん。用を思い出したの。今日は帰るわね」
「ああ。……頼んだ方、出来上がったら連絡くれ」
その笑顔に、一也は何も疑うことなく、うなずいた。
「ええ」
うなずき返して、ひふみは足早にスタジオを出て行く。
その背を見送り、一也はふと首をかしげた。なぜだか、その背が辛そうに見えたのだ。同時に胸が、鈍く痛む。だが、仲間たちに声をかけられ、彼はそれらの意味を追求するのをやめた。
心の奥に生まれたある感情に気づかないまま、彼はその日、一つ年を取った。
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担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月11日
参加申し込みの期限
2015年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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