秋刀魚食えよ！　――猫鳴館の七輪は燃えているか――｜リアクション

秋刀魚食えよ！　――猫鳴館の七輪は燃えているか――

前騒ぎ：サンマびちびち三びちびち合わせてびちびち六びちびち

　台所に溢れるサンマは、びちびち言いながら広がっていく。その様子を見、息を飲んだ者達の数名は、少し前の事を思い出していた。

　――約３０分前。
　猫鳴館のOBである瓜山レイとその妹であり寝子高の書道担当教師、瓜山メイの２人が来たのはサンマの差し入れをするためだった。
「瓜山先輩、瓜山先生、ようこそ！」
　そう言って出迎えたのは、綾辻綾花だった。にっこりと笑えばレイもまた、照れたように笑う。
「そう言って貰えると嬉しいもんだなぁ！　っと、こいつを台所に運ばないと……」
　彼の足元には大きめな白い発泡スチロールの箱が２つ。魚屋にあるようなタイプだ。傍らには野菜が入ったダンボールも置かれている。
「やはり野菜もたくさん食べないといけませんから」
　とメイが笑えば釣られて綾花も笑う。声で気付いたのか、森蓮も駆けつける。彼は菜食者故サンマを食べないが、こうして後輩を気にかけ差し入れをしてくれた事には心から感謝していた。
「鮮度が命ですし、早速運びましょう」
「そうだな。そうしよう！　あとは皆で料理だ」
　同じように駆けつけた奈良橋博美が相槌を打ち、みんなで台所へと運び込んだ。
　元々賑やかな猫鳴館だが、先輩の到来と差し入れという知らせに、さらに活気付く。様子を見に来る者達の姿に、レイは楽しげに笑う。
「旬がちょっと過ぎてしまったけど、まだまだいける筈だ。みんなで食べて欲しい」
　そう言っている間に台所へ到着。調理台にサンマが入った箱を乗せ、博美達は猫鳴館の仲間たちに差し入れについて話を始める。その間に、レイは後輩たちの様子を見、「やっぱり持ってきてよかったな」と幸せそうに瞳を細め……箱をなでなで。その後、瓜山兄妹は寮の自治会長と監査役の生徒に挨拶へ向かうのだった。

　それからしばらく経って、久々に猫鳴館の様子を見に来た大田原いいながびちっ、という音に気付く。
「なんじゃ？　台所のほうから聞こえるの？」
「いってみます？」
　話していた神野美野梨の問いかけに彼女は肯く。そして、彼女をはじめ数名の猫鳴館生と共に台所へ向かい……箱から溢れるサンマを目撃したのだった。これには皆びっくりである。
「んー……？　これってサンマですよねぇ？」
　普段は九夜山にてサバイバル生活をしているらしい小刀祢切奈が帰宅して直ぐ目撃したのが、増えるサンマである。摩訶不思議だねぇ、と肯く彼女の傍らで、いいなが声を上げる。
「いや、感心している場合ではないのじゃ！　状況打破の為にも助っ人が必要じゃ」
　いいなはそういいながらすぐさまねこったーに書き込みをした。

　……起のサブタイトルに続く。

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