魔法少女　マジカル☆テラ子｜リアクション

魔法少女　マジカル☆テラ子

【大惨事すーぱー魔法少女大戦Ω】

　稲場舞は現実世界での記憶がなかった。
「ニャース・ベーダー。あなたの思い通りにはさせない……！」
　彼女は完全にこちら側の世界の一登場人物――テラ子の一つ先輩の魔法少女にノリノリでなりきっていた。

「マジックサンダー、チャージ！」

　舞は誰も見ていない隙を見計らって右手を高く掲げると、その変身の呪文を口にする。
　次の瞬間、落雷とともに、ビリビリと彼女の衣服が裂けて、その柔肌が露わになったかと思うとそこに黄色い稲妻のエフェクトが走ると同時に彼女の魔法少女衣装が顕現する。
　それは鮮やかな黄色を基調とした魔法少女衣装だった。首まわりには雷をモチーフにしたギザギザのマフラーが巻かれていて、彼女が雷の使い手であることを強く印象づける。
「テラ子ちゃんの手を煩わせるまでもない。私の雷の矢でみんな返り討ちにしてやるわ！　ライジングアロー！」
　舞の放った雷の矢は一直線にエイリアンの群れに向かって飛び、一発で何体ものオクトパスを爆発させる！
　だが、爆風と噴煙の向こうからまたわらわらと別のオクトパスがやってくる。
「まだまだ！」
　舞はまた同じ動作を繰り返し、それらの敵を次々爆発させていく。
　しかし、それでもエイリアンは次から次へと押し寄せてくる。
「くっ……。これじゃあキリがない……」
　舞が悔しげに呟いたそのときだった。

「苦戦しておるようだな」

「……え？」
　舞は目を見開いて、声のした方を振り返った。

　ルーシー・R・マクミランも現実世界での記憶がなかった。

「そなたの美しき戦いぶり、しかと見せてもらったぞ」
　ゆえに彼女もまたノリノリでこちら側の世界の一登場人物になりきっていた。
「我も手を貸すとしよう。この本家マジカル☆テラ子ことルーシー・R・マクミラン、我が愛しき伴侶と美しき者を傷つける者には容赦はせぬぞ！」
　彼女"も"またラバダットを護るために戦うテラ子の一人だった。何故かそういう設定になっていた。
　そんなルーシーにも容赦なくオクトパスの触手が伸びる！
「ふっ、我に御触りを所望とは見る目だけはあるようだな？　だが、ちと高くつくぞ？」
　迫る触手にまんざらでもなさげな笑みを浮かべつつ、ルーシーは変身の呪文を口にする。
「Die Bühne!」
　独語で舞台等を意味するその言葉を合図に、彼女のレオタード風の衣装にふわりとフリルが追加され、その手には長槍のようなステッキが装備される。
「ふんッ！」
　裂帛の気合とともにルーシーはその槍を頭上で振りまわし、周辺のオクトパス達を――爆発させた。
「……っ！？」
　舞はそんなルーシーの戦いぶりに息を詰まらせた。
「何をしておる。そなたの実力はまだそんなものではなかろう？」
　しっかりと戦いながら、ちらと意味ありげな視線を送ってくるルーシー。
「……言ってくれるじゃない」
　舞は唇を真一文字に引き結び、もう一度大きく弓を引く動作をしながら複数の目標を同時にロックオンする。そして、

「喰らいなさいッ！　ライジングアロー、乱れ撃ち！　」

　一気にその力を解き放った。

　刹那、轟音とともに巨大な光の矢がオクトパスの大群を連鎖爆発させ、一気にその数を半減させた。
　と、そこに遅れて――元祖テラ子こと常盤四月が登場し、

「ふぇええっ！？　あたしの知らない魔法少女がたくさんいるよぉおおっ！？」

　と、困惑の声を上げた。
　さらにそこに、
「……四月ちゃん、僕も、力を貸すよっ！　一緒にニャース・ベーダーを倒そうっ！」
　と、テラ子を応援する魔法少女☆メニハピこと多喜勇生も姿を見せる。

　かくて、魔法少女達のラストバトルがその幕を開ける！

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