魔法少女　マジカル☆テラ子｜リアクション

魔法少女　マジカル☆テラ子

【epilogue(2)】

〔常盤四月と多喜勇生の場合〕

　現実世界に帰ってきたその翌日、常盤四月はどきどきしながら学校の廊下を歩いていた。
（……い、いったいどんな顔をして多喜くんに会えばいいんだろ？）
　四月もあちら側での出来事を憶えていた。
　忘れられるはずがなかった。
　そこで彼女はうっかり想い人である多喜勇生の前で、

『多喜君を想うラブパワーなら誰にも負けないもんっ！』

　などとのたまってしまい、そのまま勢いで告白してしまったのである。
　しかも、その後、勇生も自分に好意を抱いていたことがわかり、晴れて二人は両想いの間柄になった。
（……こ、これって、夢じゃないんだよね……。全部、あたしの妄想でしたとかそんなオチじゃないよねっ？）
　四月はつい不安になってしまう。
　腐女子としてはレベルの高い四月も、ごく普通のリアル恋愛については、まだまだ経験値不足なのだ。
　と、そのとき。
「……あ、し、四月ちゃん。お、おはよう」
「……っ」
　実にタイミング良く勇生が目の前に現れるものだから、四月は口から心臓が飛び出しそうになる。
「お、おはよ……」
　四月は消え入りそうな声でそう返すことしかできない。
　もし、本当に全部夢だったらどうしよう？
　そう思うと怖くて何も訊けない。
　でも、ちゃんと訊かなくちゃ。
　相反する気持ちが四月の中でぶつかりあう。
　そのとき。
「……あの、し、四月ちゃん、つ、次の日曜日にどっかに遊びに行かない？　ほ、ほら、ぼ、僕達晴れて恋人同士になったわけだしっ……！」
「……っ」
　思わず四月の息が詰まる。
　夢じゃなかった。
　その事実が胸の奥に染み込んで、じわりと沁み込んで涙となって溢れだす。
「えっ……？　ご、ごめんっ、四月ちゃん……！　もう誘わないから泣かないでっ……！？」
「……っ、え、あ、ち、違うのっ……こ、これは嫌とかじゃなくて……ただ嬉しくてっ……」
「え……」
「あ……」
　四月は自分の台詞にかーっと顔が熱くなるのがわかる。
　まったくこれじゃあ先が思いやられるな、と四月は思った。
　でも、それでいいのだろうとも彼女は思っていた。
　マジカル☆テラ子の物語はもう終わった。
　けれど、常盤四月の物語は――まだ始まったばかりなのだから。

〔了〕

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加頂いた皆様お疲れ様でした。
担当ＭＳの水月鏡花です。
いやー、我ながらヒドいお話でしたね（爆
もう漫画の中だし、神魂だし、魔法少女だしで、好き放題やらせて頂いた感しかありません。
シナリオの性質上、いつも以上に登場場面や文章量に偏りがあったように感じられるかもしれませんが、質的には可能な限り等しく見せ場（見せ場？）を用意させて頂いたつもりです。方向性が間違っていたらすみません（苦笑

今回の教訓は――魔法少女は爆発だってっところでしょうか。

なんかあとがきを書いているそばからいろいろな意味で恥ずかしくなってきましたが、たまにはこういうのもアリなのではないでしょうか。うん、ていうか、水月のシナリオはいつもだいたいどうかしてましたね。

ともあれお楽しみ頂けたなら幸いです。

では改めましてここまでご読み頂いてありがとうございます。

またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

水月鏡花　拝

↑ページトップに戻る