【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

【Ｂ】当日の早朝～テスト前
　夜明けの時間帯を迎えて東の空が白み始めた。
　猫鳴館の敷地を利用して作られた鶏舎ではジャージ姿の蓮が掃き掃除に追われている。足元では「てば崎」と「ささ美」の二羽の鶏が餌を催促するかのように鳴いた。子供の「らん卵」と「はんぺん」は早朝から元気に走り回る。箒で集めた鶏糞に頭から突っ込んだ時には、大丈夫ですか、と蓮が声を掛けて引っ張り出した。
「あとは餌と水の補給ですね」
　給餌箱を餌で満たし、水を注ぎ足した。家族揃っての賑やかな朝食となった。
　鶏舎から出た蓮は畑を眺める。ちらほらと生えている雑草に目がいく。首に掛けたタオルで額の汗を拭うと無言で畑の中に入っていった。
　大方の雑草を取り終えた。蓮は曲がっていた腰を伸ばす。ストレッチにも似た動きを見せた。
　畑の傍らに設置されたドラム缶風呂から微かな湯気が立ち昇る。
「ようやく沸いたようですね」
　蓮は歩きながらジャージを脱いだ。汗で張り付いたシャツを身体から引き剥がし、ドラム缶の前で全裸となった。底に敷いた簀の子を踏み抜かないように用心して入る。肩まで浸かると表情が解れた。
「良いお湯です」
　首に掛けたタオルを湯に浸して顔を拭う。最後は折り畳んで頭の上に乗せた。
「素晴らしい一日の始まりです」
　蓮は東の空を見上げて言った。