【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　広々とした部屋は湖底のように静かであった。鳥の囀りさえも聞こえて来ない。
　何の前触れもなく、旅鴉月詠は目を開けた。すっと上体を起こしてベッドから軽やかに降りる。
　最初に向かったのは机であった。目に付いたノートを手に取って頁を捲る。昨晩の成果を確認して、悪くないね、と一言で締め括った。
　清楚なネグリジェから制服に着替えて部屋を後にした。速やかにリビングへと下りる。
「おはようございます」
　メイドの一人が柔和な顔で頭を下げる。おはよう、と返した月詠が探し物をするかのように目を動かした。
「用意は出来ております」
　メイドは弁当箱を恭しく差し出した。ありがとう、と言って受け取る。
「朝食はお召し上がりになりますか」
「今日は学校に行くのを優先するよ」
「少々、お持ちください」
　メイドは一礼して下がる。用意していた水筒と包みを手に戻ってきた。
「水筒には熱湯が入っています。包みの中身はフレンチプレスでカモミールを仕込んでおきました」
「良いリラックス効果が得られそうだ」
　すでに効果は表れているのか。月詠は口元に微かな笑みを作って受け取るのだった。